大関勝率6割台の面々の、綱取り挑戦経験について~やはり、「大関勝率6割」は強豪の証~(下) 平成篇
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平成五年五月 14勝1敗(優勝)
平成五年七月 13勝2敗(優勝同点) 優勝は横綱曙、関脇若ノ花(のち横綱若乃花)も優勝同点
という成績で昇進できなかった事例がありますので、実のところ「優勝+優勝同点」でも厳しいかもしれません。ただし、やはり貴ノ花ですがこの後に
平成六年五月 14勝1敗(優勝)
平成六年七月 11勝4敗 優勝は大関武蔵丸 15戦全勝、準優勝は大関若ノ花 14勝1敗
平成六年九月 15戦全勝(優勝)
で横綱審議委員会に諮問まではされました(※2)から、連続優勝でなくとも昇進できた可能性は一応あったとみなしたいと思います。
※2 なおこの時は横審で却下されており、実際に昇進したのは直後の同年十一月に15戦全勝優勝を果たした後。
・小錦 大関時代優勝3回
チャンスと言えそうなのは、下記。
優勝1前場所:平成元年九月 5勝10敗
優勝1:平成元年十一月 14勝1敗
優勝1翌場所:平成二年一月 10勝5敗 優勝は横綱千代の富士 14勝1敗、準優勝は横綱北勝海と小結霧島 11勝4敗
優勝同点:平成二年三月 13勝2敗 優勝は横綱北勝海 13勝2敗、関脇霧島も優勝同点
優勝同点翌場所:平成二年五月 12勝3敗 優勝は大関旭富士14勝1敗、準優勝は横綱千代の富士 13勝2敗
平成二年五月、小錦は優勝した旭富士に敗れています。この一番に勝利していれば、13勝2敗で巴戦に持ち込む形となり最低でも優勝同点でした。もし優勝していれば、「優勝同点+優勝」となりますから可能性は一応あるかと。
優勝同点:平成三年五月 14勝1敗 優勝は横綱旭富士 14勝1敗
優勝同点翌場所:平成三年七月 12勝3敗 準優勝 優勝は前13琴富士 14勝1敗
七月で、小錦は優勝した琴富士に敗れています。この一番を制していれば、13勝2敗で並ぶ計算。その上で優勝決定戦に勝利すれば「優勝同点+優勝」となりますから、妄想の余地は一応あるかと。ただし、三月に9勝止まりだったのがネックになるかもしれません。
優勝2:平成三年十一月 13勝2敗
優勝2翌場所:平成四年一月 12勝3敗 優勝は前2貴花田 14勝1敗、準優勝は小結曙 13勝2敗
優勝3:平成四年三月 13勝2敗
優勝3翌場所:平成四年五月 9勝6敗 優勝は関脇曙 13勝2敗、準優勝は前7若花田 11勝4敗
この時期は実に惜しかったですね。平成四年一月は、優勝した貴花田に敗れています。これを制していれば、13勝2敗で巴戦に持ち込む形となり、少なくとも優勝同点となります。決定戦に敗れていたとしても、「優勝+優勝同点+優勝」となりますから昇進基準が厳しい時代とはいえ、可能性は十分かと。史実の成績でも、平成四年五月時点で「昭和なら昇進できてそう」とは称して許されるかと思います。小錦が横綱に一番迫ったのは、この時期です。
チャンスと言えそうなのは、下記一回。
優勝:平成三年一月 14勝1敗
優勝翌場所:平成三年三月 5勝10敗 優勝は横綱北勝海 13勝2敗、準優勝は横綱大乃国 12勝3敗
チャンスと言えそうなのは、下記。
優勝1:平成八年一月 14勝1敗
