やっぱりエロい日本古典 ~百合触手ボテ腹プレイもあるよ~ エロネタ選り抜き『日本霊異記』
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日本の古典は、物語文学なんかは色恋を扱いながら、行為そのものはぼかして書かないなんていう、微妙な慎みがありまして、入れて出して粘液にまみれてズンパンみたいな直接的エロ描写はないんですが、しかし直接的な具体的なエロ描写を含む文章が昔の日本に存在しなかったわけではありません。
たとえば以前紹介した後白河法皇のエロ絵巻なんかもそうですし。
参照
後白河法皇 エロマンガ大王 ~天皇家の権威よりエロマンガ趣味を優先する背徳異形の天皇家首領~(社会評論社『ダメ人間の日本史』所収)
エロマンガ大王 後白河法皇 ~日本エロマンガの歴史は天皇家より始まる~
エロノベル大王 後白河法皇 ~後白河法皇原作エロマンガの後日譚(エロ)~
で、仏教説話集『日本霊異記』も、そんな直接的なエロ描写を色々含む、日本古典エロ界の重要戦力。
それを、せっかくだから、ここで一挙に紹介しておこうというわけです。
女人の悪鬼に点されて食噉はれし縁
……爾の時に、大和国郡十市菴知の村の東の方に、大きに富める家有りき。姓は鏡作造なり。一の女子有り、名は万の子と曰いき。未だ嫁がず、未だ通わず。面容端正し。……爰に人有りて伉儷い、品々物を送る。……語に随ひて所を許し、閨の裏に交通ぐ。其の夜閨の内に、言有りて言はく、「痛や」といふこと三遍なり。父母聞きて、相談ひて曰はく、「未だ効はずして痛むなり」といひて、忍びて猶し寐ぬ。明くる日晩ク起き、家母戸を叩キテ、驚かし喚べども答へず。怪しびて開きみれば、唯頭と一つの指とを遺し、自余皆噉はる。……或いは神怪なりと言いひ、或いは鬼啖なりと言ひき。(『新編 日本古典文学全集 日本霊異記』小学館 215、216頁)
<訳>
娘が悪鬼に犯されて、そのうえ食われてしまった話
……その頃、大和国郡十市菴知の村の東の方に極めて裕福な家があった。姓は鏡作造(かがみつくりのみやつこ)といった。一人娘が居た。名は万の子(よろずのこ)と言った。なかなか結婚せず、セックスすることもなかった。……そうする内にある男が結婚を申し込み、様々な品物を贈った。……その男の言葉になびいて同衾を許し、寝室の中でセックスした。その夜寝室の中から、声がして、「痛い」と鳴くこと三度に及んだ。父母は聞いて、語り合って「まだ慣れてないから痛がっているな」と言い、そのままそっと眠ってしまった。翌朝遅めに起きて、母親が戸を叩き、呼び起こそうとしたが返事がなかった。怪しんで戸を開けて見ると、頭と指一本を残して、残りはみんな食べられていた。……ある人はこれを神の起こした怪異と言い、ある人はこれを鬼が食ったのだと言った。……
とりあえず、神だの鬼だのというよりは、ただの質の悪い金持ちの仕業だと思いますが。昔の偉いひとは誘拐だ暴行だを平気でやったようなので、たぶんひとしきり犯った後、暴力ずくで連れ去ろうとしてもみ合う内に、うっかり殺していまい、それらしい状況にして鬼のせいだとか噂を流してごまかしただけなんじゃないですかね?娘の家も相当の有力者みたいですから、家と家の喧嘩に発展させたくなかったでしょうし。
なお万の子はもともとの漢文では万之子。「の」は除去できません。
女人大きなる蛇に婚せられ、薬の力に頼りて、命を全くすること得し縁
……其の女子、桑に登りて葉を揃きき。時に大きなる蛇有り。登れる女の桑に纏りて登る。路を往く人、見て嬢に示す。嬢見て驚き落つ。蛇も亦副ひ堕ち、纏りて婚し。慌れ迷ひて臥しつ。父母見て、薬師請け召し、嬢と蛇を同じ床に載せて、家に帰り庭に置く。……然して嬢の頭足に当てて、橛を打ちて懸け釣り、開の口に汁を入る。汁一斗入る。乃ち蛇放れ往くを殺して棄つ。蛇の子白く凝り、蝦蟆の子の如し。……クボより五升許出づ。……然して三年経て、彼の嬢、復蛇に婚せられて死にき。愛心深く入りて、死に別るる時に、……「我死にて復の世に必ず復相はむ」といひき。……愛欲は一つに非ず。経に説きたまへるが如し。「……仏、阿難に告りたまはず、『是の女、先世に一の男子を産む。深く愛心を結び、口に其の子のマラをスふ。母三年を経て、儵倐に病を得、命終の時に臨み、子を撫でマラを唼ひて、斯く言ひき。「我、生々の世に常に生れて相はむ」といひて、隣家の女に生れ、終に子の妻と成り、……』と者へるは、其れ斯れを謂ふなり。……(『新編 日本古典文学全集 日本霊異記』小学館 232~234頁 一部漢字をカタカナに改変 クボ=門の中に也、マラ=門の中に牛、スい=口の横に集)
