2009年 05月 10日
ロリっ娘が薄着スケスケ陽射にキラッ 泉はロリコンパラダイス ~中世最強ロリ小説『恋路ゆかしき大将』~
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今回は、中世日本の物語文学中の最高のロリコン小説を紹介します。
まずはロリコンとは何かを確認しますと、ロリコンの言葉の元となった小説『ロリータ』によると、ロリコンの守備範囲は9~14歳だそうです。
だいたい女性は14、5歳で生理が規則的になってメスとしての成長の最終段階を通過、16、7歳で成長が止まるとのことなので、要はロリコンってのは、幼女より上、成体未満の、少女が大好きな人のことですね。
で、早婚な中世の文学を引っ張り出して、ロリコン呼ばわりしていると、時代背景が違う以上それはロリコンじゃないと、ツッコミ入るかもしれないのですが、
これについては、調べてみると、現代人とあまり感覚が変わりません。違いがあるとすればロリコンが行動に出ても許されただけです。
物語文学の作品に全体的に目を通した印象では、ヒロインは、14、5歳くらいまでは幼いとされることがあったりなかったり、それより下だと、成熟度を云々されれば、だいたいが幼いという扱い。14、5歳より下だと、大人びていれば年齢不相応として特筆される感じ。
で、昔の年齢は数え年だから、今で言う14歳くらいまでが、中世人的に少女ってとこでしょう。
下の方だと、幼児ではないが成年でもない女童に手出ししてエロに及ぶ人間が普通にいて、童とは多くが10歳前後。その上、源氏物語かなんかで10歳を超えた子は人形で遊ばないものだとか、10歳を超えたら男女の部屋は別とか、言ってたはず。
つまり今で言う9歳あたりが、一応性的存在である少女と非性的存在の幼女の中世での境目。
というわけで、9~14歳っていうロリコン御用達の少女愛ゾーンは時代は違えど異ならず、その年齢層の少女に萌える野郎が描かれた古典作品は、時代の違いを考慮しても、弁護の余地なくロリ小説。
で、そんな少女愛と言えば、『源氏物語』の若紫の話が、非常に有名なんですが、敢えて言おう、若紫の物語はベスト・ロリコン小説では無いと。
中世物語中のベスト・ロリコン小説は、若紫の物語を踏まえた上でさらなる高みでロリ魂を爆発させた、14世紀初頭の『恋路ゆかしき大将』で描かれる恋路ゆかしき大将と女二宮の物語。
では、以下は同書のロリコン小説な部分(第二巻)を見ていきましょう。
(原文引用は『中世王朝物語全集』笠間書院)
<訳>
……、恋路内大臣はとても早くに宮中に出仕なさった。……昨夜の秋の嵐で立て戸が倒れて、辺り一面丸見えで、いつもと違い見渡すことが出来るのだが、女二宮のお住まいの小庭の草むらに、子供達が下りて、虫かごをそれぞれ手に持っている。それを御覧になろうと、男二宮が御簾を高く持ち上げさせておられるところ、10、11歳くらいかと見える背丈の方が、うつむいて立っておられたが、……気高く、色香というか輝きというか比類無く素晴らしい御様子は、これが女二宮でいらっしゃるのだろう。万事騒がず落ち着き払った恋路おにいさん(25歳)の御心も、今これを見てはどうなっているだろうか、心の奥まで落ち着かなくなって、驚愕されたのであった。……、とはいえ今はまだ、恋人にするには特殊なお年頃で想いをぶつけることのできる相手でもないので、恋路おにいさん(25歳)としてはただただ見守り申し上げることができれば満足なのであるが、そうしていると女二宮(12歳)が「ねー、お人形のお家にも虫がいて綺麗に鳴いてると良いよねー。綺麗なお人形のお家に綺麗な鳴き声まですれば、すっごく嬉しいな」と仰って、男二宮が、「うーん、まだまだ。苔とか露とかも入れれば、人形も、もっと綺麗に見えるんじゃないかな」と笑ってお返事されたが、なるほど納得との御様子で、真剣になっている女二宮(11歳)の目元など、見守っている恋路おにいさん(25歳)も思わず微笑んでしまうほどで、……。
宮中の未だ幼いお姫様連れて行きたい俺のロリ嫁
<訳>
恋路おにいさん(25歳 左大将兼内大臣)は、あの日の女二宮(11歳)の面影が忘れられずにいたのだが、……そこで用意なさった人形の家の出来映えを見れば、その気の回しようは、底なしであり得ない程であった。なかにいれるおにんぎょうさんもたくさんみんなにつくってもらい、おにいさん(25さい)は、おひめさま(11さい)にとどけてもらうため、おひめさま(11さい)のおかあさんのふじつぼのにょうごに、おにんぎょうのおうちをプレゼントしました。……
