2010年 01月 31日
ある黒人女性の見たヒトラー ~第二次世界大戦の悪役の歴史的地位のちょっと異なる見え方について~
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アドルフ・ヒトラーはおそらく世界史上の最大の悪役と言えるでしょう。彼以上に残虐で頭のおかしい支配者とか、彼以上にえげつない政治とか、世界史上には無くはないと思うのですが、それでも彼は、異様な悪人としてのカリスマ性を発揮して、比類無き最狂の悪人扱いを受けています。
とはいえ、歴史の見方は様々ですから、彼ほどの悪役であっても、人によっては必ずしも悪とはならない。
今日は、そんな気まずいお話。
第二次世界大戦中、総力戦遂行のため、アメリカにおいて、様々な戦力・労働力の活用が図られたのですが、それによって生じたアメリカの社会変化につき、黒人の女中さんが一つの証言を残しています。
その女中さん、白人様の家庭での家事の仕事から、工場労働へと突如移行して、高給を受け取るようになったのですが、
人種の平等など認められない過酷な白人支配の時代に生きた有色人種からすれば、あっちの白人とこっちの白人が白人同士内輪揉めを始めたら、とりあえず、それだけでも損はない。そして敵の敵は味方理論からして、何もなくても、当面の弾圧者であるこっちの白人をぶん殴ってる、あっちの白人の方を味方扱いしたくなるところ。それが、その上、そいつの意図せぬ結果とは言え、あっちの白人のお陰でプラスの影響が生じているとすれば、そいつがたとえキチガイだろうと、親近感を感じてしまうことは、ある程度やむを得ないことです。だって、白人なんてどうせ近くにいればどっちも容赦なく攻撃・弾圧してくるんだから、それならせめて遠くにいて当面役に立つヤツを応援するのは当然ですよ。
ということで、当時の世界には、ヒトラーの敵に踏みにじられて苦しみ、ヒトラーみたいな悪人を救い主と見ねばならない立場の人間がいたという、何とも気まずいお話。
参考資料
ジーン・ベスキー・エルシュテイン『女性と戦争』小林史子/廣川紀子訳 法政大学出版局
関連記事
19世紀ヨーロッパのプロ市民 ~自分たちの存在意義を守るため奴隷制を推奨した反奴隷制団体の話~
「音楽は人を殺れる!!」―独裁者を魅了した魔性の「楽劇」―
超三大陸周遊記 ~アトランティス、ムー、レムリアのお話~
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
引きこもりニート列伝その11 ヒトラー
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet11.html
西洋軍事史(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14455214/
(以下2010年6月26日加筆)
ヒトラーについては
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の世界史』
(「ヒトラー 趣味はお絵かき、ケーキが好物、シャイでデートもしたこと無い、意外とヘタレな悪の独裁者」収録)
もご参照ください。
リンクを変更(2010年12月7日)
とはいえ、歴史の見方は様々ですから、彼ほどの悪役であっても、人によっては必ずしも悪とはならない。
今日は、そんな気まずいお話。
第二次世界大戦中、総力戦遂行のため、アメリカにおいて、様々な戦力・労働力の活用が図られたのですが、それによって生じたアメリカの社会変化につき、黒人の女中さんが一つの証言を残しています。
その女中さん、白人様の家庭での家事の仕事から、工場労働へと突如移行して、高給を受け取るようになったのですが、
第二次世界大戦中の変化に対する最も痛烈な証言は、家事の仕事から、突然高給を支払われる工場での仕事をすることになった、ある黒人の女中が述べた次の一言である。「ヒットラーは私たちを白人の家の台所から解放してくれたお人でした。」
(ジーン・ベスキー・エルシュテイン『女性と戦争』小林史子/廣川紀子訳 法政大学出版局 295頁)
人種の平等など認められない過酷な白人支配の時代に生きた有色人種からすれば、あっちの白人とこっちの白人が白人同士内輪揉めを始めたら、とりあえず、それだけでも損はない。そして敵の敵は味方理論からして、何もなくても、当面の弾圧者であるこっちの白人をぶん殴ってる、あっちの白人の方を味方扱いしたくなるところ。それが、その上、そいつの意図せぬ結果とは言え、あっちの白人のお陰でプラスの影響が生じているとすれば、そいつがたとえキチガイだろうと、親近感を感じてしまうことは、ある程度やむを得ないことです。だって、白人なんてどうせ近くにいればどっちも容赦なく攻撃・弾圧してくるんだから、それならせめて遠くにいて当面役に立つヤツを応援するのは当然ですよ。
ということで、当時の世界には、ヒトラーの敵に踏みにじられて苦しみ、ヒトラーみたいな悪人を救い主と見ねばならない立場の人間がいたという、何とも気まずいお話。
参考資料
ジーン・ベスキー・エルシュテイン『女性と戦争』小林史子/廣川紀子訳 法政大学出版局
関連記事
19世紀ヨーロッパのプロ市民 ~自分たちの存在意義を守るため奴隷制を推奨した反奴隷制団体の話~
「音楽は人を殺れる!!」―独裁者を魅了した魔性の「楽劇」―
超三大陸周遊記 ~アトランティス、ムー、レムリアのお話~
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
引きこもりニート列伝その11 ヒトラー
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet11.html
西洋軍事史(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14455214/
(以下2010年6月26日加筆)
ヒトラーについては
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の世界史』
(「ヒトラー 趣味はお絵かき、ケーキが好物、シャイでデートもしたこと無い、意外とヘタレな悪の独裁者」収録)
もご参照ください。
リンクを変更(2010年12月7日)
by trushbasket
| 2010-01-31 20:52
| My(山田昌弘)








