2010年 12月 24日
この国の本当のかたち ~日本は王家たる天皇家が率先してエロマンガを作る国~
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日本の歴史を今より遡ること800年以上も昔
それは1172年のこと。
時の天皇、高倉帝と婚約した平清盛の娘、建礼門院、平徳子には『小柴垣草子』と呼ばれる見事な絵巻が叔母の建春門院から贈られました。
ところでこの絵巻、二つのことで、日本史上初の栄冠に輝いています。
実はこの絵巻、エロい絵巻だったりするのですが、そんなものが贈られた目的は、なんとそれを見せて新妻にセックスのハウ・トゥを教えること。
そして、これは、性の手引き目的で花嫁にエロ絵を与えることの、日本史上最初の例であり、昭和初期の日本で、嫁入り道具のタンスの中に秘画帖、すなわちエロ絵集を忍ばせたことの、はるかな先駆となる事例であったりするのです。
そしてこの『小柴垣草子』のもう一つの日本史上初。
実は、この絵巻、日本絵画史において、最初に登場した純然たるエロ絵画作品だとも言われているのです。
もちろんそれまでにも、日本にエロ要素を含んだ絵が存在しなかったわけではありません。
たとえばこれ以前にもエロい落書き程度なら描かれました。
また、医療用の体位図や、陽物や屁を滑稽に描いた初期の絵巻物は、一応、性を表現した作品と言えなくもありません。
しかしそれらは、あるいは作品と呼べぬレベルの適当極まりない落書きに過ぎず、あるいはエロを興味の中心に据えるほどには至らず、真の意味での好色絵画作品とは言い難いものでありました。
それらの準備段階を越えて、真に好色的と言える扇情的なエロ絵が高度に完成した作品として姿を現したのは、ようやくこの『小柴垣草子』の登場においてであったのです。
さらにこの『小柴垣草子』には、もう一段凄い話が隠されています。
このエロ絵巻、一のエロ場面を抜き出して描いただけの単品の絵ではなく、詞書すなわち文章と一連の絵を交互に配列して物語を描きだした絵巻物、いわばエロ漫画なわけですが、
この詞書の作者は、なんと、後白河法皇(1127~1192年)だと言われているのです。
後白河法皇は、絵巻物制作の敏腕プロデューサーいわば当時の敏腕マンガ編集者として高名な方ではありますが、日本史上初のエロマンガの原作まで手がけていたと言うこともできるわけです。(まあ後白河法皇ではなく、藤原為家が詞書作者という説もあるんですが、それは今回は置いておきます。)
そして、これすなわち、
日本は天皇家、すなわち王家が率先してりエロマンガを作る国、
そう言うことができるでしょう。
さすがはHENTAI帝国ニッポン、そしてさすがは日本の支配者、
大日本帝国バンザイ、天皇陛下バンザイ
思わず声を上げたくなる素晴らしい祖国の姿です。
これが古き良き日本、この国の本当のかたちです。
近現代になって漫画オタクの首相が何人も続出した"COOL"な国ですから、それにふさわしく、前近代もはじまり過ぎていますね。
参考
漫画オタク首相の日本近現代90年史 ~日露戦争の英雄・加藤友三郎元帥から麻生・鳩山まで~
さて、ついでですので、ここからは我らは臣民として、
素晴らしき祖国、素晴らしき主君の生み出した作品を、ありがたく、味あわせていただくことにしましょう。
以下で、後白河法皇の手になる『小柴垣草子』詞書を紹介いたします。(以前に詞書の紹介と絵画部分の解説を合わせてやったことがありますので、詳しく知りたい方はそちらに行っていただくとして、ここでは詞書のみの紹介といたします。)
まずは、前提知識として、このエロマンガがいかなる話なのかを説明いたしますと、
986年の宮廷スキャンダルを題材にした作品で、色男の近衛兵、平致光と、斎宮すなわち国家鎮護の聖処女あるいは姫巫女であった皇女済子の密通を描いた物語
ということになります。
そして、詞書。