まつむしにりっぱなおうちをあげましょうボクのつくったにんぎょうのいえ
帝も藤壺女御のお部屋で、面白がっておられたが、中納言の乳母が、「これは、あの嵐の翌朝に女二宮が欲しがっておられた物でございます。『……、恋路内大臣がじっと覗いておられました』と、後で人が申しておりましたが、本当だったんですよ」と申し上げたのを、帝は、なかなかないほど興味深くお思いになって、笑っておられる。「……。なんとか朴念仁の恋路内大臣の心を揺さぶるようなことをしてみたいと思いつつ、どうにも巧く行かず残念だったが、あの子にそこまで想い寄せているなら、こいつは面白い」とお考えであるが、奇行に走る帝の御性癖なのである。御返歌を、帝がお書きになり、
宮中で大事に飼ってる松虫を立派なお家のお前にやろう
……
<訳>
恋路おにいさん(25歳)はご自分がお住まいの三条院の……西面に、……、人形の家を次々作って、……、図面だのなんだのと指図して、それ以外のことは放り出して細工しておられるが、人々は、何でこんな事をと、互いにつつき合って面倒くさがっている。……
<訳>
女二宮は12歳におなりである。……。女二宮が成人の儀式の裳着を終えた翌日、雲一つ無い昼間、恋路内大臣が出仕なさったところ、帝は「君は、それじゃあ、未だにまったく子といえる人が、名乗り出てきたことさえ無いんだね。なら、ここに言うこと聞かない、いらない子がいるから、この女の子を君の子にしなさい」とか言って、仕切りを押しやり、扇を取り上げ、姿を隠す物を奪い去った上で、女二宮(12歳)を恋路おにいさん(26歳)のいる端の方へと向かせなさった。……御様子は、かつての嵐の翌朝と比べれば、ずっと大人びて、恋路おにいさん(26歳)の心を一層惑わせるのであった。……。帝も、恋路おにいさん(26歳)の御様子を、やはりなムッツリロリコンめ、こうしてやればいつものスカした仮面を剥がせるわけだと、何とも言えず面白がって、女二宮(12歳)が、去年の虫の家を大事にして、住む虫がいなくなっても手放さないのだなどとお笑いになり、……。……、いつもは動揺を事も無げに鎮め紛らせてしまう真面目な人柄の恋路おにいさん(26歳)も、少々狼狽えてしまい、帝の御前を、言葉少なに退出なさったのであるが、「手折りたいなあ、春のつぼみみたいな、可憐なロリっ娘……、若枝のような細くて瑞々しい肢体……」などと一人ぶつくさ言ってしまい、さすがに図々しいと、自省したのだが、帝は、耳ざとく聞きつけなさると、大納言の君を使い走りに、
ロリコンよ我が家の娘は幼いが望みのままに手折れつぼみを
<訳>
……、二月の二十日過ぎ、恋路おにいさん(26歳)の邸宅である三条院に天皇ご一家のご訪問があった。……。……、方丈の部屋の中に構築した人形の家を御覧に入れた。藤壺女御と女二宮は一つの車に同乗して、手をつないでお越しになる。……
……。……、女二宮(12歳)は、心の底から離れたくないといった御様子で見つめておられるが、帝がこれを面白いと御覧になって、「いいこと思いついた、お前、いつも見られるように、ここで暮らしたら良いよ」と提案なさったところ、笑みを浮かべられた女二宮(12歳)のかわいらしさは、辺りにこぼれるばかりであった。……。……女二宮(12歳)だけは、なお三条院に残られるのであった。
<訳>
屋敷の主人の恋路おにいさん(26歳)は、落ち着かず、どうにか女二宮(12歳)の御心を惹きつけようと、貝覆い、手毬などどんな子供の遊びでも、御自分も一緒になって遊んでおられたが、女二宮(12歳)御自身は緊張して、何事も遠慮がちにしておられて、……。……中三日ほどで女二宮はお帰りになった。恋路おにいさん(26歳)は、それにしても全く、これほど物事に熱中なさったことはかつてなかったのである。恋路おにいさん(26歳)の深い御愛情は、何となくも感られるのか、女二宮(12歳)も最初こそ遠慮がちで気後れしておられたが、見馴れてくる内に、愛情深く良くしてくれる人とお分かりになって、うち解けておいでになった気立ての好ましさは、恋路おにいさん(26歳)の心に深く染みこんで罪なほどのおそろしく深い愛着をひきおこしてしまった。御迎えの人々が参ったので、恋路おにいさん(26歳)は「ハァ、ずっとここに居て欲しいなあ。お別れを寂しがってももらえず、お兄さん悲しいな」と近寄り恨み言を申し上げたところ、女二宮(12歳)は信頼しきった様子で見上げて、「だって、また直ぐ遊びに来るもん」と仰られる様子は、無邪気で、もはや恨めしく思うこともできない。女二宮(12歳)は幼く愛くるしい御様子であるが、それが恋路おにいさん(26歳)には何とも好ましく、かえって恋心の鎮めようがないのを紛らそうと、何度も何度もまた今度と約束申し上げるのだが、女二宮は帰りを急いで退出なさり、後に残った恋の想いは、胸に溢れてもう我慢できない。……ぼんやりしている恋路おにいさん(26歳)の姿が、親友の花染権中納言はおかしくて、「良い子ぶっても、しょせん男はエロいもんだ」と、流し目でいわくありげにニヤつくので、恋路内大臣は目線を合わせ、何が言いたいと、イラついておられる。……。恋路おにいさん(26歳)が無邪気で可愛らしい女二宮(12歳)の御言葉や面影ばかり思い浮かべているうちに、春も末となった。
