アクセスが思うように伸びない時などにするべきこと~そんな時こそ従来の客を大事に~
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さて上述のような思うようにいかない時、どのような心がけでいたらよいのか。それに関して、以前に見聞きしてなるほどと思って一応は心がけている点があるので、今回はそれについて。
まず考えるべきこととして、問題になっているような場合でも、大概の場合は見てくれる人やお客さんがゼロという訳ではないと思います。ならば、そうした今既にいるお客さんなり視聴者なりへの感謝と敬意を、忘れてはいけないのではないかな、と思います。具体的には、何よりも彼らを喜ばせる事に全力を尽くすべきでは、ということです。仏教学者・ひろさちや氏の言葉を借りると、
顧客が少なければ少ないほど、その少数の顧客を大事にすべきである。
来てくれない人間のために、せっかく来てくださった顧客が不愉快な気分になるようなことは、絶対にあってはならないことである。
(ひろさちや『捨てちゃえ、捨てちゃえ』PHP 33頁)
という事になるかと。
確かに新規客層の開拓も重要な課題ではありますが、まずは、たとえ数が少ないとしても目の前に来てくれている相手を大事にすることが何より第一ということです。その上で、余力があれば少し新たな客層に訴えかける何かを追加する、というのが手順ではないでしょうか。『百喩経』という仏典に、このようなたとえ話があるとか。
ある富豪が、友人宅の三階からの眺めを気に入り、自宅も三階建てに改築しようと決意。その普請にやとわれた大工は、着実に下から建てていたわけですが、三階から景色を早く眺めたくてたまらない富豪は
「わしは三階を注文したんだ。一階や二階はいらん。三階を早く造ってくれ!」(同書 41頁)
と怒声を上げたそうで。
成果を急ぐのは誰しも陥りがちな心理ですが、優先順位をきちんとしなければ三階だけを欲しがる富豪を笑えなくなってしまうのではないでしょうか。一朝一夕で状況を改善させるのは、難しいかもしれません。それでも、地道にやるべきことをやるのが一番ではないかと思います。まあ、お金が絡んだりするとそうも言ってられないでしょうけど、頭の片隅に置いておけば少しは精神衛生上良いかもしれません。
【参考文献】
ひろさちや『捨てちゃえ、捨てちゃえ』PHP