2009年 12月 17日
真珠湾と黒船・マッカーサー~日本とアメリカの現代「建国神話」~
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少し日が過ぎましたが、一応は季節ネタ。日本人にとって太平洋戦争関連の記念日があるのは敗戦を迎えた八月です。一方、アメリカ人にとっては十二月なのです。昭和十六年(1941)十二月八日は、真珠湾攻撃の日。
「goo辞書」(http://dictionary.goo.ne.jp/index.html)より
「リメンバー・パールハーバーの日に9/11を忘れるなと米各地で 」
(http://dictionary.goo.ne.jp/study/newsword/wednesday/20091209-01-5.html)
この記事によれば、「ボストン・グローブ」紙で、以下のような論説があったとか。
六十年以上たっているせいか、随分と冷静で客観的な見方がされていますね。実際、現在のアメリカでは日本がどうこうよりも油断大敵というニュアンスでこの日が振り返られているようです。さて、この論説は次のようにも分析しています。
なかなか興味深い視点です。すると、「真珠湾」は世界に積極的に派兵する現代アメリカの「建国神話」に欠かせない「試練」であり、だからこそ声高に語られるのでしょうか。「戦争経験」や「終戦」、「マッカーサー」が現代日本の「建国神話」であるように。
さて、こう考えるとアメリカに「孤立主義」を捨てさせ「世界の警察」にした切欠は日本にあったという事になります。実際、上記論説を引用した記事の著者も「イノセントだったはずの眠れる巨人を揺り起こしてしまった」と日本人として責任を感じているようです。ま、個人的にはアメリカがその強大な力で世界各地の争いを調停する側面もあるので「世界の警察」も一概に悪いとは言えないと思いますがね。覇権国家としてはアメリカは歴史的に見てかなり公正な部類ですし、第二次大戦以降現在まで世界大戦レベルの戦争はおきていないわけですから。いずれにせよ、この「責任」に関して石原莞爾(昭和前期の陸軍軍人。満州事変を主導した。軍事史を概観して近未来を予測した「最終戦争論」で知られる)なら言うでしょう、「責任者というならペルリを連れて来い」と。思えば上記論説と同じ論法を採用するなら、日本が「イノセンスを捨てた」契機は黒船による開国要求でした。それまでは二百年以上引きこもっていたわけですしね。そのときから、日本は欧米諸国と伍して生き残るため近代化や対外拡張への道を走り出したのです。ペリー来航もまた、「近代日本」の「建国神話」における最初の一ページを飾る「試練」であったといえます。
で、アメリカに「イノセンスを捨て」させられた日本が、今度はアメリカに「イノセンスを捨て」させた。代わりに日本自身はアメリカに叩きのめされる事で再び本来の一国平和主義に舞い戻りました。…風邪と同じで「イノセンスを捨てた」状況は他人にうつすと治るんでしょうか?ま、合理的に考えると日本は独立を死守できるだけの国力・勢力圏を確保するため拡張主義を取り、その結果としてロシアとの対立を余儀なくされた。で、その日本を破って勢力下に収めたアメリカが代わってソ連と対抗しパワーゲームをする羽目に陥ったという事なんでしょうけど。
【参考文献】
ニッポン奇人伝 前坂俊之 現代教養文庫
関連記事:
「『あの国のあの法則』 ~50年前の碩学の言葉と地政学的証明~」
「超三大陸周遊記 ~アトランティス、ムー、レムリアのお話~」
「米国大統領と愛国歌人―橘曙覧―」
「イノセンスを捨て」た我が国の事情に少し触れています。
「神国日本のしょんぼりナショナリズムと鬼子・第六天魔王信長」
戦後日本の心理はこんなところでしょうか?