<訳>
……。帝は恋路内大臣の元へ、「見たところ、心がときめきしてるようだが、お前がそんなになるとは見物だな」などと、いつものように明け透けなお手紙をして、互いに遠慮無く手紙を交わし、突然、またも女二宮(12歳)が恋路おにいさん(26歳)の元にお越しになることとなった。
<訳>
……。今回は、さらに馴染んでおいでだからか、女二宮(12歳)は、親しみやすい御様子で、ポヤンと可愛らしく過ごしておられるのを、恋路おにいさん(26歳)は心から愛しく想い申し上げるが、帝の御厚意は、前世からの深い縁でもあるのかと思われるほどで、感謝に堪えないのであった。しばらくのんびり御滞在されたが、帝がお風邪ということで女二宮もお帰りになり、お供というわけでもないが恋路内大臣も、急ぎ出仕なさった。
<訳>
……、恋路内大臣はずっと宿直所においでになったところ、……。……。女二宮(12歳)を、事情を話して帝が呼び出されたのだろう、奥の方から女二宮(12歳)が出てこられたのである。……。よく知った仲であると笑いかけてこられるのも嬉しくて、恋路おにいさん(26歳)は涙さえ浮かべ、あー、かぁーいーなぁと、目を離すことも出来ず見守っておられた。……、女二宮(12歳)は珍しく誰かから献上されたオモチャの箱の、目に見えないほど小さいのを、お手にお持ちになって、「これー」といって見せにこられるので、恋路おにいさん(26歳)が「こんなのがお気に入りですか」と申し上げると、「そんなわけじゃないけど……」とつぶやいておられる御様子の愛くるしさ、恋路おにいさん(26歳)はこれを自分にまず見せてやろうとお考えになったのだと思えば、どうにも嬉しくて、人目が少なければ、もう這い寄って抱き寄せてしまいそうで、別々の家に住んでいるのも残念に思われ、ハァハァしすぎてみっともないほどである。……、あれこれ思い乱れて辛抱たまらんというわけか、恋路おにいさん(26歳)は女二宮(12歳)に擦り寄り、お手を掴んでしまった。……恋路おにいさん(26歳)は愛情深く情感たっぷり口説き申し上げるが、女二宮(12歳)は驚き脅えて、全くお答えしなかった。……
<訳>
……。恋路内大臣は左大臣に昇進なさった。世の中が思いのままの驕った御心には、昇進など、喜ぶほどのことでもなく、恋路おにいさん(26歳)はただ幼い女二宮(12歳)と共寝することのみが待ち遠しくて、……気を紛らすため、夏頃、泉まで工事して類ない美しさに磨き上げ、女二宮(12歳)をお迎えしたのである。
<訳>
……。女二宮(12歳)は見た目よりも御心が幼くいらっしゃるが、ひたすら上品で愛らしい御心であるので、恋路おにいさん(26歳)は、一日の明け暮れに気づかぬほど夢中になって、お世話申し上げた。……。恋路左大臣は、幼い侍女たちを、泉に入らせて楽しく御覧になる。女二宮(12歳)は白い薄物の単衣をお召しなので、隠れるところもなく透き通って見えるお体の線のかわいさは、雲さえない日射しの中に眩いまでにきらめいていて、見れども見れども飽きぬ姿に、恋路おにいさん(26歳)は一日中、遊び戯れ御相手申し上げた。恋路おにいさん(26歳)が「さあ、こっちで水遊だ。あなたも泉に下ろしてあげよう」といって抱き上げ申し上げると女二宮(12歳)は「やーっ」と嫌がり、幼いながら恥じらっておいでのお顔の色の移り変わりに、恋路おにいさん(26歳)の方も、胸が騒いで切なかった。これもしかるべき宿縁というもので、女二宮(12歳)は恋路おにいさん(26歳)にとても良く懐いておられ、端山大将・花染権中納言などよりも気兼ねなく、自分に良くしてくれる人だと頼りにし、ささいなことでも御相談になって、恋路おにいさん(26歳)が少しの間でもどこかに行ってしまうと、「なんでまだ帰ってこないの」などと仰られるのもおかしくて、源の三位などが笑いながらこんななんですよと恋路左大臣に語ったところ、さらに激しく萌えさかる恋路おにいさん(26歳)の御心である。恋路左大臣の親友の端山大将も花染権中納言も、この有様を、「万事冷静で、他人をバカに思っていた男がバカになって、まだあんな幼い子を思い人にして必死になってやがるよ」と、こっそり笑い申し上げていた。……
