レトロゲーム(?)紹介 第12回『新宿の狼』
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新宿の街が舞台に設定された、刑事ドラマ風の世界観が繰り広げられるゲームです。七丁の拳銃が民間に流出した事件を担当する事となった刑事、「新宿の狼」こと三上英二。捜査によって明らかになる、拳銃を手に入れた様々な人々。それは、新宿の街が持つ裏面を反映したものであった…。これが、本作の基本的な世界観です。本筋は、中々に硬派で本格的と言えるでしょう。背後のストーリーもシリアスで重いですし。
しかし、この作品の魅力は、実は別な所にあります。シナリオを問題なく進めるためには、刑事としての力量や戦闘能力などのレベルを上げる必要があるのですが、そのために必要なのが小事件の解決や検挙数の増加と乱闘経験。その辺り、アドベンチャーと言いつつもRPGに近い一面があります。で、そのためのシステムが実にお馬鹿。そして、お馬鹿でありながらプレイは結構楽しい。「バカゲー」として一部で知られ愛されているのもそのせいでしょう。以下では、主なものを挙げていきたいと思います。
通行人の少なからぬ割合が、何らかの犯罪を犯しています。賭博や万引きといった比較的軽い犯罪だけならともかく、誘拐とか強盗殺人なんてのも結構な割合で平気で善良な市民顔して歩いてますから恐ろしい。銃刀法違反も結構いて、本筋で拳銃流出について大騒ぎしてるのは何だったんだろうと思わされてしまいます。
で、そうした犯罪者を見分ける決定打が「刑事の勘」。物証ではありません。…恐ろしい話です。刑事の勘メーターが上昇した相手は、犯罪者である可能性が高いので聞き込みをしましょう。実際に犯罪者であった場合は、あっさり投降するか逃亡するか抵抗してくるか。冤罪だった場合は、始末書が発生したりします。逃亡した場合は追いかけて捕まえねばならず、少々大変。抵抗してくると、ぶちのめして捕まえましょう。…うっかりぶちのめし過ぎると、地面に人型を残して消えてしまうんですが。最初は、刑事の勘も精度が低かったり、逃亡・抵抗される確率も高かったりしますが、刑事レベルが上がってくると冤罪も生じにくくなるし降伏してくる可能性も高いですから頑張りましょう。
犯罪者を正式逮捕だけでなく、「俺法」すなわち主人公の裁量で裁く事も出来てしまいます。それなんて人治国家?「俺法」には私有の留置所に放り込む「豚箱」と金銭と引き換えに見逃す「罰金」、お礼の品と引き換えに見逃す「無罪」とがあります。…始末書が発生しますけどね。
このように好き放題しても、始末書で済むところが凄い。冤罪逮捕しようが、自動車・バイクを私的に徴発しようが、通行人を殴り飛ばそうが、それぞれ始末書一枚(いや、ひょっとすると複数枚必要なのが混じってるかも)。「俺法」で裁いたり車で通行人を跳ね飛ばしても数枚程度で済んでしまいます。で、定期的に始末書をボタン早押しで処理するミニゲームをこなす必要が。未処理の始末書が100枚を超えると、流石にちょっと困ったことになるからです。これについては、興味のある方は調べてみてください。あと、なぜかお賽銭をはずむと始末書を帳消しにしてくれる神社があったりして笑えます。
犯罪者検挙を続けていると、その地域の治安が改善していきます。余り治安が悪いと、一部の店舗が閉鎖してアイテムが調達できないこともあるのである程度留意した方が良いでしょう。なお、各地域別に犯罪組織が存在しますので、撲滅して治安改善に励むもよし、良好な関係を築いて「おまんじゅう」(山吹色のお菓子の事でしょうか)を貰うもよしです。…後者を選ぶと、始末書が増えますけどね。
後半の戦闘に備え、武器も強化するのは意味がなくもないでしょう。闇の武器商人と知り合えると、バズーカやらロケットランチャーまで手に入ったりします。なぜか、道端に武器が落ちている事もあるので注意して。
あと、本筋には関係ないですが様々な「刑事伝説」を達成するのもよいでしょう。犯人検挙によって達成できるまっとうなものから、散髪・衣装調達や果ては拾い食い(コンビニやファーストフード店の外側に、食べかけ・賞味期限切れの食品がよく捨てられています)によって達成される妙なものもあるので色々と楽しめます。衣装も、普通の刑事風のものから着ぐるみまで様々で笑えますよ。外見がかなり凶悪な事もあって、ある意味で似合いすぎていたり逆にシュールだったり。
一部例外を除き、本筋シナリオを放置して微罪検挙や小事件解決・喧嘩の鎮圧にかまけていても問題ないシステムになっていますので、例外の場面にだけ注意してあとは安心して好き放題なさって大丈夫です。
という訳で、存分に「俺が法律だ!」とばかりに無法地帯「新宿」での刑事ライフを楽しむとよいでしょう。…リアルで警察がこんなのだと、困るのは言うまでもないですけどね。
まっとうに刑事ドラマを楽しんでもよいし、好き放題バカやるのも面白い。作りが荒いのは否定できませんが、色々と楽しめる一品だと思います。
関連サイト:
「新宿の狼 攻略」(http://ad-affiliate.jp/ookami/index.htm)
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