優勝1翌場所:平成八年三月 11勝4敗 優勝は横綱貴乃花 14勝1敗、準優勝は大関若乃花・関脇武双山の12勝3敗
優勝2:平成九年十一月 14勝1敗
優勝2翌場所:平成十年一月 10勝5敗 優勝は大関武蔵丸 12勝3敗、準優勝は関脇栃東 11勝4敗
平成九年九月、貴ノ浪は武蔵丸を破ったものの優勝成績には星一つ及ばず。あと一勝していれば、巴戦に持ち込み最低でも優勝同点でした。貴ノ浪が綱に一番迫ったのは、この頃と言えるでしょう。史実成績でも十一月の時点で「2場所合計26勝、直近場所優勝」ではあります。ただし、その前の同年七月が9勝6敗止まり(優勝は横綱貴乃花 13勝2敗、準優勝は横綱曙 12勝3敗)だったので昭和基準でも厳しいかも。もっとも、戦中期前後のうち「連続優勝およびそれに準ずる成績」という基準が一応は成立していたと思われる双葉山以降の時代だと
安藝ノ海横綱昇進
昭和十六年五月 9勝6敗 優勝は大関羽黒山 14勝1敗、準優勝は横綱双葉山・関脇照國・小結玉ノ海 13勝2敗
昭和十七年一月 13勝2敗 準優勝 優勝は横綱双葉山 14勝1敗、大関羽黒山も準優勝
昭和十七年五月 13勝2敗 優勝同点 優勝は横綱双葉山 13勝2敗、大関照國も優勝同点
前田山横綱昇進
昭和二十年十一月 5勝5敗(15日制だと7勝7敗1分相当)
優勝は横綱羽黒山 10戦全勝、前10千代の山が優勝同点
昭和二十一年十一月 11勝2敗(15日制だと12勝3敗相当) 準優勝
優勝は横綱羽黒山 13戦全勝、関脇汐ノ海・前6増位山・前10三根山も準優勝
昭和二十二年六月 9勝1敗(15日制だと13勝2敗相当) 優勝同点
優勝は横綱羽黒山、大関東富士も優勝同点。優勝決定戦はこの場所から
なお、貴ノ浪に話を戻しますと、史実で綱取り場所となった平成十年一月は武蔵丸に勝利したものの及ばずでした。
平成八年五月 12勝3敗 準優勝 優勝は横綱貴乃花 14勝1敗、大関若乃花も準優勝
平成八年七月 12勝3敗 準優勝 優勝は横綱貴乃花 13勝2敗、横綱曙も準優勝
という時期も。同部屋の横綱貴乃花が優勝への壁になっていたのを痛感。2回の優勝がいずれも優勝決定戦で貴乃花を破ってのものであったという実績も考慮すると、貴乃花と本割で対戦がなかったのは彼にとって良かったのか悪かったのか。
チャンスがあったのは下記の通り。
優勝1:平成十三年三月 13勝2敗
優勝1翌場所:平成十三年五月 4勝5敗6休 優勝は横綱貴乃花 13勝2敗、横綱武蔵丸が優勝同点
優勝2:平成十三年七月 13勝2敗
優勝2翌場所:平成十三年九月 0勝4敗11休 優勝は前2琴光喜 13勝2敗、準優勝は関脇栃東
優勝翌場所に苦戦を強いられた時期です。
優勝3:平成十五年七月 12勝3敗
優勝3翌場所:平成十五年九月 7勝8敗
優勝は横綱朝青龍 13勝2敗、準優勝は大関千代大海・関脇若の里・前5岩木山の11勝4敗
この五月場所、魁皇は朝青龍を破ったものの、星二つ差。
優勝4;平成十六年九月 13勝2敗
優勝4翌場所:平成十六年十一月 12勝3敗 準優勝 優勝は横綱朝青龍 13勝2敗、前1白鵬も準優勝
