現代日本と古代ローマの意外な共通点 ~偉大なローマ人も外人から HENTAI 扱いで嘲笑されていた件~
|
信義や仁義を重んじる、規律溢れる、勇敢、優れた技術を誇る、戦争に巧みなどなど、雄々しく格好いい印象を持っている方も多いのではないでしょうか。
なるほどそれらの印象は確かに間違ってはいません。
しかしそのような偉大な美徳を誇る一方で、これまで紹介した逸話からも分かるように、ローマ人は、日本人とも張り合えるくらいのHENTAI民族でもありました。
参考
今日はそんなHENTAIローマ人のさらなる変態エピソードを一つ紹介いたしましょう。
古代ローマ人は紀元前1世紀に、イラン高原を支配する隣国パルティアとの戦争に、有力政治家クラッスス率いる大軍を送り込み、見るも無惨な敗北を喫したことがあるのですが、これはその戦いに関するエピソード。
この戦いでは、多くのローマ人が殺され、捕虜となり、ローマ人の物資がパルティアの手に落ちたのですが、
その物資の中、ルスティウス(写本によってはルスティリウス、ロスキウスとも)という兵士だか士官だかの荷物から、パルティア軍指揮官スレナスはあるモノを戦利品として発見、これをセレウケイアの街のセレブ達の前で披露します。
すなわち、
スーレーナースはセレウケイアの元老院を召集してアリステイデースの『ミーレートス物語』といふ猥らな本を持出したのは嘘や作り事ではない。その本はルスティウスの荷物の中に見出されたもので、これをきつかけにスーレーナースは、ローマ人が戦争をする時もかういふ事柄や書物を置いて行くことができないのだと、いろいろ失敬な嘲笑を恣にした。
(『プルターク英雄伝 (七)』河野与一訳 岩波文庫 194、195頁 訳注省略 漢字現代化)
なんと、その戦利品は「猥らな本」すなわちエロ本。
ローマ人男子は戦陣の独り寝のお供に、エロ本を携行していたのですね。
そしてそれが外国との戦争で敵の手に落ち、嘲笑の的となったと。
つまり古代ローマ人は、エロ本が好きすぎて、国際的に嘲笑の的となるほどの、偉大なHENTAI民族だったということです。
片や西の果て、片や東の果て、片や彫りの深い顔、肩や平たい顔、さらに2000年もの時間間隔、
様々な意味で遠く隔たった古代ローマ人と現代日本人ですが、国際的にHENTAI呼ばわりされて罵られているという意味では、同類であります。
風呂好きだったり、多神教だったり、HENTAIだったりと、遠い割に日本人にとって親しみやすそうなローマ人ですが、
国際社会で似たような罵声を受けていたと知ると、ますます親しみやすい存在に感じられますね。
参考資料
『プルターク英雄伝 (七)』河野与一訳 岩波文庫
関連記事
ローマ帝国の英知に学ぶ彼女の作り方 ~これで来年こそリア充だ~
ローマ帝国の男のロマン ~古代ローマ人のエロ願望が変態すぎて日本人もドン引きレベル~
「大陸土産は世界最強ォォーッ」―市民革命直前期の、とある文学―
このほか古代ローマのネタならば、カエサルとティベリウスにつき社会評論社『ダメ人間の世界史』で取り上げていますので、よろしければそちらもご参照ください。(ただしエロネタではないです。)
Amazon :『ダメ人間の世界史』(ダメ人間の歴史vol 1)
楽天ブックス:『ダメ人間の世界史』(ダメ人間の歴史vol 1)
当ブログ内紹介記事
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
西欧中世における恋愛、性の諸相
http://kurekiken.web.fc2.com/data/2005/051209.html
西洋民衆文化史
http://kurekiken.web.fc2.com/data/2002/021108.html
楽天ブックス: ダメ人間の世界史 - ダメ人間の歴史vol 1 -