「亜米利加白人様恩賜の日本人弾圧法案」
「19世紀ヨーロッパのプロ市民 ~自分たちの存在意義を守るため奴隷制を推奨した反奴隷制団体の話~」
西洋が周辺諸国に加えた圧力の話。
「中国食人文化入門 ~中国的合理主義と、中国人であることおよび中国人があることの不幸について~」
現在は超大国の地位を回復した中国もパワーゲームの計算に入れる必要が。
「goo辞書」(http://dictionary.goo.ne.jp/index.html)より
「リメンバー・パールハーバーの日に9/11を忘れるなと米各地で 」
(http://dictionary.goo.ne.jp/study/newsword/wednesday/20091209-01-5.html)
この記事によれば、「ボストン・グローブ」紙で、以下のような論説があったとか。
「確かに真珠湾が国民の意識にとてつもないトラウマを与えたのは間違いない。しかしそのトラウマの規模は実際の攻撃規模よりも遙かに大きいし、あの攻撃が卑怯だったと強調するのは、宣戦なしの奇襲攻撃など戦争では珍しくないという事実を無視している。奇襲というのは、戦略上の手段として当たり前のものなのだから。しかも日本と米国は真珠湾攻撃の前から互いに敵対行為を繰り返していたのだから。あの攻撃を道徳に反するものだと批判するのもおかしい。日本は軍事目標のみを攻撃したのだから。むしろアメリカの方が道徳的にはいかがなものか。その数カ月後に米軍のドゥリトル隊が東京などに仕掛けた報復爆撃は、民間人のみを標的にしたではないか」
六十年以上たっているせいか、随分と冷静で客観的な見方がされていますね。実際、現在のアメリカでは日本がどうこうよりも油断大敵というニュアンスでこの日が振り返られているようです。さて、この論説は次のようにも分析しています。
「なぜ真珠湾がアメリカの歴史において転換点であり続けるのか。それはあの時を境にアメリカはイノセンスを捨てたから。道徳に反するかもしれない目的のためにも、自分たちは軍事力を行使するのだという国になったからだ。あの時を機にアメリカは、孤立主義という道徳的な安全地帯を出て、武装したグラディエーターとして、世界的パワーとして世界の闘技場に出て行ったのだ」
なかなか興味深い視点です。すると、「真珠湾」は世界に積極的に派兵する現代アメリカの「建国神話」に欠かせない「試練」であり、だからこそ声高に語られるのでしょうか。「戦争経験」や「終戦」、「マッカーサー」が現代日本の「建国神話」であるように。
さて、こう考えるとアメリカに「孤立主義」を捨てさせ「世界の警察」にした切欠は日本にあったという事になります。実際、上記論説を引用した記事の著者も「イノセントだったはずの眠れる巨人を揺り起こしてしまった」と日本人として責任を感じているようです。ま、個人的にはアメリカがその強大な力で世界各地の争いを調停する側面もあるので「世界の警察」も一概に悪いとは言えないと思いますがね。覇権国家としてはアメリカは歴史的に見てかなり公正な部類ですし、第二次大戦以降現在まで世界大戦レベルの戦争はおきていないわけですから。いずれにせよ、この「責任」に関して石原莞爾(昭和前期の陸軍軍人。満州事変を主導した。軍事史を概観して近未来を予測した「最終戦争論」で知られる)なら言うでしょう、「責任者というならペルリを連れて来い」と。思えば上記論説と同じ論法を採用するなら、日本が「イノセンスを捨てた」契機は黒船による開国要求でした。それまでは二百年以上引きこもっていたわけですしね。そのときから、日本は欧米諸国と伍して生き残るため近代化や対外拡張への道を走り出したのです。ペリー来航もまた、「近代日本」の「建国神話」における最初の一ページを飾る「試練」であったといえます。
で、アメリカに「イノセンスを捨て」させられた日本が、今度はアメリカに「イノセンスを捨て」させた。代わりに日本自身はアメリカに叩きのめされる事で再び本来の一国平和主義に舞い戻りました。…風邪と同じで「イノセンスを捨てた」状況は他人にうつすと治るんでしょうか?ま、合理的に考えると日本は独立を死守できるだけの国力・勢力圏を確保するため拡張主義を取り、その結果としてロシアとの対立を余儀なくされた。で、その日本を破って勢力下に収めたアメリカが代わってソ連と対抗しパワーゲームをする羽目に陥ったという事なんでしょうけど。
【参考文献】
ニッポン奇人伝 前坂俊之 現代教養文庫
関連記事:
「『あの国のあの法則』 ~50年前の碩学の言葉と地政学的証明~」
「超三大陸周遊記 ~アトランティス、ムー、レムリアのお話~」
「米国大統領と愛国歌人―橘曙覧―」
「イノセンスを捨て」た我が国の事情に少し触れています。
「神国日本のしょんぼりナショナリズムと鬼子・第六天魔王信長」
戦後日本の心理はこんなところでしょうか?
「亜米利加白人様恩賜の日本人弾圧法案」
「19世紀ヨーロッパのプロ市民 ~自分たちの存在意義を守るため奴隷制を推奨した反奴隷制団体の話~」
西洋が周辺諸国に加えた圧力の話。
「中国食人文化入門 ~中国的合理主義と、中国人であることおよび中国人があることの不幸について~」
現在は超大国の地位を回復した中国もパワーゲームの計算に入れる必要が。
by trushbasket
| 2009-12-17 01:54
| NF