そして翌年の長期滞在で、いつしか二人は新枕(27歳×13歳)。恋路おにいさんのロリコン漢道、ひとまずここに完遂。
とりあえず、泉のスケスケキラキラで、女二宮は若紫をはるかに超えたと思うんですよ。
参考資料
『新編 日本古典文学全集』小学館
『中世王朝物語全集』笠間書院
中村真一郎著『色好みの構造-王朝文化の深層-』岩波新書
河野美香著『男が知りたい女のからだ なかなか聞けない87の疑問』 講談社ブルーバックス
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まずはロリコンとは何かを確認しますと、ロリコンの言葉の元となった小説『ロリータ』によると、ロリコンの守備範囲は9~14歳だそうです。
だいたい女性は14、5歳で生理が規則的になってメスとしての成長の最終段階を通過、16、7歳で成長が止まるとのことなので、要はロリコンってのは、幼女より上、成体未満の、少女が大好きな人のことですね。
で、早婚な中世の文学を引っ張り出して、ロリコン呼ばわりしていると、時代背景が違う以上それはロリコンじゃないと、ツッコミ入るかもしれないのですが、
これについては、調べてみると、現代人とあまり感覚が変わりません。違いがあるとすればロリコンが行動に出ても許されただけです。
物語文学の作品に全体的に目を通した印象では、ヒロインは、14、5歳くらいまでは幼いとされることがあったりなかったり、それより下だと、成熟度を云々されれば、だいたいが幼いという扱い。14、5歳より下だと、大人びていれば年齢不相応として特筆される感じ。
で、昔の年齢は数え年だから、今で言う14歳くらいまでが、中世人的に少女ってとこでしょう。
下の方だと、幼児ではないが成年でもない女童に手出ししてエロに及ぶ人間が普通にいて、童とは多くが10歳前後。その上、源氏物語かなんかで10歳を超えた子は人形で遊ばないものだとか、10歳を超えたら男女の部屋は別とか、言ってたはず。
つまり今で言う9歳あたりが、一応性的存在である少女と非性的存在の幼女の中世での境目。
というわけで、9~14歳っていうロリコン御用達の少女愛ゾーンは時代は違えど異ならず、その年齢層の少女に萌える野郎が描かれた古典作品は、時代の違いを考慮しても、弁護の余地なくロリ小説。
で、そんな少女愛と言えば、『源氏物語』の若紫の話が、非常に有名なんですが、敢えて言おう、若紫の物語はベスト・ロリコン小説では無いと。
中世物語中のベスト・ロリコン小説は、若紫の物語を踏まえた上でさらなる高みでロリ魂を爆発させた、14世紀初頭の『恋路ゆかしき大将』で描かれる恋路ゆかしき大将と女二宮の物語。
では、以下は同書のロリコン小説な部分(第二巻)を見ていきましょう。
(原文引用は『中世王朝物語全集』笠間書院)
……、いと迅う内に参り給ひぬ。……立て蔀など、よろづの所あらはに、例ならず見わたされて、姫宮の御方の御小壺の叢に、童べ下りて、虫屋ども手ごとに持たり。御覧ずるとて、二宮御簾を高くもたげさせ給へるに、十一二ばかりにやと見ゆる御丈立ちにて、うつぶきて立ち給へれば、……気高う、匂いも光も類なき御さまは、姫宮にこそおはしますめれ。よろづの事に騒がず鎮まる御心も、ただ今はいかがはあらん、深く心騒ぎして、驚かれ給ふ。……、さりとて当時世のつねに思ひ寄るべき御年のほどならねど、ただまぼりたてまつらまほしきに、「あはれ、雛屋に虫のゐよかし。一つにあらば、いかに嬉しからん」とのたまへば、二宮、「あなわろや。苔や露も入れさせ給はば、雛のため、いかにうつくしからむ」と笑ひきこえ給へば、げにと思したるさまにて、まめだち給へる御まみのわたり、見る我もうち笑まれて、……。
宮城野にまだうら若き女郎花移して見ばやおのが垣根に
<訳>
