2009年 02月 01日
ロリコン摂政・藤原伊尹 ~せっかくだから俺はこのロリっ娘との恋をお手製ノベルにして残すぜ~ 『豊蔭』
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平安中期の政治家に藤原伊尹(924~972年)という人物が居ます。摂政、さらには太政大臣に昇って政治家としての最高位を極めた人物で、一条大路に面した邸宅に由来する一条摂政の異名を持ち、風貌と才知に優れ、派手な性格であったとか。
ちなみに、この人物、詩人としても知られており、彼の歌は『一条摂政御集』に集められています。
で、この『一条摂政御集』は、それぞれ異なる人物によって編集された三部からなり、第一部は伊尹の自撰で彼の死の直前に成立、第二部は彼に近しい人物が992年以降のそう遠くない時期に編集、第三部は1005~1007年の『拾遺和歌集』成立以後の増補だとされています。
そして、その自撰の第一部は、『豊蔭』という名の歌物語となっており、ここで伊尹は、自らの色好み人生における恋歌・色恋話を、年代順・相手の女順に並べて回想し、架空の下級役人、倉橋豊蔭に仮託して、身分の低い男が身分の低い女と紡いだ恋愛遍歴一代記という形に、仕立て上げています。
ところが、この『豊蔭』、
情感の深みや高まりを欠くとか、似たようなパターンの話の繰り返しだとか、評価されています。
つまり、歌物語としてはイマイチレベルの高くないちょっと微妙な存在なわけです。
とはいえ、文芸としての完成度はともかくとして、
大日本帝国の輝かしいHENTAIネタ帳としては、実は、なかなかのハイクオリティ。
というわけで、摂政という高位に昇った人物でありながら自分の色恋を恥ずかしげもなく出版する、色情摂政藤原伊尹殿の異常摂政ぶりを、彼の切ないラヴ・ノベル with ポエム(主人公俺様)から、大紹介。
(原文引用は『新 日本古典文学大系』から)
で、彼のステキに異常なHENTAI恋話が語られるのは、『豊蔭』所収の21番から23番の歌において。
<訳>
ちょっとした縁があって、この豊蔭老人、かつて内裏のほうに務める女官に言い寄っていたことがあった。野辺という名の童女を召し使っていた女官の所に、昼のうちから約束を取り付けておき訪ねてみたものの、女は約束を聞いておらず、一人だけ居残っていた野辺と交わって過ごしていたが、主人の女の方には歌を送っておくことにした
飽き果てて逢わずにかえる恋の道帰るかわりに野辺に乗り換え
待つ俺を無視して来ないお前より夜更けまで鳴く野辺のいとしさ
次の年、この野辺が死んでしまったので
ペド公が白露そそぐロリっ娘は今は亡いから二度と来るなよ
こう女官から歌を言い送ってきて、野辺が亡くなったのだと知った。その頃はとても可愛く思っていたものだが、特別な身分でない人のことだから完全に忘れてしまった。
一応、説明しておきますと、「童」とは召使いの子供で、女の子の場合は12、3歳頃に行う裳着の前の少女を指し、通常10歳前後らしいので、女童の「野辺」は10歳ちょっとのロリっ娘メイドなわけですね。
ちなみに、最後の「特別な身分でない人のことだから完全に忘れてしまった(ことなることなき人の上はみな忘れにけり)」という文が、身分の低い役人と身分の低い女達の恋物語という設定にそぐわないような気がしますが、これは、物語の設定を忘れて、作者本来の身分意識が顔を出したものだそうです。
物語として見るならば、これでまったく台無しです。
ですが、伊尹という人物の個性を知る材料としては、むしろこの方が面白い。
過去の自分の恋歌・色恋話を、他人の物語として仮託し潤色しつつ語っている最中で、ついつい「他人」設定を忘れて自分自身が出てきてしまうところに、この恋にかけた伊尹の本気度が現れていると言えましょう。
自分のロリコンぶりをわざわざ語り記してるだけでアレなのに、我を忘れて筆に抑えが効かなくなる程、ロリっ娘語りに熱中ですから。
しかも、身分卑しき者のことだから全部忘れてしまったとか言いつつも、名前もどんな恋だったかも、爺(自称)になってなお、くっきりハッキリ憶えているんですよ。
あのブドウは酸っぱいってわけですね。
分かります。
酸味の残る青い果実を、逃したHENTAIの心の痛み、十分に十二分に伝わってきましたとも。
このロリコンめ。
というわけで一条摂政・藤原伊尹は、自分のロリコンぶりを物語にまとめてわざわざ世間に露出する、なかなかステキな変態紳士。
年老いるまでずっとロリっ娘のことを心に留め、ロリっ娘のこととなると自制が効かずについ熱くなっちゃう、熱く萌えるロリコン野郎でした。
5月10日 タイトルに物語名の『豊蔭』を加筆
参考資料
『体系物語文学史 第三巻 物語文学の系譜 I 平安物語』三谷榮一編 有精堂出版
『新 日本古典文学大系28 平安私家集』岩波書店
『スーパー・ニッポニカ Professional』小学館
関連記事
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HENTAIとヘタレが咲き乱れる日本の文学的至宝・物語文学案内 ~作品紹介+関連記事まとめ~ 1/2 平安編
