2011年 04月 11日
日本&スウェーデン「古代ユダヤは日本で復活する」 ~日ユ同祖論の世界史~
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1.日ユ同祖論の日本史
日ユ同祖論(日猶同祖論)という学説(?)があります。
日本民族の祖先は古代ユダヤ人だったんだよ!
って内容の学説(?)なんですが、西洋人に主流を押さえられた世界政治と世界史の中で、微妙につまはじき感を味わう日本人にとって、西洋精神文明の基礎に大きな影響を与えた古代ユダヤ人との間に秘密の系譜をつなげることは割と自尊心やら何やら満足させてくれるらしく、
どの程度の人がまじめに信じているかはともかくとして、
この珍説、結構日本人受けの良い話だったりします。
【事の起こりは訪日外国人】
それで、この日ユ同祖論の歴史をたどりますと、ことの起こりは、19世紀の後半、日本に訪れた外国人が唱え出したということになっているようです。
すなわち『Jewish Encyclopedia』によると、東京で1879年に出版されたN. McLeodの著書『The Epitome of The Ancient History of Japan』において日ユ同祖論が唱えられたとされており、一応、これが世間一般で、最古の日ユ同祖論とされているようです。
参照
http://www.jewishencyclopedia.com/view.jsp?artid=325&letter=T&search=japan#1437
ちなみに、この本は東京で第三版が出版されたのは1879年ですが、1878年に京都、1875年に長崎で出版されています。
参照
http://shinku.nichibun.ac.jp/gpub/book/g0445.html
http://www.amazon.com/Epitome-Ancient-History-Japan-Including/dp/1402148984
【日本人も言いだした】
その後、20世紀、日本人の中にも日ユ同祖論を唱える者が登場します。
もっともこれは政治的な学説で
【広まる日ユ同祖論】
そしてさらに時を進めて大正13年(1924年)には、日本人はユダヤ人よりも正しい選ばれたユダヤ人であるといった内容の奇説を唱える酒井勝軍の著書『猶太民族の大陰謀』が登場し、日ユ同祖論は広く日本人に知られるようになり、
それ以降もなぜだか、日ユ同祖論者が続々登場、日ユ同祖論はその影響力を強めていきます。
そうするうちに、日ユ同祖論は、日本の娯楽小説のフィクション世界から、果ては政治軍事というリアル世界まで、戦前の日本に広く影響を及ぼしてしまうことになります。
で、戦後も、日ユ同祖論は一部で信奉者を確保して根強く頑張っている。
以上が日本における日ユ同祖論の略史ということになります。
2.海の向こうの日ユ同祖論
もっとも、上は日本国内における話(外人さんも混ざっていたけど、言い出したのは日本において)。
実は、外国には、これよりもっともっと早くに日ユ同祖論を唱えている奴がいた!
それは科学者ルードベック。17世紀のスウェーデンに生まれた世界的な大科学者だそうです。ちなみにこの人物、ノーベル賞で有名なアルフレッド・ノーベルの祖先であり、ノーベルはルードベックがノーベル家の祖先であることを誇りにしていたのだとか。
すなわち、
イスラエル十二支族というのは聖書に描かれた神によって選ばれし民で、ユダヤ人の祖先です。
というわけで、
世界的な学者が日ユ同祖論を唱え、それに触発されて日本を目指す者がいる、そんな時代がヨーロッパにはありました。
なおケンペルについて少し解説しておくと、ドイツの医者、博物学者で、外国人による日本研究の傑作とされる『日本誌』を著した人物です。この著作によってヨーロッパ人の日本に対する関心が高められたと言います。
参考資料
武田龍夫著『物語 スウェーデン史 ──バルト大国を彩った国王、女王たち──』新評論長山靖生著『偽史冒険世界』 ちくま文庫
『スーパー・ニッポニカ Professional for Windows』小学館
『Jewish Encyclopedia』
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れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
西洋キリスト教史 1
http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/1997/970516.html
引きこもりニート列伝その32 平田篤胤
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet32.html
日ユ同祖論(日猶同祖論)という学説(?)があります。
日本民族の祖先は古代ユダヤ人だったんだよ!