……、恋路内大臣はとても早くに宮中に出仕なさった。……昨夜の秋の嵐で立て戸が倒れて、辺り一面丸見えで、いつもと違い見渡すことが出来るのだが、女二宮のお住まいの小庭の草むらに、子供達が下りて、虫かごをそれぞれ手に持っている。それを御覧になろうと、男二宮が御簾を高く持ち上げさせておられるところ、10、11歳くらいかと見える背丈の方が、うつむいて立っておられたが、……気高く、色香というか輝きというか比類無く素晴らしい御様子は、これが女二宮でいらっしゃるのだろう。万事騒がず落ち着き払った恋路おにいさん(25歳)の御心も、今これを見てはどうなっているだろうか、心の奥まで落ち着かなくなって、驚愕されたのであった。……、とはいえ今はまだ、恋人にするには特殊なお年頃で想いをぶつけることのできる相手でもないので、恋路おにいさん(25歳)としてはただただ見守り申し上げることができれば満足なのであるが、そうしていると女二宮(12歳)が「ねー、お人形のお家にも虫がいて綺麗に鳴いてると良いよねー。綺麗なお人形のお家に綺麗な鳴き声まですれば、すっごく嬉しいな」と仰って、男二宮が、「うーん、まだまだ。苔とか露とかも入れれば、人形も、もっと綺麗に見えるんじゃないかな」と笑ってお返事されたが、なるほど納得との御様子で、真剣になっている女二宮(11歳)の目元など、見守っている恋路おにいさん(25歳)も思わず微笑んでしまうほどで、……。
宮中の未だ幼いお姫様連れて行きたい俺のロリ嫁
大将は、ありし御面影の身を去らぬままに、……しつらはせ給へる雛屋のさま、御心の際、そこひなくめづらかなり。雛多く人に作らせて据ゑ給ひつつ、藤壺に奉らせ給ふ。……
松虫の千年の例しあらはれて玉の台の家居をぞする
上もこの御方にて、もて興ぜさせ給ふに、中納言の乳母、「これは野分の朝願はせ給ひし物になん侍る。『……、つくづくと見入れて立ち給へりし』と、後に人の申し侍りしは、まことなりけり」と聞こゆるを、上、いとも興ありえならぬ事に思されて、笑み入らせ給ふ。「……。いかで心動かさするわざせんと、なべてかなはぬ世も怨めしきに、これをさも思ひきこえんはおもしろき事」と思さるるぞ、めづらしき人の御癖なる。御返し、上、
雲居なるちよ松虫ぞやどるべき君が磨ける玉の台に
……
<訳>
恋路おにいさん(25歳 左大将兼内大臣)は、あの日の女二宮(11歳)の面影が忘れられずにいたのだが、……そこで用意なさった人形の家の出来映えを見れば、その気の回しようは、底なしであり得ない程であった。なかにいれるおにんぎょうさんもたくさんみんなにつくってもらい、おにいさん(25さい)は、おひめさま(11さい)にとどけてもらうため、おひめさま(11さい)のおかあさんのふじつぼのにょうごに、おにんぎょうのおうちをプレゼントしました。……
まつむしにりっぱなおうちをあげましょうボクのつくったにんぎょうのいえ
帝も藤壺女御のお部屋で、面白がっておられたが、中納言の乳母が、「これは、あの嵐の翌朝に女二宮が欲しがっておられた物でございます。『……、恋路内大臣がじっと覗いておられました』と、後で人が申しておりましたが、本当だったんですよ」と申し上げたのを、帝は、なかなかないほど興味深くお思いになって、笑っておられる。「……。なんとか朴念仁の恋路内大臣の心を揺さぶるようなことをしてみたいと思いつつ、どうにも巧く行かず残念だったが、あの子にそこまで想い寄せているなら、こいつは面白い」とお考えであるが、奇行に走る帝の御性癖なのである。御返歌を、帝がお書きになり、
宮中で大事に飼ってる松虫を立派なお家のお前にやろう
……
わが御殿の三条院の……西面に、……、雛屋を作り続けて、……、指図よ何よと、これよりほかの事なくしつらひおかせ給ふを、何事ぞやと、つきじろひ煩ひきこえけり。……
<訳>
恋路おにいさん(25歳)はご自分がお住まいの三条院の……西面に、……、人形の家を次々作って、……、図面だのなんだのと指図して、それ以外のことは放り出して細工しておられるが、人々は、何でこんな事をと、互いにつつき合って面倒くさがっている。……
姫宮十三にならせ給ふ。……。姫宮の御裳着果てたる次の日、くもりなき昼つ方、内の大臣の参り給へるに、「君は、されば、げに未だ子といふ人は、名告る類もおはせずや。ここにさがなく不要なる小女房の侍るを、子にし給へ」とて、几帳押しやりて、御扇取りて、端へ向けきこえ給ふ。……御有様、ありし野分の朝よりは、ことのほか御おとなしう、いよいよ心惑ひぬべし。……。上も、大臣の御けしきを、さりや、さのみもつれなしえつくらぬ折もありけりと、をかしうえも言はず思して、去年の虫屋の主もなきをさへ置きがたき有様など笑はせ給ふに、……。……、例の事にもあらずもて紛らはすまめ人がらも、少し臆せられて、御前をば、言少なにて立ち給ひぬるに、「折る事を許せ、一枝の春」とひとりごたれぬるを、あまり指事に、けしからず覚え給ふを、上は、御耳はやく聞きつけさせ給ひて、大納言の君して、
園のうちに未だ開けぬ梅の花一枝乞はば許しこそせめ
<訳>
