「世界は『男性』の大きさを歴史的にどう見ていたか」補足―我が国の場合―
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徳川期の「女大楽宝開」には男根の等級付けが行われた一節が存在しますが、その中で「太」すなわち巨根は第八位と余り高くない順位とされています。そして、古川柳でも「たわけのくせにへのこ二人前」などと言われるように、愚者ほど男根が大きい傾向があると見る向きがあったようです。案外普遍性のある考え方だったのかもしれませんね。
せっかくですから、ここで巨根以外の男根における等級についても述べようかと思います。第一位に挙げられたのは「麩茎」であり「勃きたるが尊からず、麩茎をもって尊しとする」と「色道実語教」でも述べられています。一方で「色道禁秘抄」のように「なにほど気満ちてもグニャ」つくとして低評価をするものもいます。結局一般評価としてはどうだったのか気になりますが、歌麿「初霞」では「腎張麩男根」は女陰に応じて広くも狭くも対応できると高く評価している事から、精力旺盛であれば強弱自在・臨機応変な麩茎が最上であると考えていたと見てよいでしょう。第二位は「雁」であり、雁の首のように立派な首筋の男根です。中でも「雁高」といい亀頭が高く流線型に張り出したものを重んじたという事です。第三位は「反」で反りの利いた男根で、特に上に反ったものがよいとされました。第四位は「傘」、亀頭の頚冠部が傘のように広がったもので「善光寺麻羅」とも言われます。挿入するときより抜く時の方が快楽が高まるのだそうです。第五位は「赤銅」で、赤銅色の男根は好色な男に多いとされ逞しさの象徴とみなされました。第六位の「白」はこの正反対で、白い男根は力がなく下等と評されています。第七位「木まら」は木のように硬い男根で、青少年に多いのですが女性にとっては棒のようで痛いだけと酷評されています。第八位である巨根の下も紹介すると、第九位が「長」でそのまま長い男根を意味します。第十位が「すぼ」で、いわゆる包茎・皮かむりの事だそうです。
大きな男根が生命力を象徴すると太古より考えられていた一方、単純に巨根が実用において重んじられていたわけではないのですね。現代においても巨根願望が後を絶たない事を考慮すると、こうした見方の存在は性文化の成熟を意味するものといえるのかもしれません。
…しかし、最近僕はこんな話ばかりしてる気がします(苦笑)。
【参考文献】
江戸の性愛学 福田和彦 河出文庫
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歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「日本民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021206.html)
関連サイト:
「クルーラホーンの部屋」(http://homepage1.nifty.com/cluricaune/index.html)より
「金山神社かなまら祭」(http://homepage1.nifty.com/cluricaune/domestic/kanagawa2/kanamara.html)
「宝画戯言(改)」(http://toriatama5.blog36.fc2.com/)より
「ウタマロの国」(http://toriatama5.blog36.fc2.com/blog-entry-898.html)
やっぱり、前回同様に知る人ぞ知る(というか海外で有名)な祭です。エリザベス神輿の雄姿や掛け声が実に素晴らしい。