<読書案内>森於菟『耄碌寸前』
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2018年 02月 07日
文豪・森鴎外には五人の子がありました。その中で最年長である、長男の名は森於菟。先週述べた通り、彼は昨年に没後五十年を迎えており、今年からその作品もパブリックドメインとなっています。 という訳で。今回の読書案内は、その森於菟の著作『耄碌寸前』(みすず書房)。表題作品を始めとして、森於菟の手になるエッセイをまとめたものです。 森於菟といえば、『父親としての森鷗外』に代表されるように、鴎外に関する証言を数々残した事で知られます。それらは、妹や弟たちとはまた異なった視点からなされた貴重なものです。他にも鴎外関連では、観潮楼(鴎外邸宅)のその後に関する顛末を記した『観潮楼始末記』、医学者の視線から鴎外の病状と死因に触れた『鷗外の健康と死』などがあります。いずれも、鴎外同様に医学の道に進み、父の死後は森家家長となった彼ならではのものと言えるでしょう。 しかし、於菟の文筆作品を「鴎外関連」のみで片付けるのは少しもったいありません。彼は近代日本解剖学における重鎮の一人として、解剖学講座や学者生活に関連したエッセイも数多く残しています。日本解剖学史を知る上でも、欠かせぬ証言を多数残した一人と称してよいと思います。 さて。そうした点を除外して見ても、於菟の文章は非常に魅力的だと思います。末尾に解説文を書いた池内紀は「家庭人鷗外の遺産というなら、第一に森於菟だとー少なくとも私は考えている」(森於菟『耄碌寸前』みすず書房 174頁)と於菟を高く評価しています。池内氏の評が妥当かどうか、僕には分かりません。しかし、拝読する限りでは、簡浄にして教養を感じさせる於菟の語り口は、父の名を辱めないものと称して良いかと思います。否、生死も老いもどこか軽やかにあしらうような、とぼけた飄々としたユーモアも含んだ作品の数々は、「鴎外の子」の作品、というより「エッセイスト森於菟」のそれとして、鴎外と切り離して評価するに足ると言えると考えます。流石に鴎外絡みのエッセイに関しては、父への敬意ゆえからか重みある雰囲気を受けましたけれども。 父・鴎外とも、異母妹・茉莉とも異なった興深い文筆家。そのような存在として、森於菟の名をこの場で称揚しておこうと思います。もし図書館や古書店などで目にする機会があれば、手にとってみてはいかがかと存じます。 ※2018/2/8 日本語のおかしい部分を修正。
by trushbasket
| 2018-02-07 20:41
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