ロリコン教の教祖様は少女の劣化という難問に、いかなる方法で対処したか? 付 ナボコフ、メイドを謳う
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529065/
偉大なるダメ人間シリーズその3 モルトケ(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529098/
日本民衆文化史
http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021206.html
藤原伊尹については
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の日本史』
(「醍醐天皇 藤原伊尹 木曽義仲 恋の時代の平安朝の歪んだ恋の虜たち ~平安ロリコン英雄伝~」収録)
もご参照ください。
(著作紹介2010年6月26日加筆)
たまにはオマケ
頭の固い人にはおススメしないリンク集
COMIC LO 公式サイト【茜新社】
http://www.akaneshinsha.co.jp/akane/lo/index.html
作家別コミックスリスト - 町田ひらく【漫画に関するWebページ「OHP」】
http://picnic.to/~ohp/machida/machida.htm
町田ひらくの少女は叫ばない~10余年と10年前のインタビュー~【きなこ餅コミック】
http://yusurakinaco.blog92.fc2.com/blog-entry-162.html
雨がっぱ少女群のエロマンガ少女は、夕暮れの中から視線を向ける【たまごまごごはん】
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20080301/1204300548
ぢょんぢょんの山小屋
http://dyon.sakura.ne.jp/dyondiary/
エコール DVD情報ページ【Geneon Entertainment】
http://www.geneon-ent.co.jp/movie/topics/ecole_c.html
『エコール』Amazon商品ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/B000MQ3UM2/
リンクを変更(2010年12月8日)
ちなみに、この人物、詩人としても知られており、彼の歌は『一条摂政御集』に集められています。
で、この『一条摂政御集』は、それぞれ異なる人物によって編集された三部からなり、第一部は伊尹の自撰で彼の死の直前に成立、第二部は彼に近しい人物が992年以降のそう遠くない時期に編集、第三部は1005~1007年の『拾遺和歌集』成立以後の増補だとされています。
そして、その自撰の第一部は、『豊蔭』という名の歌物語となっており、ここで伊尹は、自らの色好み人生における恋歌・色恋話を、年代順・相手の女順に並べて回想し、架空の下級役人、倉橋豊蔭に仮託して、身分の低い男が身分の低い女と紡いだ恋愛遍歴一代記という形に、仕立て上げています。
ところが、この『豊蔭』、
情感の深みや高まりを欠くとか、似たようなパターンの話の繰り返しだとか、評価されています。
つまり、歌物語としてはイマイチレベルの高くないちょっと微妙な存在なわけです。
とはいえ、文芸としての完成度はともかくとして、
大日本帝国の輝かしいHENTAIネタ帳としては、実は、なかなかのハイクオリティ。
というわけで、摂政という高位に昇った人物でありながら自分の色恋を恥ずかしげもなく出版する、色情摂政藤原伊尹殿の異常摂政ぶりを、彼の切ないラヴ・ノベル with ポエム(主人公俺様)から、大紹介。
(原文引用は『新 日本古典文学大系』から)
で、彼のステキに異常なHENTAI恋話が語られるのは、『豊蔭』所収の21番から23番の歌において。
ものの縁ありてこの翁、内裏わたりなりける人にものいひけり。野辺といひける女童つかひける人のもとに、昼よりちぎりけれど、女はえ知らで、たゞ野辺にのみあひてあるに
知る人もあらじにかへる葛の葉のあきはてがたの野辺やしるらん
まつ虫の声もきこえぬ野辺にくる人もあらじに夜さへふけにき
またの年、この野辺が死にければ
白露はむすびやすると花薄とふべき野辺も見えぬ秋かな
これにてぞ亡くなりにけりとは知りける。その折はいとをかしと思ひけることどもありけれど、ことなることなき人の上はみな忘れにけり。
<訳>
ちょっとした縁があって、この豊蔭老人、かつて内裏のほうに務める女官に言い寄っていたことがあった。野辺という名の童女を召し使っていた女官の所に、昼のうちから約束を取り付けておき訪ねてみたものの、女は約束を聞いておらず、一人だけ居残っていた野辺と交わって過ごしていたが、主人の女の方には歌を送っておくことにした
飽き果てて逢わずにかえる恋の道帰るかわりに野辺に乗り換え
待つ俺を無視して来ないお前より夜更けまで鳴く野辺のいとしさ