女二宮は12歳におなりである。……。女二宮が成人の儀式の裳着を終えた翌日、雲一つ無い昼間、恋路内大臣が出仕なさったところ、帝は「君は、それじゃあ、未だにまったく子といえる人が、名乗り出てきたことさえ無いんだね。なら、ここに言うこと聞かない、いらない子がいるから、この女の子を君の子にしなさい」とか言って、仕切りを押しやり、扇を取り上げ、姿を隠す物を奪い去った上で、女二宮(12歳)を恋路おにいさん(26歳)のいる端の方へと向かせなさった。……御様子は、かつての嵐の翌朝と比べれば、ずっと大人びて、恋路おにいさん(26歳)の心を一層惑わせるのであった。……。帝も、恋路おにいさん(26歳)の御様子を、やはりなムッツリロリコンめ、こうしてやればいつものスカした仮面を剥がせるわけだと、何とも言えず面白がって、女二宮(12歳)が、去年の虫の家を大事にして、住む虫がいなくなっても手放さないのだなどとお笑いになり、……。……、いつもは動揺を事も無げに鎮め紛らせてしまう真面目な人柄の恋路おにいさん(26歳)も、少々狼狽えてしまい、帝の御前を、言葉少なに退出なさったのであるが、「手折りたいなあ、春のつぼみみたいな、可憐なロリっ娘……、若枝のような細くて瑞々しい肢体……」などと一人ぶつくさ言ってしまい、さすがに図々しいと、自省したのだが、帝は、耳ざとく聞きつけなさると、大納言の君を使い走りに、
ロリコンよ我が家の娘は幼いが望みのままに手折れつぼみを
……、二月の二十日余り、三条院に行幸あり。……。……、方丈の室の中の構へは御覧ぜられける。女御と姫宮と一つに召して、手ひきにてわたらせ給ふ。……
……。……、姫宮は、まことに離れがたうまぼりおはします、御けしきを、上はをかしと見たてまつらせ給ひて、「さらばいつも御覧じて、これにわたらせ給へかし」と聞こえさせ給へば、笑ませ給へる御匂ひ、あたりにもこぼるばかり見えさせ給ふ。……。……姫宮ばかりは、なほとどまらせ給ふべきになりぬ。
<訳>
……、二月の二十日過ぎ、恋路おにいさん(26歳)の邸宅である三条院に天皇ご一家のご訪問があった。……。……、方丈の部屋の中に構築した人形の家を御覧に入れた。藤壺女御と女二宮は一つの車に同乗して、手をつないでお越しになる。……
……。……、女二宮(12歳)は、心の底から離れたくないといった御様子で見つめておられるが、帝がこれを面白いと御覧になって、「いいこと思いついた、お前、いつも見られるように、ここで暮らしたら良いよ」と提案なさったところ、笑みを浮かべられた女二宮(12歳)のかわいらしさは、辺りにこぼれるばかりであった。……。……女二宮(12歳)だけは、なお三条院に残られるのであった。
主の大臣の、御心置き所なく、いかにして御心とどめ給はん事と、貝覆ひ、手毬、残る事なく、我交じり給ひてあそばしたてまつり給ふほど、御みづからはうち[と]けず、世の中つつましく思さるるに、……。……、中三日ばかりにて帰らせ給ふ。内の大臣は、またげに、かばかり心に入れて思さるる事ぞ、来し方に例しなかりける。深き御心ざしのほどは、何となけれどこたふるにや、はじめはつつましうむつかしと思したりしかど、面馴れさせ給ふままに、心ざし深くわが御心に従ひたる人と思し知りて、うち解けさせ給へる御心ざまのなつかしさぞ、罪深うおそろしきほどに思ひ染まれ給ふ。御迎への人々参りたるに、「あはれ、いつもこれにわたらせ給へかし。名残り惜しとも思されぬ御怨めしさよ」と、さし寄りて聞こえ給へば、うらなく御覧じ上げて、「また迅くこそ」と仰せられたるも、何心なく、怨み所あるべうもあらず。おさな[く]らうたげなる御さまは、けぢかきも、なかなかに鎮めあふべくもなき紛らはしにも、返す返す後を頼めきこえ給へど、帰りいそぎして出でさせ給ひぬる御名残り、胸に余りてわりなし。……、うち眺め給へるを、権中納言ぞ、をかしう、「孔子のたふれかな」と、尻目ただならずほほゑみけるを、大臣も見合はせ給ひて、事有り顔にと、ねたう思したり。……。何心なくうつくしき御言葉・御面影のみふと身に添ひて、春も末つ方になる。
<訳>
