続ロリコン とある架空世界のお話
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…義務教育の小学校は十歳までだ。
中学校は行きたい人が行けばいい。
法律的には、十歳までが子供で、小学校を出ると大人と同じ扱いを受ける。
ここいらは二十世紀のニッポンというよりイギリス……英吉利という国に似ている。
これを、「小学校卒業みんなが大人法」。略して小卒大人法(しょうそつおとなほう)という。
(中略)
もちろん、好きな仕事を探してもいい。結婚だってその気になれば、十一歳の男の子と女の子が、親の許しなしでできる。交通違反のような法律で禁じられていることさえしなければ、なにをしても、大人なみ。……ついでにいえば税金さえも大人なみだ。
この制度は日本よりイギリスに似ているという設定らしいので、イギリスの病んでる時代を比較対照に挙げてみますが、紳士ぶってる裏で幼女の裸写真を撮りまくっていたヴィクトリア朝変態社会における女子の最低婚姻年齢ですら12歳、1871年以降は14歳だったとか。ちなみにヴィクトリア朝期のイギリスの社会は貧困階層の少女売春の激しさで国際的に有名だったらしく、一応12歳以下の少女との性交を罪としてはいるものの、そんな規制に効果はなかったようで、10歳または11歳と裏面に記載された妊娠した売春婦の写真が現存しています。
つまりこの世界は、少女売春が猖獗を極めロリコンをさらに超えて幼女趣味まで突っ走った異常社会よりも、最低婚姻年齢が低いのです。
さてこの世界ですが、なんの物語の舞台かと言いますと
なんとアニメ版『ポケットモンスター』です。
おそらく一般的に、子供向け健全アニメと思われているであろう、ポケモンなのです。
この文章の引用元は『ポケットモンスターTHE ANIMATION VOL.1旅立ち』(16、17頁)、ポケモンのアニメシリーズの構成作家である首藤剛志氏の手がけた、ポケモンのアニメの小説版です。だからこれは、小説化を担当した人物が勝手にポケモンの世界観を歪めたとかではなく、まぎれもなく真実のポケモンの設定ということになります。
ナボコフの『ロリータ』の主人公ハンバート氏は現代社会では「二十五歳の男が十六歳の娘に求愛することは許されても、十二歳の少女にそうすることは許されない」(大久保康雄訳 新潮文庫 27頁)と嘆いていますが、ポケモンの世界ならそれも合法です。そしてこれが合法なら描かれざる領域では当然邪念あふれるあんなことやこんなことが…。
子供向けの商品として、冒険する主人公が子供である必要があるのは認めますし、そのような状況を正当化する背景として小卒で大人という法制度を設定するのも良いと思います。でも大人であることの具体的な例示として、結婚を持ち出す必要はないんじゃないかと思います。
そんなもの持ち出されたら、否応なしに、ポケモン世界ではロリコンが合法なのだと、認識してしまいますし、つい描かれざる邪な世界について想像を巡らせてしまうではないですか。
ちなみに主人公のサトシの住むマサラタウンは田舎町だから、小学校を出た子の働き口などなく、ほとんどの子供たちがポケモントレーナーを目指して町を出るという設定です。
「一人前のポケモントレーナーになったサトシの先輩たちもいる」(17頁)とのことですが、あくまで「もいる」であって大多数は失敗しているようです。社会一般の傾向として、男の子の大半がポケモントレーナーを目指し、その多くが、「夢を深追いした末に」「つぶしがきかない」状態になって、「どこかいじけてい」て「ほらばかりふいてい」て「いつも、一攫千金を夢見ている」ただの山師と化し、社会的に重要な職業が「ほとんど、女性に占領され」るという有様らしいですが(130頁)、一国の警察官や医者のすべてが一つの家系の子孫親類で占められている(130頁、170頁)ところから見て、伝えるべき家業を持たない家系の人間や、しかるべき家系でも下の方の子は、女の子だって男の子と似たようなものだと考えられます。そもそも先行して語られた、田舎では勤め先がないためほとんどの子供がポケモントレーナーを目指すという状況から言って、10かそこらの年齢で社会秩序の外部に弾き出された地方出身の無数の少年少女が、つぶしがきかなくなる年齢まで「夢を深追い」することを強いられ、行く当てもなく堕ちていっているというのが真相でしょう。
というか夢を追っている間も少年少女たちはまともな職もないまま「大人」として生活を維持せねばならず、日々の糧を得るために最初から堕ちきった生活をし、その状況をポケモントレーナーを目指していると夢の名で美化して呼んでいるだけなのでしょう。
先に持ち出したヴィクトリア朝の例にならえば少女売春婦とか少年乞食となっているのでしょうし、このほか歴史上の余剰人口の最大の落ち着き先である兵隊となって、凄惨な戦場で無惨な屍を曝しているかもしれません。
そういえば、ポケモンの原作ゲームを作った任天堂は、子供対象の健全娯楽企業という顔の下に、ひねくれた黒い魂やエロ要素も受け入れるしたたかさを抱えているらしいので、ひょっとしたらこれもその黒さやしたたかさが滲み出てきてるのでしょうか?
えげつなすぎる気がしますが、それでも、真っ白健全なだけの作品を作られるよりは好感が持てるので、今後もこういう黒さは維持してほしいものですね。
参考資料
首藤剛志著『ポケットモンスターTHE ANIMATION VOL.1旅立ち』 小学館スーパークエスト文庫
下川耿史編著『世紀末エロ写真館』 青弓社
高橋康也著『ヴィクトリア朝のアリスたち ルイスキャロル写真集』 新書館
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おまけ
ちょっとだけ任天堂ネタ
任天堂はじまったなwwwww(ニュー速クオリティ)
http://news4vip.livedoor.biz/archives/50962293.html
任天堂の黒さの一例。リアルなオンナのコに脅えるヲタカメレオンほか。
TECMO PRESS CONFERENCE 2007 Spring:Report.2(Impress Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070330/tecmo2.htm
任天堂とエロ。
「任天堂さんに『かすみちゃんに触るゲームとかも、いいですか?』とか聞いて『別にいいですよ』なんていう話もあった」とのこと。
ちなみに「かすみちゃん」とは、乳揺れで有名なゲーム『デッドオアアライブ』に出てくる女の子です。
リンクを変更(2010年12月8日)