萌エロ日本仏教史 二次オタ肯定最狂宗教物語 ~一千年と二百年前から萌えている~
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そこでは神仏さえも萌化する。
どういうことかと言いますと、アニメ調キャラが乱舞する巨大な萌え看板をおっ建てた、お寺さんがあるんですよ。その名は、了法寺。
それで、その時代の最先端を突き進む、果敢な開拓精神はかねてより良い感じにネットの話題となっていましたが、
その了法時、今度は萌え仏像を投入とか。
仏像☆革命!! 11月7日(日)萌え仏像・奉納祭!(了法寺)
http://ryohoji.jp/top.html#figh
かつて京都のメロンブックス(オタクの人向けの本屋さん。エッチいアニメ調美少女の載った薄っぺらい本とかが主力商品)で二度も袈裟着たお坊さんを目撃し(一度目は若いお坊さん、二度目は中年のお坊さん)、仏教業界とオタ業界の精神性の近さを感じ取っていた私としましては、さもありなん、良いぞもっとやれって気分です。
しかし、了法寺や京都のお坊さん達の行っているような、先進的で未来に生きてる試みは、世の良識派を自任する人にとって苦々しいものだったりするかもしれませんね。
ですが、こういった試みこそが日本仏教的には正当であると言うことを、今日は古典を使って、示してみようと思います。
9世紀初め頃成立の我が国最古の仏教説話集『日本霊異記』に、聖武天皇の頃の話、すなわち8世紀前半の話として、以下の説話を伝えています。
これまでも断片的には紹介してきた説話ですが、今回は説話丸ごと紹介です。
(読み下し文引用は『新編 日本古典文学全集 日本霊異記』小学館 159、160頁)
和泉国泉郡血渟の山寺に吉祥天女の攝像有り。聖武天皇の御世に優婆塞、其の山寺に来り住みき。之の天女の像に睇ちて愛欲を生じ、心に懸けて恋ひ、六時毎に願ひて云ひしく、「天女の如き容好き女を我に賜へ」といひき。優婆塞、夢に天女の像に婚ふと見て、明くる日瞻レバ、彼の像の裙ノ腰に、不浄染み汙れたり。行者視て、慚愧して言さく、「我は似たる女を願ひしに、何ぞ忝ク天女専自ら交わりたまふ」とまうす。
<訳>
和泉の国泉郡の血渟の山寺に吉祥天女の土製の像があった。聖武天皇の時代に在家の仏道修行者が、その山寺に来て住み着いた。この天女の像に流し目を向けて欲情みなぎり、いっぱいいっぱいに想いを募らせ、日に六度の勤めのたびに願って言うには、「天女さまのように顔の綺麗な女をおくれー!!」とのことであった。この修行者、天女の像とセックスする夢を見て、翌朝見てみると、あの像のスカートの腰の辺りが、不浄の染みで汚れていた。修行者はこれを見て、恥ずかしくなって、「俺は似た女って言ったのに、何で天女さま直々にセックスしてくれてるですか?ごめんなさい、ごめんなさい」と言った。
媿ぢて他人に語らず。弟子偸に聞く。後其の弟子、師に礼無きが故に、嘖めて擯ひ去らる。擯はれて里に出で、師を訕りて事を程す。里人聞きて、往きて虚実を問い、並に彼の像を瞻れば、淫精染み穢れたり。優婆塞事を隠すこと得ずして、具に陳べ語りき。
<訳>
修行者は恥ずかしいのでさすがに誰にも言わなかった。しかし弟子は秘かに聞いていた。その後、この弟子が師に礼を尽くさず、、そのため叱って追い出した。弟子は追い出されると里に出て、里に人たちに、師の悪口を言って、事の次第を広めてしまった。里の人たちは、真偽を確かめにやって来たが、像を見ると、精液が染みて汚かった。修行者はしらを切り通せず、詳しく事の次第を白状した。
諒ニ委る、深く信ずれば、感の応へぬといふこと无きことを。是れ奇異しき事なり。
<訳>
これで良く分かりましたね、深く信じれば、神仏はどんな願いにも応えてくれる、フィギュア萌えでエロいのも可、ということなのです。神秘的でしょう。
涅槃教に云ふが如し。「多淫の人は、画ける女にも欲を生ず」と者へるは、其れ斯れを謂ふなり。
<訳>
ちなみに国際的にも昔から「エロいやつは、絵に描いた女にも欲情する」(5世紀頃の漢訳仏典『大般涅槃経』「光明遍照高貴徳王菩薩品」参照)と言ってますが、それはこういうことを言います。
ということで、
以上の、1200年ほど前(聖武天皇の時代の話という点を重視すれば1300年ほど前)の仏教業界の主張を要約してみますと、
インドから中国、日本にかけて、伝統的に、エロいオタは二次元でもハァハァするなどと言われておりますが、日本仏教業界では、そんな人間の二次元美少女とセックスしたいという欲望も、叶えることになっております、それが日本仏教クオリティ。
そういうお話。
萌え仏像くらいどうと言うこともない。萌え仏さまとのセックスをお願いしても、仏様はオッケーだと思います。日本霊異記的に。
参考資料
『新編 日本古典文学全集 10 日本霊異記』小学館
『新 日本古典文学大系 30 日本霊異記』岩波書店
『スーパー・ニッポニカ Professional』小学館
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れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
物語の消費形態について―いわゆるオタクを時間的・空間的に相対化する試み―
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/kouroumu.html
日本民衆文化史
http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021206.html