屋敷の主人の恋路おにいさん(26歳)は、落ち着かず、どうにか女二宮(12歳)の御心を惹きつけようと、貝覆い、手毬などどんな子供の遊びでも、御自分も一緒になって遊んでおられたが、女二宮(12歳)御自身は緊張して、何事も遠慮がちにしておられて、……。……中三日ほどで女二宮はお帰りになった。恋路おにいさん(26歳)は、それにしても全く、これほど物事に熱中なさったことはかつてなかったのである。恋路おにいさん(26歳)の深い御愛情は、何となくも感られるのか、女二宮(12歳)も最初こそ遠慮がちで気後れしておられたが、見馴れてくる内に、愛情深く良くしてくれる人とお分かりになって、うち解けておいでになった気立ての好ましさは、恋路おにいさん(26歳)の心に深く染みこんで罪なほどのおそろしく深い愛着をひきおこしてしまった。御迎えの人々が参ったので、恋路おにいさん(26歳)は「ハァ、ずっとここに居て欲しいなあ。お別れを寂しがってももらえず、お兄さん悲しいな」と近寄り恨み言を申し上げたところ、女二宮(12歳)は信頼しきった様子で見上げて、「だって、また直ぐ遊びに来るもん」と仰られる様子は、無邪気で、もはや恨めしく思うこともできない。女二宮(12歳)は幼く愛くるしい御様子であるが、それが恋路おにいさん(26歳)には何とも好ましく、かえって恋心の鎮めようがないのを紛らそうと、何度も何度もまた今度と約束申し上げるのだが、女二宮は帰りを急いで退出なさり、後に残った恋の想いは、胸に溢れてもう我慢できない。……ぼんやりしている恋路おにいさん(26歳)の姿が、親友の花染権中納言はおかしくて、「良い子ぶっても、しょせん男はエロいもんだ」と、流し目でいわくありげにニヤつくので、恋路内大臣は目線を合わせ、何が言いたいと、イラついておられる。……。恋路おにいさん(26歳)が無邪気で可愛らしい女二宮(12歳)の御言葉や面影ばかり思い浮かべているうちに、春も末となった。
……。大臣の御もとへ、「さもやと推し測られぬべきは、心ときめきにをかしくや」など、例のそこなき御消息、かたみにみだりがはしく聞こえ交はし給ひて、俄かなるさまにて、またわたしたてまつらせ給ふ。
<訳>
……。帝は恋路内大臣の元へ、「見たところ、心がときめきしてるようだが、お前がそんなになるとは見物だな」などと、いつものように明け透けなお手紙をして、互いに遠慮無く手紙を交わし、突然、またも女二宮(12歳)が恋路おにいさん(26歳)の元にお越しになることとなった。
……。この度は、いとど面馴れさせ給へばにや、なつかしき御さまにて、おほどかにうつくしき御もてなしを、身にしみて思ひきこえ給ふにも、上の御心ざしをぞ、今更この世のみならず思し知られて、あはれなりける。しばしのどかにわたらせ給ふほどに、上の御かぜの気とて帰り入らせ給へば、御供とはなけれども、急ぎ参り給ふ。
<訳>
……。今回は、さらに馴染んでおいでだからか、女二宮(12歳)は、親しみやすい御様子で、ポヤンと可愛らしく過ごしておられるのを、恋路おにいさん(26歳)は心から愛しく想い申し上げるが、帝の御厚意は、前世からの深い縁でもあるのかと思われるほどで、感謝に堪えないのであった。しばらくのんびり御滞在されたが、帝がお風邪ということで女二宮もお帰りになり、お供というわけでもないが恋路内大臣も、急ぎ出仕なさった。
……、御宿直所につとさぶらひ給ふに、……。……。姫宮を、かくとてわたしたてまつり給へるなるべし、奥の方よりさし出でさせ給へり。……。うち笑ませて給ひて知る人と思したるもかたじけなう、涙さへさしぐみて、あはれにらうたく、目離れもせられずうちまもりきこえ給ふ。……、めづらしく人の奉りたりける破籠どもの、目に見えぬばかり小さきを、御手に持たせ給ひて、「これ」とて見せさせ給ふを、「これがまた御心に入りて侍るか」と申し給へば、「いや」とうちのたまはせたる御さまのらうたげさ、かやうの物どもまづ見せんと思しけると思ふも、あはれにうれしく、人目けしからずは、ただ這い寄り引き寄せぬべく、よそよそなるもわりなきぞ、あながちにさまあしきや。……、一方ならず乱るる心や止めがたかりけん、ただすべり寄りて、御手をとらへつ。……、心深ふあはれなるさまに聞こえ知らせ給ふが、あさましう心づきなければ、つゆの御答へもなし。……
<訳>
……、恋路内大臣はずっと宿直所においでになったところ、……。……。女二宮(12歳)を、事情を話して帝が呼び出されたのだろう、奥の方から女二宮(12歳)が出てこられたのである。……。よく知った仲であると笑いかけてこられるのも嬉しくて、恋路おにいさん(26歳)は涙さえ浮かべ、あー、かぁーいーなぁと、目を離すことも出来ず見守っておられた。……、女二宮(12歳)は珍しく誰かから献上されたオモチャの箱の、目に見えないほど小さいのを、お手にお持ちになって、「これー」といって見せにこられるので、恋路おにいさん(26歳)が「こんなのがお気に入りですか」と申し上げると、「そんなわけじゃないけど……」とつぶやいておられる御様子の愛くるしさ、恋路おにいさん(26歳)はこれを自分にまず見せてやろうとお考えになったのだと思えば、どうにも嬉しくて、人目が少なければ、もう這い寄って抱き寄せてしまいそうで、別々の家に住んでいるのも残念に思われ、ハァハァしすぎてみっともないほどである。……、あれこれ思い乱れて辛抱たまらんというわけか、恋路おにいさん(26歳)は女二宮(12歳)に擦り寄り、お手を掴んでしまった。……恋路おにいさん(26歳)は愛情深く情感たっぷり口説き申し上げるが、女二宮(12歳)は驚き脅えて、全くお答えしなかった。……