って内容の学説(?)なんですが、西洋人に主流を押さえられた世界政治と世界史の中で、微妙につまはじき感を味わう日本人にとって、西洋精神文明の基礎に大きな影響を与えた古代ユダヤ人との間に秘密の系譜をつなげることは割と自尊心やら何やら満足させてくれるらしく、
どの程度の人がまじめに信じているかはともかくとして、
この珍説、結構日本人受けの良い話だったりします。
【事の起こりは訪日外国人】
それで、この日ユ同祖論の歴史をたどりますと、ことの起こりは、19世紀の後半、日本に訪れた外国人が唱え出したということになっているようです。
すなわち『Jewish Encyclopedia』によると、東京で1879年に出版されたN. McLeodの著書『The Epitome of The Ancient History of Japan』において日ユ同祖論が唱えられたとされており、一応、これが世間一般で、最古の日ユ同祖論とされているようです。
参照
http://www.jewishencyclopedia.com/view.jsp?artid=325&letter=T&search=japan#1437
ちなみに、この本は東京で第三版が出版されたのは1879年ですが、1878年に京都、1875年に長崎で出版されています。
参照
http://shinku.nichibun.ac.jp/gpub/book/g0445.html
http://www.amazon.com/Epitome-Ancient-History-Japan-Including/dp/1402148984
【日本人も言いだした】
その後、20世紀、日本人の中にも日ユ同祖論を唱える者が登場します。
日本人とユダヤ人を結びつける最初の学説は、古代の渡来人のなかにユダヤ系の人々が含まれていたという、比較的穏やか(?)なものだった。明治四十一年(一九〇八)、法政大学の佐伯好郎教授は『太秦を論ず』という論文を発表している。そのなかで六~七世紀に日本で活躍した渡来人である秦氏は実はユダヤ人だったという説を展開したのである。
(長山靖生『偽史冒険世界』 ちくま文庫 160頁)
もっともこれは政治的な学説で
なお、後年に佐伯自身が語ったところによると、『太秦を論ず』を著したのは、北海道開発にユダヤ人の大資本を導入しようと計画し、ユダヤ人の注意を日本に向けさせるためのものだったという。
(同上)
【広まる日ユ同祖論】
そしてさらに時を進めて大正13年(1924年)には、日本人はユダヤ人よりも正しい選ばれたユダヤ人であるといった内容の奇説を唱える酒井勝軍の著書『猶太民族の大陰謀』が登場し、日ユ同祖論は広く日本人に知られるようになり、
それ以降もなぜだか、日ユ同祖論者が続々登場、日ユ同祖論はその影響力を強めていきます。
そうするうちに、日ユ同祖論は、日本の娯楽小説のフィクション世界から、果ては政治軍事というリアル世界まで、戦前の日本に広く影響を及ぼしてしまうことになります。
で、戦後も、日ユ同祖論は一部で信奉者を確保して根強く頑張っている。
以上が日本における日ユ同祖論の略史ということになります。
2.海の向こうの日ユ同祖論
もっとも、上は日本国内における話(外人さんも混ざっていたけど、言い出したのは日本において)。
実は、外国には、これよりもっともっと早くに日ユ同祖論を唱えている奴がいた!
それは科学者ルードベック。17世紀のスウェーデンに生まれた世界的な大科学者だそうです。ちなみにこの人物、ノーベル賞で有名なアルフレッド・ノーベルの祖先であり、ノーベルはルードベックがノーベル家の祖先であることを誇りにしていたのだとか。
すなわち、
「自由の時代」はスウェーデンにとって内憂外患の「危機の時代」であったが、学芸の分野では世界的な知性と個性を生み出した時代でもある。……オーロフ・ルードベック(一六三〇~一七〇二)という科学者(ウプサラ大学)がいる。ルードベックの方は、後年、スウェーデンを世界の中心のエデンの園であったとし、アトランチカという大西洋の海没文明を説いたりして脱線したとはいえ偉大な科学者であった。そのほかにも、日本人を四散したイスラエル十二支族の一つであると主張したりもした。ドイツの医者であるケンペルは、このルードベックの講義を聞いて日本行きを決意したのである。また、ノーベル賞で有名なアルフレッド・ノーベル(一八三三~一八九六)は、ルードベックがノーベル家の祖先につながることを誇りとしていた。
(武田龍夫『物語 スウェーデン史 ──バルト大国を彩った国王、女王たち──』新評論 101~102頁)
イスラエル十二支族というのは聖書に描かれた神によって選ばれし民で、ユダヤ人の祖先です。
というわけで、
世界的な学者が日ユ同祖論を唱え、それに触発されて日本を目指す者がいる、そんな時代がヨーロッパにはありました。
なおケンペルについて少し解説しておくと、ドイツの医者、博物学者で、外国人による日本研究の傑作とされる『日本誌』を著した人物です。この著作によってヨーロッパ人の日本に対する関心が高められたと言います。
参考資料
武田龍夫著『物語 スウェーデン史 ──バルト大国を彩った国王、女王たち──』新評論長山靖生著『偽史冒険世界』 ちくま文庫
『スーパー・ニッポニカ Professional for Windows』小学館
『Jewish Encyclopedia』
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引きこもりニート列伝その32 平田篤胤
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet32.html
by trushbasket
| 2011-04-11 00:11
| My(山田昌弘)