<訳>
女が大きな蛇に犯されて、薬の力に頼って、一度は命が助かったが……という話(付 息子のチンコに執着して、生まれ変わって息子の妻となった母親の話)
……その娘が、桑に登って葉を摘んでいた。その時、大きな蛇が現れた。女が登っている桑にまとわりついて登っていった。道を往く人が、これを見て娘に警告した。娘は見て驚き落下した。蛇も一緒になって落下し、まとわりついて娘を犯した。気を失って倒れたままとなった。父母はこれを見ると、薬師を呼び、娘と蛇を板に載せて、家に運び庭に置いた。……そうこうして娘の頭を下にし、杭を二本立てたところに広げた両脚をかけて、逆さに吊りにし、開いたところにある性器に薬の汁を注ぎ入れた。薬は18リットルも入った。すると蛇は離れ逃げようとしたので殺して棄てた。蛇の子が白く凝り固まり、オタマジャクシのようであった。……性器から9リットルも出てきた。……ところが三年後、この娘は、また蛇に犯されて死んだ。娘は蛇への愛情が深く染みついて、死に別れるときに、……「私は死んで来世で必ずまた蛇と結ばれる」と言った。愛欲のあり方は一つに定まってはいない。経典にも言っている通りである。「……仏が、阿難に告げて仰るに『この女は前世で一人の息子を産んだ。深く愛着して、口でその子の男根を吸った。この母は三年後、急に病となり、臨終の時に、子を撫でその男性器を吸い、このように言った。「私は、永遠に生まれ変わり続け、またお前と結ばれる」と言い、隣の家の娘に生まれ変わって、そのうちに子の妻となり、……』」というのがそれである。
「蛇の子白く凝り、蝦蟆(かへる)の子の如し。」
どう見ても精子です。本当にありがとうございました。
まあそんな冗談は置いておいて、
子を産んでいると言うことはこの蛇、メスですか?
あと蛇の子「五升」って凄いですね。
それにしても、
メスの触手系淫獣相手にボテ腹百合セックスで輪廻を越えた永遠の愛を誓うとはご先祖様の妄想はなかなかマニアックです。
なお経典に出てくると称しているチンコと母の話は出典不明だそうです。
法花経を写し奉る経師の、邪婬を為して、以て現に悪死の報を得し縁
……。発願の人有りて、……其の経師を其の堂に請け、法花経を写し奉らしむ。女衆参り集ひて、浄水を以て経の御墨の水に加えぬ。……雨を避けて堂に入るに、堂の裏狭少きが故に、経師と女衆同じ処に居り。爰に経師、婬れの心熾に発り、嬢ノ背に踞リヲリ。裳を挙げて婚ふ。マラのクボに入るに随ひて、手を携えて倶に死ぬ。唯女は口より漚を嚙齧ミ出して死にき。アキラかに知る、護法の刑罰なりといふことを。(『新編 日本古典文学全集 日本霊異記』小学館 292、293頁 一部漢字をカタカナに改変 マラ=門の中に牛、クボ=門の中に也、アキラ=日の横に折)
<訳>
法花経を写していた写経師が、邪にもセックスして、罰が当たって死んだ話
……願を立てた人がいて、……その写経師をお堂に招き、法花経を写経させた。女達が集まっていて、浄水を写経用の御墨の水に注ぎ足していった。……雨であったのを避けて堂から出て行かなかったが、堂の中が狭かったため、写経師と女達は固まって座っていた。ここで写経師は、エロこころが激しくたぎり、娘の背中に乗りかかった。スカートをめくり上げて、セックスした。男根が女性器に挿入されると、男女は手を取り合って一緒に死んでしまった。ただ女は口から泡を吹いて死んでいた。明らかにこれは、護法の神の刑罰である。
この他、霊異記のエロネタとしては、ビッグチンコの坊主道鏡がらみで坊主と皇室をネタにした民間の猥歌なんかがありますが、直接的具体的なエロ描写を取り上げるという今回の趣旨とはズレれいますので、それはまた別の機会に。
参考資料
『新編 日本古典文学全集 10 日本霊異記』小学館
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