……。大臣左にわたりに給ふ。世をわがままにのみ思さるる心おごりには、御ざあがりなどは、まいて何とかは御心にも染まん、ただ若草のねみん事のみ心もとなきに、……紛らはしには、夏ごろ、泉をさへ、世に目馴れぬ事を尽くして造り磨き給ひつつ、わたしきこえ給へり。
<訳>
……。恋路内大臣は左大臣に昇進なさった。世の中が思いのままの驕った御心には、昇進など、喜ぶほどのことでもなく、恋路おにいさん(26歳)はただ幼い女二宮(12歳)と共寝することのみが待ち遠しくて、……気を紛らすため、夏頃、泉まで工事して類ない美しさに磨き上げ、女二宮(12歳)をお迎えしたのである。
……。見る目より御心の幼くおはしまして、貴やかにうつくしき御心のみせさせ給へれば、明け暮るる行方も知らず、見たてまつりあつかひきこえ給ふ。……。幼き女房など、泉に下ろして、興に入りて御覧ず。白き羅の御単に、隠れなく透きたる御身なりのうつくしさ、曇りなき日影にまばゆきまでなる御光の、見れども見れども飽かぬに、日ぐらしは、遊び戯れきこえ給ふ。「いざさせ給へ。君も下ろしたてまつらん」とて抱ききこえ給へば「いや」とて、さすがにつつましく思したる御顔の移ろひぞ、我しも胸騒ぎてわびしかりける。これもさるべきゆゑこそありけめ、いとよく思ひつききこえ給ひて、大将・権中納言よりも、心やすく、わがため嬉しき人とうち頼み、はかなき事をも聞こえ合はせ給ひて、しばしもたち退き給へば、「など■見え給はぬ」と仰せらるるもをかしく、三位など笑ひきこえつつ、大臣にもかくと語りきこゆれば、いとどしき御心のうちなり。大将も権中納言も、この御やうを、「よろづは鎮め、人をばをこがましき事に思すめりしに、あれほどまだきより身を砕き給ふよ」と、忍びて笑ひきこえ給ふ。……
<訳>
……。女二宮(12歳)は見た目よりも御心が幼くいらっしゃるが、ひたすら上品で愛らしい御心であるので、恋路おにいさん(26歳)は、一日の明け暮れに気づかぬほど夢中になって、お世話申し上げた。……。恋路左大臣は、幼い侍女たちを、泉に入らせて楽しく御覧になる。女二宮(12歳)は白い薄物の単衣をお召しなので、隠れるところもなく透き通って見えるお体の線のかわいさは、雲さえない日射しの中に眩いまでにきらめいていて、見れども見れども飽きぬ姿に、恋路おにいさん(26歳)は一日中、遊び戯れ御相手申し上げた。恋路おにいさん(26歳)が「さあ、こっちで水遊だ。あなたも泉に下ろしてあげよう」といって抱き上げ申し上げると女二宮(12歳)は「やーっ」と嫌がり、幼いながら恥じらっておいでのお顔の色の移り変わりに、恋路おにいさん(26歳)の方も、胸が騒いで切なかった。これもしかるべき宿縁というもので、女二宮(12歳)は恋路おにいさん(26歳)にとても良く懐いておられ、端山大将・花染権中納言などよりも気兼ねなく、自分に良くしてくれる人だと頼りにし、ささいなことでも御相談になって、恋路おにいさん(26歳)が少しの間でもどこかに行ってしまうと、「なんでまだ帰ってこないの」などと仰られるのもおかしくて、源の三位などが笑いながらこんななんですよと恋路左大臣に語ったところ、さらに激しく萌えさかる恋路おにいさん(26歳)の御心である。恋路左大臣の親友の端山大将も花染権中納言も、この有様を、「万事冷静で、他人をバカに思っていた男がバカになって、まだあんな幼い子を思い人にして必死になってやがるよ」と、こっそり笑い申し上げていた。……
そして翌年の長期滞在で、いつしか二人は新枕(27歳×13歳)。恋路おにいさんのロリコン漢道、ひとまずここに完遂。
とりあえず、泉のスケスケキラキラで、女二宮は若紫をはるかに超えたと思うんですよ。
参考資料
『新編 日本古典文学全集』小学館
『中世王朝物語全集』笠間書院
中村真一郎著『色好みの構造-王朝文化の深層-』岩波新書
河野美香著『男が知りたい女のからだ なかなか聞けない87の疑問』 講談社ブルーバックス
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