次の年、この野辺が死んでしまったので
ペド公が白露そそぐロリっ娘は今は亡いから二度と来るなよ
こう女官から歌を言い送ってきて、野辺が亡くなったのだと知った。その頃はとても可愛く思っていたものだが、特別な身分でない人のことだから完全に忘れてしまった。
一応、説明しておきますと、「童」とは召使いの子供で、女の子の場合は12、3歳頃に行う裳着の前の少女を指し、通常10歳前後らしいので、女童の「野辺」は10歳ちょっとのロリっ娘メイドなわけですね。
ちなみに、最後の「特別な身分でない人のことだから完全に忘れてしまった(ことなることなき人の上はみな忘れにけり)」という文が、身分の低い役人と身分の低い女達の恋物語という設定にそぐわないような気がしますが、これは、物語の設定を忘れて、作者本来の身分意識が顔を出したものだそうです。
物語として見るならば、これでまったく台無しです。
ですが、伊尹という人物の個性を知る材料としては、むしろこの方が面白い。
過去の自分の恋歌・色恋話を、他人の物語として仮託し潤色しつつ語っている最中で、ついつい「他人」設定を忘れて自分自身が出てきてしまうところに、この恋にかけた伊尹の本気度が現れていると言えましょう。
自分のロリコンぶりをわざわざ語り記してるだけでアレなのに、我を忘れて筆に抑えが効かなくなる程、ロリっ娘語りに熱中ですから。
しかも、身分卑しき者のことだから全部忘れてしまったとか言いつつも、名前もどんな恋だったかも、爺(自称)になってなお、くっきりハッキリ憶えているんですよ。
あのブドウは酸っぱいってわけですね。
分かります。
酸味の残る青い果実を、逃したHENTAIの心の痛み、十分に十二分に伝わってきましたとも。
このロリコンめ。
というわけで一条摂政・藤原伊尹は、自分のロリコンぶりを物語にまとめてわざわざ世間に露出する、なかなかステキな変態紳士。
年老いるまでずっとロリっ娘のことを心に留め、ロリっ娘のこととなると自制が効かずについ熱くなっちゃう、熱く萌えるロリコン野郎でした。
5月10日 タイトルに物語名の『豊蔭』を加筆
参考資料
『体系物語文学史 第三巻 物語文学の系譜 I 平安物語』三谷榮一編 有精堂出版
『新 日本古典文学大系28 平安私家集』岩波書店
『スーパー・ニッポニカ Professional』小学館
関連記事
大和心はロリ心 ~ロリペド輝く『大和物語』~
HENTAIとヘタレが咲き乱れる日本の文学的至宝・物語文学案内 ~作品紹介+関連記事まとめ~ 1/2 平安編
ロリコン教の教祖様は少女の劣化という難問に、いかなる方法で対処したか? 付 ナボコフ、メイドを謳う
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529065/
偉大なるダメ人間シリーズその3 モルトケ(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529098/
日本民衆文化史
http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021206.html
藤原伊尹については
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の日本史』
(「醍醐天皇 藤原伊尹 木曽義仲 恋の時代の平安朝の歪んだ恋の虜たち ~平安ロリコン英雄伝~」収録)
もご参照ください。
(著作紹介2010年6月26日加筆)
たまにはオマケ
頭の固い人にはおススメしないリンク集
COMIC LO 公式サイト【茜新社】
http://www.akaneshinsha.co.jp/akane/lo/index.html
作家別コミックスリスト - 町田ひらく【漫画に関するWebページ「OHP」】
http://picnic.to/~ohp/machida/machida.htm
町田ひらくの少女は叫ばない~10余年と10年前のインタビュー~【きなこ餅コミック】
http://yusurakinaco.blog92.fc2.com/blog-entry-162.html
雨がっぱ少女群のエロマンガ少女は、夕暮れの中から視線を向ける【たまごまごごはん】
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20080301/1204300548
ぢょんぢょんの山小屋
http://dyon.sakura.ne.jp/dyondiary/
エコール DVD情報ページ【Geneon Entertainment】
http://www.geneon-ent.co.jp/movie/topics/ecole_c.html
『エコール』Amazon商品ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/B000MQ3UM2/
リンクを変更(2010年12月8日)
by trushbasket
| 2009-02-01 02:09
| My(山田昌弘)








