男女に共通する理想の恋人~古今東西、老若男女とも「美少女」大好き~
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「ねとねた」(http://vitaminabcdefg.blog6.fc2.com/)より
「男の娘キャラで抜いたことある?」(http://vitaminabcdefg.blog6.fc2.com/blog-entry-514.html)
それでも、やはり理解不能と感じる人は少なからず存在するようで「女にチンコ付けただけだろ 何が男だふざけるな」とか「顔や体型が女じゃんかよ」とかいったコメントが上記リンク先にも見られます。しかし、彼ら「男の娘」は本当に理解不能な存在なのでしょうか?実は歴史的に少し振り返ってみれば「男の娘」好みは昔から存在していたという事が分かります。
まず我が国から見ると、王朝時代において既に理想の美男といえば「女にして見てみたい」と思われるような女性的なものでしたし、更に一歩進んで「男の娘」と男君の濃厚な愛の物語も鎌倉期には存在していました。そして同時代において、僧侶が性愛の対象としていた稚児は女性と同じような服装や容姿をしていたとか。また、徳川期の陰間(男娼)は本物の女性と同様に「美人」として浮世絵に描かれる存在でしたが、その年齢は十代に限定されている事が多かったようです。「美女」というより「美少女」的な存在が好まれていた事が分かりますね。中国も事情は類似しており、明や清の男娼は極めて女性的な容姿をして陰間と同様な年齢層であった事が分かっています。そして十七世紀イランの美少年も少女と見まがう外見が理想だったようですね。
近代西洋については、SFの父と呼ばれるウエルズの代表作「タイム・マシン」から少し見てみましょう。主人公がタイムマシンを駆って訪れた遠い未来の地上で見かけた人々は「とても美しい、優雅と形容してもよい容姿」(H.G.ウエルズ『タイム・マシン 他九篇』岩波文庫 35頁)で「ドレスデン陶器のような彼らの美しさ」(同 37頁)を持つ存在。彼らは「カールしたような髪は頸のところで切りつめられ、顔に細かな産毛はない。耳や口は非常に小さく、薄い唇は燃えるような紅色で、顎の先は細」く「大きい柔和な眼」という特徴をもっていました(同 37頁)。彼らの外見的特徴は要約すると
「背後について来ていた六人の未来人全員が、同じ服装、温和な髯のない互いに似た顔だち、少女のようにふっくらした身体つきをしているではないか。そのことに今まで気づかなかったのは迂闊であった。ようやくわかったぞという気がした。服装だけでなく、男女を区別する身体つきや物ごしまで彼らの場合は似たりよったりなのだ。それに子供は大人をそのまま小さくしたような姿をしている。」(同 43頁)
とといった具合で、「美少女」的といって良いと結論してよいでしょう。彼らの社会は、一見すると「暴力がなく、子孫の生命が保証されている」(同 43頁)理想的なそれに見えました。ま、その実態については原作を読んでくださいな。ここでは、理想的な美しさを持った人類が男女を問わず「美少女」と思しき外見で描かれているという事を読み取っていただければOKです。
以上から見れば、基本的に男が「美少女」と見まがう男を美しいとしており、男色でも「美少女」的な外見の少年を愛する事例が結構な割合を占めているのは古今東西を問わないと言えそうです。
しかし、そうした「男の娘」を愛する男たちの中には全てではないにしろ女性の代替として彼等と交わる例が多いので一般の男色と分けて考えるべきではないかという見方もあります。成人女装男子なので「美少女」とは少し違いますが、「女装と日本人」著者である三橋順子氏は「俺はもともと女が好きで、俺にとって『いい女』のお前を好きになったんだからさ。だから、俺はあくまでヘテロなんだよ。」(三橋順子『女装と日本人』講談社現代新書 277頁)と言われたこともあるそうで。因みに、そうした男を相手に男娼が性交する技術として「レンコン」と呼ばれるものがあり、手にクリームを塗って筒型にし背中から股間にあてがって相手の男根を誘導。その手を膣と認識させて発射させるのだとか。熟練者なら、相手に自分を女性と思い込ませたまま終了できるそうですよ。
一方で「ペニスのある女の子」(同 273頁)に強く惹かれる人もいるようですから、両性具有・中性的な魅力が「男の娘」の強みなのかもしれません。男による「男の娘」好みは、通常の女色とも男色とも異なった存在といえそうです。
さて、男の好みだけでなく女性の好みについても見ておきましょう。王朝物語からは、女性的な容姿の男が女性からも好まれた事がうかがえますが、徳川期においても女歌舞伎において女を演じる少年役者に男客だけでなく女客も熱い視線を送っていた事がわかっています。また未亡人・独身女性・奥女中といった欲求不満がちな女性が陰間を買っていたことも知られており、「後家を抱き 坊主をおぶう かげま茶屋」なんて川柳に詠まれたりしています。そこから考えると、「美少女」的な男を女性も性的対象として好んだと見て間違いないでしょうね。もっとも、女性が買う陰間は年長で男性的特徴がぼつぼつ出始める年齢層が多かったようですが。
これらの事実に通常の男性が「美少女」を好むという当然な話も勘案すると、古今東西・老若男女を問わず「美少女」的な容姿を持った中世的な美しさの相手を好む傾向があるということが結論づけられます。してみると、「全人類が『美少女』(生物学的性別は問わず)なら、皆幸せ」なんでしょうか?うーむ。
【参考文献】
リンクした過去記事以外には…
女装と日本人 三橋順子 講談社現代新書
タイム・マシン他九篇 H.G.ウエルズ作 橋本槇矩訳 岩波文庫
日本人の性生活 フリートリッヒ・S・クラウス著 安田一郎訳 青土社
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歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「日本民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021206.html)
「中国民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/020607.html)
「イスラム民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/020614b.html)
「西洋民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021108.html)
「西欧中世における恋愛、性の諸相」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2005/051209.html)
関連サイト:
「暇人\(^o^)/速報」(http://blog.livedoor.jp/himasoku123/)より
「男は潜在的に美少女になりたいと思ってるってマジ?」
(http://blog.livedoor.jp/himasoku123/archives/51386021.html)