京都大学図書館所蔵本の「後白河法皇の御宸筆、疑い無きところなり(後白河法皇御宸筆無疑処也)」と記される長文の詳細な詞書から、絵画部分に相当する冒頭三分の一ほどです。(原文は、リチャード・レイン編著『定本浮世絵春画名品集成17 秘画絵巻【小柴垣草子】』河出書房新社 53~54頁より源豊宗校訂のものを引用 段番号省略 一部文中記号を改編)
<訳>
寛和の頃、滝口の武士の平致光という有名な美男で並ぶ者なき好色漢がいた。その姿を見た者は恋に落ち、評判を聞いて思いを寄せない者はなかった。斎宮が野宮におられたとき、公役にやってきたのを御簾の中から御覧になったところ、見目と有様と諸々の装いの風流で晴れやかな姿が、世の人よりも優って見えたのを、男の影さえ見ることは稀であるのに偶々御覧になってしまった御心の内は、どのような思いでおられたのだろう。
<訳>
月が傾き夜も更ける頃、小柴垣の下に臥していた所に、なんと神の掟を破って、高欄の端から御足をそっと下ろして惚れ惚れと御覧になりつつ顔をお踏みになったので、驚いて見上げたところ並々ならぬ美しい女性の、御髪が思いを抑えきれない風情にこぼれかかり、御小袖の合わせ目の乱れた姿、白く美しい所から黒くかわいげのない所まで月の光にほのかに見えては、心乱れて言い表しようもない。
<訳>
御足にとりついた勢いのまま押しはだけ、舌を差し入れてしゃぶりまわせば、玉門に理性も道理もないというわけで、頭に嫌との思いも浮かばず、水はじきなどにも似た有様で、濡れ散るところまで達したのであった。
<訳>
下紐解いてまごつく程の時もなお待ちきれず、もよおした大物は早くも腹立ち怒ったかの様に準備万端、しゃぶってかき立てた肉塊が御肌の奥から露わにさらけ出されたところに、押し当てて上向きに荒々しく進み行けば、玉門のうるおいも玉茎の固さもいよいよ増し優っていく様で言いようもない。
<訳>
ふっくらと好ましげな尻を容易く組み敷きあるいは持ち上げ、そこで玉茎もますます奮い立つ心地で伸び上がって攻めたてれば、過去も未来も神々のこともはやどうでも良くなって、卑しい口に吸い付き感に堪えないといった御様子はあまりにいき過ぎた有様であった。
国家鎮護のための聖処女にエロいことさせるマンガ、しかもこんな露骨なのを自ら筆をふるって原作するなんて後白河法皇、たいした方ですね。
参考資料
リチャード・レイン編著『定本浮世絵春画名品集成17 秘画絵巻【小柴垣草子】』河出書房新社
棚橋光男著『後白河法皇』講談社選書メチエ
家永三郎著『上代倭絵全史』名著刊行会
中村真一郎著『色好みの構造-王朝文化の深層-』岩波新書
後白河法皇という人物について、より詳しくは、
・社会評論社『ダメ人間の日本史』
(「後白河法皇 エロマンガ大王 ~天皇家の権威よりエロマンガ趣味を優先する背徳異形の天皇家首領~」収録)
・エロマンガ大王 後白河法皇 ~日本エロマンガの歴史は天皇家より始まる~
・エロノベル大王 後白河法皇 ~後白河法皇原作エロマンガの後日譚(エロ)~
で取り上げています。
よろしければそちらもご参照ください。
Amazon :『ダメ人間の日本史』(ダメ人間の歴史vol 2)
楽天ブックス:『ダメ人間の日本史』(ダメ人間の歴史vol 2)
当ブログ内紹介記事
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れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
後白河の同時代人たち
引きこもりニート列伝その3 鴨長明・兼好法師
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet03.html
引きこもりニート列伝その26 西行
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet26.html
義経は戦の天才か?
