どうも、松原左京です。
以前、人間以外の動物も「生涯童貞」は珍しくないという事をお話しました。では、「無性愛」はどうでしょう。という訳で、今回は人間以外の動物における「無性愛」に関する研究成果に言及したサイトをみかけましたのでご紹介します。
関連サイト:
「Kristina Gupta, Ph.D.」(http://www.kristinagupta.com/)より
「Asexuality in Non-Human Animals?」(http://www.kristinagupta.com/2014/01/09/asexuality-in-non-human-animals/)
Kristina Gupta氏は、米国はウェイクフォレスト大学で助教をされている学者さんです。リンク先の記事は、動物と無性愛について詳細に論じておられるので、興味のある方は直接御覧いただければと思います。もっとも、リンク先は英語ですので、ここで私が大雑把に具体的な内容を少し日本語にてご紹介させていただくのはありかもしれません。なお、勘違い等もあるかもですから、気になる方は原文を直接ご参照ください。
過去の該当する文献を参照しながら、動物のオスにおける性的行動およびオスのホルモン(テストステロン)との関連も検討しているようです。当然の事ながら、動物に質問して性的志向について確認するわけにはいきませんから、行動を観察する事に評価は限定されています。なので、「無性愛的と思われる」といったレベルでの評価にとどまります。
なお、メスについてはデータが無いようです。これについては、メスはオスと異なり性的行動のレベル評価をするノウハウがまだできていない等々の要因が推測されています。今後に残された研究課題という事なのでしょう。
ちなみに性的志向に関する動物実験という事で、結果が社会に与えうる影響(※)も考慮して様々な倫理的な側面からの事前検討も要するようです。確かに、デリケートな問題ですものね。
※例えば、研究結果から性的少数者を「異常」と解釈する向きが生じるリスクも、検討する必要があるなど。
さて、結果の概要はといえば。
オスのラットでは約3%がオスに対してもメスに対しても性的な関心を示しませんでした。これらの個体も他の個体と比較して、テストステロンの数値に変動は見られませんでした。羊は性的行動から「メスに関心を持つ個体」「オスに関心を持つ個体」「無性愛の個体」に分類されました。無性愛と分類されたオス羊の割合は12.5-18.5%程度。なお、羊でも「無性愛の個体」における血中テストステロン値は特別な特徴を呈した訳ではなかったようです。
モルモット、アレチネズミ、ウサギ、アカゲザルにも性的行動レベルが低い個体が一定数ありました。アレチネズミやウサギでは、性的行動が少ない個体のテストステロン値が低い傾向を示しました。ただし、ウサギにテストステロン補充をしても性的行動の変化は認めなかったそうです。
ラットでは、行動面から無性愛と判断できそうな個体が一定数いるようです。他の動物でも、無性愛とまで言わないにせよ性的な事の優先順位が低そうな個体が相応に存在するとみて良さそうですね。それらの個体はテストステロンが必ずしも低いとは限らず、ホルモン数値だけでこうした現象の説明をつけるのは難しそうだという事です。
少なくとも、この記事を拝見する限りでは、人間以外にも無性愛と解釈できそうな個体は一定数出現しうる、そう解釈する事はできそうですね。どうやら、「動物としての人間」という観点からも、無性愛は決して不自然でも奇異でもなく、自然界において十分ありうる現象であるという見方はそう無茶なものではなさそうです。人間社会も、それを織り込み済みな仕組みであった方が良いのでしょうね。