引きこもりニート列伝その3 鴨長明・兼好法師 補足
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について若干追加する事があるのですが、レジュメにまとめるほどの量や内容でもないのでこちらにかきこむことにしますね。
この二人の隠遁生活における収入源について補足。
長明は、鎌倉に行き実朝と会見した際にどこかの小さな土地を与えられたのでないかと推測されています。将軍と面会してから閑居生活に入っている事から、この時期に生活が安定する目途が立ったと考えられているようです。
兼好法師に関しては、もう少し明らかになっています。出家前に堀川家の家司をしていた縁で堀川家から援助を受けていたほか、尊氏や高師直らに近づき歌の師匠として授業料をとっていたと言われます。また、武蔵国金沢に招かれているのも歌の師匠としてでしょう。
それに加え、山科の小野に一町歩の田地を購入し名主職となっている事が分かっています。つまりは不在地主だった訳ですね。付け加えると、兼好はこの地を元亨二年(1322)に売却し現金収入を得ています。
要は、この二人が隠居生活なんてしていられたのは不在地主として収入があったからなんですね。隠遁生活は多くの人の憧れであるようですが、中々現実は厳しいです。
【参考文献】
隠者の文学 石田吉貞著 塙新書
下剋上の社会 阿部猛 東京堂出版
方丈記・無名抄 付・無名草子 増補版 郷衡著 有朋堂
新訂 徒然草 吉田兼好著 西尾実・安良岡康作校注 岩波文庫
日本古典文学大系太平記 二 岩波書店
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ある隠遁生活者の肖像―兼好法師と南朝隠密伝説―
(以下2010年6月26日加筆)
兼好法師については
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の日本史』
(「吉田兼好 女など心に浮かぶ虚像で十分 ~700年前の二次元大好きキモオタのリアル女弾劾の声を聞け~」収録)
もご参照ください。