http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/020510a.html
楽天ブックス: ダメ人間の日本史 - ダメ人間の歴史vol 2 -
それは1172年のこと。
時の天皇、高倉帝と婚約した平清盛の娘、建礼門院、平徳子には『小柴垣草子』と呼ばれる見事な絵巻が叔母の建春門院から贈られました。
ところでこの絵巻、二つのことで、日本史上初の栄冠に輝いています。
実はこの絵巻、エロい絵巻だったりするのですが、そんなものが贈られた目的は、なんとそれを見せて新妻にセックスのハウ・トゥを教えること。
そして、これは、性の手引き目的で花嫁にエロ絵を与えることの、日本史上最初の例であり、昭和初期の日本で、嫁入り道具のタンスの中に秘画帖、すなわちエロ絵集を忍ばせたことの、はるかな先駆となる事例であったりするのです。
そしてこの『小柴垣草子』のもう一つの日本史上初。
実は、この絵巻、日本絵画史において、最初に登場した純然たるエロ絵画作品だとも言われているのです。
もちろんそれまでにも、日本にエロ要素を含んだ絵が存在しなかったわけではありません。
たとえばこれ以前にもエロい落書き程度なら描かれました。
また、医療用の体位図や、陽物や屁を滑稽に描いた初期の絵巻物は、一応、性を表現した作品と言えなくもありません。
しかしそれらは、あるいは作品と呼べぬレベルの適当極まりない落書きに過ぎず、あるいはエロを興味の中心に据えるほどには至らず、真の意味での好色絵画作品とは言い難いものでありました。
それらの準備段階を越えて、真に好色的と言える扇情的なエロ絵が高度に完成した作品として姿を現したのは、ようやくこの『小柴垣草子』の登場においてであったのです。
さらにこの『小柴垣草子』には、もう一段凄い話が隠されています。
このエロ絵巻、一のエロ場面を抜き出して描いただけの単品の絵ではなく、詞書すなわち文章と一連の絵を交互に配列して物語を描きだした絵巻物、いわばエロ漫画なわけですが、
この詞書の作者は、なんと、後白河法皇(1127~1192年)だと言われているのです。
後白河法皇は、絵巻物制作の敏腕プロデューサーいわば当時の敏腕マンガ編集者として高名な方ではありますが、日本史上初のエロマンガの原作まで手がけていたと言うこともできるわけです。(まあ後白河法皇ではなく、藤原為家が詞書作者という説もあるんですが、それは今回は置いておきます。)
そして、これすなわち、
日本は天皇家、すなわち王家が率先してりエロマンガを作る国、
そう言うことができるでしょう。
さすがはHENTAI帝国ニッポン、そしてさすがは日本の支配者、
大日本帝国バンザイ、天皇陛下バンザイ
思わず声を上げたくなる素晴らしい祖国の姿です。
これが古き良き日本、この国の本当のかたちです。
近現代になって漫画オタクの首相が何人も続出した"COOL"な国ですから、それにふさわしく、前近代もはじまり過ぎていますね。
参考
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さて、ついでですので、ここからは我らは臣民として、
素晴らしき祖国、素晴らしき主君の生み出した作品を、ありがたく、味あわせていただくことにしましょう。
以下で、後白河法皇の手になる『小柴垣草子』詞書を紹介いたします。(以前に詞書の紹介と絵画部分の解説を合わせてやったことがありますので、詳しく知りたい方はそちらに行っていただくとして、ここでは詞書のみの紹介といたします。)
まずは、前提知識として、このエロマンガがいかなる話なのかを説明いたしますと、
986年の宮廷スキャンダルを題材にした作品で、色男の近衛兵、平致光と、斎宮すなわち国家鎮護の聖処女あるいは姫巫女であった皇女済子の密通を描いた物語
ということになります。
そして、詞書。
京都大学図書館所蔵本の「後白河法皇の御宸筆、疑い無きところなり(後白河法皇御宸筆無疑処也)」と記される長文の詳細な詞書から、絵画部分に相当する冒頭三分の一ほどです。(原文は、リチャード・レイン編著『定本浮世絵春画名品集成17 秘画絵巻【小柴垣草子】』河出書房新社 53~54頁より源豊宗校訂のものを引用 段番号省略 一部文中記号を改編)
寛和の頃滝口平致光とて聞ある美男ならびなき好色あり見人恋にしつみ聞者思をかけぬはなかりけり斎宮野宮におわしましける口役に参たるを御簾の中より御覧しければみめ有さま所のしなしなすきてはれやかなる姿世の人に勝りてみえけるを男のかけさす事もまれなるにたまたま御覧しける御心にうちいかゝ覚食けむ
<訳>
寛和の頃、滝口の武士の平致光という有名な美男で並ぶ者なき好色漢がいた。その姿を見た者は恋に落ち、評判を聞いて思いを寄せない者はなかった。斎宮が野宮におられたとき、公役にやってきたのを御簾の中から御覧になったところ、見目と有様と諸々の装いの風流で晴れやかな姿が、世の人よりも優って見えたのを、男の影さえ見ることは稀であるのに偶々御覧になってしまった御心の内は、どのような思いでおられたのだろう。
