若者と話が通じなくなった際に頭にとめておく事~「若者が馬鹿」ではなく、「文化が違う」だけ~
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文筆家・山本夏彦氏は戦前日本の社会風俗に関する貴重な証言を色々と残してくれている人物ですが、彼は出版社から話の聞き手として派遣される新卒社員と数年にわたり接した実感として、
頭脳の程度が分った。五十年前百年前の秀才と程度は同じだということが分った。しばしば知らないふりをする、やりこめる。じゃ何が欠けてるかというと語彙だよ、両者の間には共通の言語がない。(山本夏彦『誰か「戦前」を知らないか 夏彦迷惑問答』文春新書 122頁)
おぼえたって使い道がない。使ってもあなたの周囲に通じない言葉ならおぼえないということが分った。(同書 同頁)
と述べています。なるほど。世代が違うというのは、いわば「文化が違う」わけですから、考えてみれば当然といえば当然。ならば、そこにあるのは相互の優劣ではなく、相違に過ぎません。互いに、相手と自らの世界が違うのを認識したうえで、
・分からない事は尋ねる
・自分に当然な事は相手にもそうだとは決めつけない
よう心がけたいものですね。明らかな実害がある場合は別として。…難しい事ではありますが。
【参考文献】
山本夏彦『誰か「戦前」を知らないか 夏彦迷惑問答』文春新書