<読書案内>亀田俊和『観応の擾乱』
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2017年 08月 30日
今年話題になった南北朝本、それは言うまでもなく亀田俊和先生『観応の擾乱』(中公新書)。呉座勇一先生の『応仁の乱』(中公新書)を皮切りに、これまでマイナーだった足利時代、そして南北朝に少しずつ日が当たりつつあるようでうれしい話です。まあ、世間一般からの広い注目、というのにはまだまだ遠いのかもしれませんが、それでも昔を思うと隔世の感。
観応の擾乱とは、南北朝時代に勃発した戦乱の名称です。南北朝動乱において、南朝との戦いを優勢に進め安定に向かいつつあるかに見えた初期足利政権。しかし、その足利政権は、内部分裂によって日本列島全体を再び戦乱の渦に巻き込んだのです。内乱に至った政権内部の火種とは何だったのか。そして、この内乱が生んだ結果とは。実証研究の蓄積を背景に、本書はそれに関する考察を提示してくれます。 あと、見過ごせないポイントとして、本書によってイメージが変わる人物が結構いるという事。弟・直義や執事・高師直に任せきりであった将軍・足利尊氏が、この内乱で見せた意外な勤勉ぶりや辣腕ぶり。そして、赤松則祐の意外な胸中の思い。凡庸な二代目と見られがちだった義詮の、実務能力に優れた一面や思わぬ意志の強さ。知っているつもりで知らなかった、歴史人物たちの新たな一面を味わえるのも本書の醍醐味と言えるでしょう。なお、亀田先生はこれまでも、高師直や足利直義、護良親王など南北朝人物の伝記を手掛け彼らの意外な一面を指摘してこられました。興味のある方は、そうした伝記も手に取られてはいかがでしょう。 余談ながら。個人的には、「もし南朝が足利政権の存在を追認して正平一統を律儀に守っていたら」というifが気になります。案外、南朝が一定の実権を残しつつ皇統として残れた可能性もありそうで。 従来、一般に知られていたとは言い難い足利時代。本書を始めとした解説本の数々が売れ行き好調な現状が、今後とも続いてくれることを願ってやみません。 ※2017/8/30 少し手直し。
by trushbasket
| 2017-08-30 21:16
| NF
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