月傾夜ふくるほとにこしはのもとにふしたる所へいかなる神のいさめをか遁出給けんかうらむのはつれより御足をさしおろしてにくからす御覧しつゝ顔を踏ませ給ひたるにあきれて見あけたれはなへてならすうつくしき女房の御くしはいと心くるしくこほれかゝりて御小袖の引合しとけなけにしろくうつくしき所又くろくにくさけなる所月のかけにほのかに見ゆる心まとひいはんかたなし
<訳>
月が傾き夜も更ける頃、小柴垣の下に臥していた所に、なんと神の掟を破って、高欄の端から御足をそっと下ろして惚れ惚れと御覧になりつつ顔をお踏みになったので、驚いて見上げたところ並々ならぬ美しい女性の、御髪が思いを抑えきれない風情にこぼれかかり、御小袖の合わせ目の乱れた姿、白く美しい所から黒くかわいげのない所まで月の光にほのかに見えては、心乱れて言い表しようもない。
御足にとりつくまゝにおしはたけたてまつりてしたをさし入れてねふりまわすに玉門はものゝ心なかりけれはかしらもきらはす水はしきなとのやうにはせいたさせ給ひける
<訳>
御足にとりついた勢いのまま押しはだけ、舌を差し入れてしゃぶりまわせば、玉門に理性も道理もないというわけで、頭に嫌との思いも浮かばず、水はじきなどにも似た有様で、濡れ散るところまで達したのであった。
ひもとく程のてまとひ猶おそしともよをす大物いつしかはら立いかりまうけたるにねふりそゝのかしたるしゝむらは御はたよりもたかく利き出たるにさしあてゝかみさまにあらゝかにやりわたすに玉門のうるおひも玉茎のかねもいよいよつよくまさるさまはいはむかたなし
<訳>
下紐解いてまごつく程の時もなお待ちきれず、もよおした大物は早くも腹立ち怒ったかの様に準備万端、しゃぶってかき立てた肉塊が御肌の奥から露わにさらけ出されたところに、押し当てて上向きに荒々しく進み行けば、玉門のうるおいも玉茎の固さもいよいよ増し優っていく様で言いようもない。
ふとくゆかしき御こしをやすくもてあはせはねあけさせ給ふに玉茎もいよいよのふる心地してのひあかりてせめたてまつるにこし方行すゑ神代のことも忘られ給ふにやいやしき口にすひ付給ひてしのひかねたる御けしきはことはりも過たりし
<訳>
ふっくらと好ましげな尻を容易く組み敷きあるいは持ち上げ、そこで玉茎もますます奮い立つ心地で伸び上がって攻めたてれば、過去も未来も神々のこともはやどうでも良くなって、卑しい口に吸い付き感に堪えないといった御様子はあまりにいき過ぎた有様であった。
国家鎮護のための聖処女にエロいことさせるマンガ、しかもこんな露骨なのを自ら筆をふるって原作するなんて後白河法皇、たいした方ですね。
参考資料
リチャード・レイン編著『定本浮世絵春画名品集成17 秘画絵巻【小柴垣草子】』河出書房新社
棚橋光男著『後白河法皇』講談社選書メチエ
家永三郎著『上代倭絵全史』名著刊行会
中村真一郎著『色好みの構造-王朝文化の深層-』岩波新書
後白河法皇という人物について、より詳しくは、
・社会評論社『ダメ人間の日本史』
(「後白河法皇 エロマンガ大王 ~天皇家の権威よりエロマンガ趣味を優先する背徳異形の天皇家首領~」収録)
・エロマンガ大王 後白河法皇 ~日本エロマンガの歴史は天皇家より始まる~
・エロノベル大王 後白河法皇 ~後白河法皇原作エロマンガの後日譚(エロ)~
で取り上げています。
よろしければそちらもご参照ください。
Amazon :『ダメ人間の日本史』(ダメ人間の歴史vol 2)楽天ブックス:『ダメ人間の日本史』(ダメ人間の歴史vol 2)
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日本最古のエロ絵画? ~飛鳥・奈良時代のエロい落書きのお話~
漫画オタク首相の日本近現代90年史 ~日露戦争の英雄・加藤友三郎元帥から麻生・鳩山まで~
石原慎太郎著『太陽の季節』に学ぶキモオタでもできる女の口説き方 ~これで「お前ら」もリア充だ~
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
後白河の同時代人たち
引きこもりニート列伝その3 鴨長明・兼好法師
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet03.html
引きこもりニート列伝その26 西行
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet26.html
義経は戦の天才か?
http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2002/020510a.html
楽天ブックス: ダメ人間の日本史 - ダメ人間の歴史vol 2 -
by trushbasket
| 2010-12-24 19:00
| My(山田昌弘)