この時は、非常に惜しかったです。この七月、魁皇は優勝した朝青龍に敗れています。もしこの一番を制していれば、12勝3敗で巴戦となり最低でも優勝同点でした。直前の五月も10勝5敗(優勝は横綱朝青龍 13勝2敗、前1北勝力が優勝同点)でしたから、印象はそう悪くないはず。九月に優勝した段階で横綱昇進を果たしていた可能性は否定できません。十一月場所は、優勝した朝青龍を破ったものの星一つ及ばず。あと一勝して決定戦に持ち込んでいれば、この時も横綱昇進の可能性はあったんですけどね。史実成績を見ても、この十一月場所終了時点では「優勝+準優勝、2場所計25勝」ラインには到達。その前も好成績でしたし、昭和の基準であれば昇進できた可能性は十分と思われます。魁皇が横綱に一番迫ったのは、まさにこの平成十六年十一月時点だったと言えそうです。
チャンスがあったのは、下記。
優勝1翌場所:平成十四年三月 10勝5敗 優勝は横綱武蔵丸 13勝2敗、準優勝は大関魁皇 12勝3敗
優勝は横綱朝青龍 13勝2敗、準優勝は大関千代大海・関脇若の里・前5岩木山の11勝4敗
優勝2:平成十五年十一月 13勝2敗
優勝2翌場所:平成十六年一月 9勝6敗 優勝は横綱朝青龍 15戦全勝、準優勝は前4琴光喜 13勝2敗
優勝は横綱朝青龍 14勝1敗、準優勝は大関千代大海・関脇琴欧洲・前14栃乃花の11勝4敗
優勝3:平成十八年一月 14勝1敗
優勝3翌場所:平成十八年三月 12勝3敗 優勝は横綱朝青龍 13勝2敗、関脇白鵬が優勝同点。
この三月場所、栃東は朝青龍・白鵬をいずれも破ったものの星一つ及ばず。あと一勝していれば、巴戦に持ち込み最低でも優勝同点になっていたところです。ただし前年十一月が途中休場だったのを考慮すると、昇進には連覇が絶対条件にはなっていたでしょう。綱に最も迫ったのは、この平成十八年三月場所かと。史実条件でも「直前2場所で計26勝」なので、貴ノ浪同様に戦中・終戦直後の基準であれば昇進できた可能性はありそう。
チャンスがあったのは、下記。
優勝:平成二十四年一月 14勝1敗
優勝翌場所:平成二十四年三月 10勝5敗 優勝は横綱白鵬 13勝2敗、関脇鶴竜が優勝同点
以上です。大関勝率6割台の面々全員が、「綱を掴めないまでも「指先に触れる」ところまでは到達した」というのは少し大げさだったかもしれません。しかし皆、少なくとも一度は横綱挑戦権を手にしたと言ってよさそう。あと、全員、少なくとも大関在位中に13勝以上の大勝ちを経験しています。中には、「あの場所にもう一勝していれば」「あの一番に勝っていれば」という所まで来た人も少なくありませんでした。平成の大関には、「昭和でこの成績なら昇進できた」という人も複数。やはり、「大関勝率6割」は、強豪大関の証と見て良さそうです。
※参考:千代大海 大関勝率.599 大関時代優勝2回
「大関勝率6割」に非常に惜しかったのは、この人。彼もまた、横綱へのチャンスが複数回あった存在です。
優勝1:平成十四年七月 14勝1敗
優勝1翌場所:平成十四年九月 10勝5敗
優勝は横綱武蔵丸 13勝2敗、準優勝は横綱貴乃花・大関魁皇・前7琴光喜の12勝3敗
五月場所、優勝した武蔵丸に勝利し準優勝となったものの、星2つ差。翌七月に一応は「準優勝+優勝、2場所計25勝」となったのを考慮すると、一番綱に迫ったのはこの頃でしょうか。なお、この直前である平成十四年三月は7勝8敗(優勝は横綱武蔵丸 13勝2敗、準優勝は大関魁皇 12勝3敗)と苦戦を強いられています。
優勝2:平成十五年三月 12勝3敗
優勝2翌場所:平成十五年五月 10勝5敗 優勝は横綱朝青龍 13勝2敗、準優勝は大関魁皇・前7安美錦の11勝4敗