女性と茶の湯~徳川期・明治に焦点を当てて~
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【参考文献】
『淡交』平成十五年三月号 淡交社
八尾嘉男『図解 茶の湯人物案内』淡交社
「続茶の湯 数寄者たち」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/1999/991029.html)
「徳川期の茶の湯」(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/tokucha.html)
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2017年 10月 28日
現在、茶の湯は女性の姿が目立つジャンルの一つといって良いでしょう。もっとも、歴史的に見ると少し前までは男性が従事者の多数を占めていたのは御存じの方も多いかと思います。茶の湯の世界に女性が多く参与するようになったのは、近代が契機だと世間的に認識されているようです。という訳で、徳川時代・明治期に焦点を当てて女性と茶の湯の関わりについて今回は少し見ていきます。 それ以前にも、個人レベルでは茶の湯に親しむ女性の姿が相応に見られたのは申し上げるまでもありません。例えば、宗匠の妻や娘といった親族、大名の妻や侍女などなど。ただし、社会全体から見て、茶の湯に女性の割合が多かったと言えるのは、しばらくしてからのことのようです。 注目されるのは、十八世紀半ば。宝暦三年(1753)に出版された『女朗詠教訓歌』という書物で薄茶点前が奨励されており、女性の間でも茶の湯が普及しつつあると解釈してよさそうです。 そして次に見るべきポイントは、十八世紀の石州流茶人・大口樵翁が著した『刀自袂』。これは、女性向けの茶の湯の心得書と呼ぶべき本だそうです。女性が茶の湯に関わる際の注意点を述べた内容ですが、具体的には点前・作法より道徳面での話が主を占めていたとか。これもまた、茶の湯が女性に広がりつつある証拠とみて良いでしょう。 幕末におけるこの話題で見落とせないのは、彦根藩主・井伊直弼(宗観)の存在でしょう。彼が残した会記『懐石附』からは、女性も含めた茶会参加者たちについて色々知る事ができるそうです。例えば、安政三年(1856)に彼の娘・多勢が亭主を務めた茶会についても記録されています。他にも男女がまじって同席する茶会の記載もあり、男女の区別は特に直弼は考えていなかったと考えられるようです。 近代になると、従来以上に茶の湯世界における女性の活躍が目立つようになるのは御存じの方も多いでしょう。代表的な存在としては、堀越梅子(宗円)が挙げられます。彼女は松方正義の娘で、裏千家を学び女性として初めて老分職を務めた人物です。数寄者たちとの交流も浅くなかったようで、益田鈍翁の勧めで職人たちを育成したり、また高橋箒庵の助けを借りて護国寺に茶室・艸雷庵を寄進するといった功績を残しています。 近代と言えば、学校教育を通じて女性に茶の湯の心得が広がったのも見逃せません。女性を対象に茶の湯教育を導入した教育者としては、明治八年(1875)に跡見学園を創立した跡見花蹊が有名です。他にも新島八重(数年前に大河ドラマの主人公をつとめたので御馴染みですね)は自らも茶人として活動するとともに、京都府立京都第一高等女学校(現在の京都市立堀川高校)に茶の湯教育を導入した事は知られています。また、大名茶人であった松浦詮も、近代には日本女子大学院や女子学習院で女性たちに茶の湯を教授しています。 「茶の湯の主な担い手は女性」というレベルになったのは確かに比較的最近の事のようです。しかし、女性たちと茶の湯の関わり自体は当然ながら歴史が長く、その過程で徐々に存在感を強めていったと見る事ができるようです。 【参考文献】 『淡交』平成十五年三月号 淡交社 八尾嘉男『図解 茶の湯人物案内』淡交社 徳川期や近代の茶の湯に関係した記事や関連発表は下記。 歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表: 「続茶の湯 数寄者たち」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/1999/991029.html) 「徳川期の茶の湯」(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/tokucha.html)
by trushbasket
| 2017-10-28 12:07
| NF
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