どうも、松原左京です。今回も、『童貞の世界史』著者として、関連してなくもない徒然話をしてみようかと思います。
これまで何度か触れてきましたが、今の若者はしばしば「恋愛離れ」とか「絶食系」とか色々言われます。ところが、「恋人がいる割合」も「未婚男性の童貞率」も、バブル時代と現在では大差ないという話もあるようです。
関連サイト:
「Infoseekニュース」(http://news.infoseek.co.jp/)より
「「草食系男子の増加」という大いなる勘違い 実はバブル世代でも7割に彼女はいなかった」
(http://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20161208_148345/)
「「草食男子」誕生から10年。名づけ親が語る本来の意味と真実」
(http://news.infoseek.co.jp/article/shupure_74008/)
それだけでなく、「恋愛・性愛に積極的か否か」「「男らしい」か否か」に関係なく少子化は進んでいるという指摘も上記サイトでなされています。
であれば、「童貞」だの「絶食系」だのと言って、現在の若者気質に原因を求め批判するのはお門違いという事になりそうですね。思うに、これらの言葉で表された現象は、単に前からあったものが可視化されたに過ぎないのかもしれません。あるいは、「恋愛に興味がない」人の割合が増えていたとしても、決して悪い事とは言えなさそうです。恋人の有無、童貞か否かの割合が大きく変わっていないのであれば、恋愛・性愛の優先順位が下がるという事は、恋愛に縁薄い人がそれに拘って苦しむことが少なくなっているという事とも解釈しうるのですから。
それに、以前に述べたように、「恋愛」を勧めようと「結婚」を推進しようと、「少子化解消」に貢献するとも個人の幸せにつながるとも保証の限りではありません。
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ここで考えるべきは、個人個人に説諭するよりも、「この問題が進むことで一番困るのは誰か」という事でしょう。まず日本国は、間違いなく困ると思われます。では、「恋愛離れ」「結婚離れ」した個々人はといえば…。確かに困る人もあるかもしれません。しかし、困らない人も少なからずいそうです。一生独身でも問題を感じない人、老後の孤独すらも覚悟の上という人も昔から一定数あるようですから。
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となると、「少子化」については「一番困る」日本国が主体となって動くべきでしょうね。恋愛を勧める、結婚を後押しする。希望する人に対しては、それもよろしいでしょう。ただし、上述した記事を見る限り、希望しない相手にまで無理強いするのは手数がかかる上に意味も効果もなさそうです。互いに嫌な思いをするだけで終わる可能性も多々ありますし。いつの時代も「恋愛離れ」がある程度生じるのは想定内であるべきだと思います。
ところで、思うのですが。そもそも。結婚・恋愛に限らず、他人に何かを無理強いしたり、咎め立てたり見下したりで、人心に余裕がなくなった社会が、大人子供を問わず生きやすい世でありましょうや。次世代が増えやすい環境でありましょうや。ただでさえ、生きていくには重荷の多いのがこの世の常なのですから。一考に値する問題と思うのですが、どうでしょう。
私としては、個人レベルの振る舞いをどうこうするよりも、次世代を育てやすい環境を整える事に注力する方がよさそうに思われます。上述したとおり、実際にパートナーを持つ人の割合は、そう変わっていないのですから。そして、少子化になるかどうかは、若者の気質とはあまり関係ないということですから。彼らに、子孫を残してもやっていけそう、と思わせることが先決。
思えば、現代は核家族化によって一家庭当たりの人出が減少しています。また子供を育てる上での期待される度合いも上がっています。子育てにおける一人当たりの負担は昔より上がっているのであって、難易度は高くなっているとみてよいでしょう。となれば、社会全体で親の負担を減らす事も含めた後押しを行う必要があるでしょうね。
繰り返しますが、個人レベルのありようをどうこうしても、息苦しさを強めるだけで効果は期待できません。時間はかかるかもしれませんが、次世代を育てるのに適した社会環境を辛抱強く整えるのが、結局は早道ではないかと思います。
※2017/2/27 少々、表現を手直ししました。2017/3/7 誤字を修正しました。