2010年 05月 01日
春画から見る日本人の性意識~春画はなぜ乳に関心が少ないか~
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以前の記事で日本人は昔から乳に一定の関心を持っていた事について述べましたが、それでも徳川期の春画において乳が余り関心を持って描かれていないとよく言われます。まあ、喜多川歌麿が「北国五色墨」で遊女の豊満な乳房を描くなど割合に関心を寄せていたり、鈴木春信が時にやはり大きな乳を露出させた描写を入れたりと例外はあったようですが。また春信の弟子とされる磯田湖龍斎は、交接中に乳首に吸い付く男の絵柄を幾つか描き、それが葛飾北斎や歌川国芳に図柄の趣向として受け継がれたりしてはいます。他にも歌川国貞がしばしば前戯として女の胸に手を差し入れる男を描いてますし、以前に述べたように菱川師宣にもそういった絵がないわけではありません。以上を考えると、徳川後期を中心に全く無関心ではないわけではないようですが、それでも春画全体の割合から考えると乳描写に冷淡なのは否めないようです。西洋や現代日本とは偉い違いですね。
これについて、春画を研究している外国人タイモン・スクリーチ氏が面白い観点を示していますので以下で少し述べてみたいと思います。まず、彼が分析した限りでは乳そのものの扱いは軽いものの乳首への性的関心は見られるとの事。…乳首が第一で膨らみは割りとどうでも良いということでしょうか。そう考えると現在でもそういう向きがないでもない気がしますな。あと、西洋の絵と比べると乳に限らず腰・尻といった第二次性徴を男女で区別していないという傾向があるとか。そのため、男女の性的な違いを出すには性器を強調するしかない。で、日本の春画において男根や女陰が大きく描かれているのはそのためではないか、という推測がなされています。
さて、更にスクリーチ氏はこういった事実に、日本人にとってジェンダーのイメージを固定しているのが主に服装や髪型である事が関係しているのではないかとも述べています。曰く、
なんだとか。
まあ、フランスの王弟フィリップや騎士デオンの例もありますから一概には言えないのでしょうが、ジャンヌ・ダルクが処刑された直接の理由が男装であった事を考えると西洋では日本と比べ物にならないほど異性装への違和感が強いのは事実でしょう。
一方日本はというと以前の記事で述べたように女装に対して伝統的に割合寛容でしたから対照的ですね。
総合すると、要は伝統的に男とも女とも区別がつきにくいような中性的なのが好きなんでしょうかね、ロリとか男の娘とか。…そう考えると、日本人って笑えるほど変わってない。ま、西洋の影響で巨乳趣味も一般的になったりと変化がないわけではないんでしょうけど。以上、春画一つとって見ても日本人が歴史を通じて受け継いできた好みというか性癖が浮かび上がってくるのが興味深いです。
【参考文献】
春画 片手で読む江戸の絵 タイモン・スクリーチ 高山宏訳 講談社選書メチエ
江戸の春画 白倉敬彦 洋泉社
ジャンヌ・ダルク 村松剛 中公新書
日本大百科全書 小学館
関連記事:
「「おっぱい!おっぱい!」~日本人と乳について通史的に考える~」
「「オンナノコになりたい」?男たち~日本女装史概説~」
「ウタマロの国・日本~各地の春画は男根をどう描いてきたか~」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「日本民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021206.html)
「西洋民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021108.html)
関連サイト:
「浮世絵春画館」(http://www1.ocn.ne.jp/~matikado/frame7294.html)
18歳未満禁止。見る際は自己責任で。
これについて、春画を研究している外国人タイモン・スクリーチ氏が面白い観点を示していますので以下で少し述べてみたいと思います。まず、彼が分析した限りでは乳そのものの扱いは軽いものの乳首への性的関心は見られるとの事。…乳首が第一で膨らみは割りとどうでも良いということでしょうか。そう考えると現在でもそういう向きがないでもない気がしますな。あと、西洋の絵と比べると乳に限らず腰・尻といった第二次性徴を男女で区別していないという傾向があるとか。そのため、男女の性的な違いを出すには性器を強調するしかない。で、日本の春画において男根や女陰が大きく描かれているのはそのためではないか、という推測がなされています。
さて、更にスクリーチ氏はこういった事実に、日本人にとってジェンダーのイメージを固定しているのが主に服装や髪型である事が関係しているのではないかとも述べています。曰く、
「ある人があるジェンダーの着物を着ると、その着物は直截にそのジェンダーを表現するようになった。こうしてユニセックスの髪型をするならジェンダー自体に足ばらいをかけることになる。」
「これが日本と西欧の思考法の根本的にちがったところである。西洋では異性装は舞台(いた)の上でこそ常套であったし、その他の場所でも折り折りに見られはしたが、それらとてしょせん束の間の冗談という扱いだった。本気で身をやつそうとしても結局むだであるのは、第二次性徴は消し能わざるものと考えられていたからである。」
(共にタイモン・スクリーチ『春画 片手で読む江戸の絵』講談社選書メチエ 63頁)
なんだとか。
まあ、フランスの王弟フィリップや騎士デオンの例もありますから一概には言えないのでしょうが、ジャンヌ・ダルクが処刑された直接の理由が男装であった事を考えると西洋では日本と比べ物にならないほど異性装への違和感が強いのは事実でしょう。
一方日本はというと以前の記事で述べたように女装に対して伝統的に割合寛容でしたから対照的ですね。
総合すると、要は伝統的に男とも女とも区別がつきにくいような中性的なのが好きなんでしょうかね、ロリとか男の娘とか。…そう考えると、日本人って笑えるほど変わってない。ま、西洋の影響で巨乳趣味も一般的になったりと変化がないわけではないんでしょうけど。以上、春画一つとって見ても日本人が歴史を通じて受け継いできた好みというか性癖が浮かび上がってくるのが興味深いです。
【参考文献】
春画 片手で読む江戸の絵 タイモン・スクリーチ 高山宏訳 講談社選書メチエ
江戸の春画 白倉敬彦 洋泉社
ジャンヌ・ダルク 村松剛 中公新書
日本大百科全書 小学館
関連記事:
「「おっぱい!おっぱい!」~日本人と乳について通史的に考える~」
「「オンナノコになりたい」?男たち~日本女装史概説~」
「ウタマロの国・日本~各地の春画は男根をどう描いてきたか~」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「日本民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021206.html)
「西洋民衆文化史」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/021108.html)
関連サイト:
「浮世絵春画館」(http://www1.ocn.ne.jp/~matikado/frame7294.html)
18歳未満禁止。見る際は自己責任で。
by trushbasket
| 2010-05-01 11:29
| NF








