『明史』(翻訳)の見所
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そこで少し案内を。
どちらも明末の国防に力を尽くした人物で、孫承宗が戦略指導者、袁崇煥がその下の現場の指揮官の中心人物って感じだと思います。
袁崇煥のほうが有名でしょうが、孫承宗伝のほうが全体的な状況がイメージできて、読んで面白いと思います。
個人的に見所と思うところは、対外防衛よりも対内的なもので、宦官の魏忠賢との対立なのですが。
魏忠賢といえば、人の脳髄を食すと失われた性器の再生効果があるとかいう話を受けて罪人を七人殺して脳髄を食べたとか、余りの権勢を恐れはばかって全土で生き神として祭られたりとかの逸話が残る、禍々しい大宦官です。
宮中に巣食い首府を牛耳る魔人に向けて、北方十万の精鋭を擁する硬骨の大臣が、帝国の命運を賭け今立ち上がる。
明朝の運命はいかに。
まあ、たぶん歴史的に重大な意味は無いですし、事件の経過も微妙な感じに終わってしまうんですが、途中の盛り上がりは、結構好みです。
『明史』 孫承宗伝(翻訳)
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/my/sonshoso.html
『明史』 袁崇煥伝(翻訳)
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/my/ensukan.html
参考資料
三田村泰助『宦官』中公新書
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『明史』の翻訳について
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