若年女性のみに許されたとある「婚活」手段~乳を人目に晒して良い条件は~
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さて、以前に西洋や現代日本に限らず多くの社会で女性の乳房が性的な意味合いを持って見られていたという事をお話したと思います(特に未婚の若い娘中心に)。一方、既婚・既産女性に関してはそうでもない場合もあるとも言ったようにも思います。しかし、これも地域によるようでユダヤ、インド、エジプト、モンゴル、アメリカ先住民のシャイアン族などの社会では授乳も人前で行う事は憚れるとみなされており(一方、授乳を盗み見ようとする男性は少なくなかったそうです)、既産女性の乳も性的な意味合いがある社会も少なくないようです。特に西洋では、男たちの女性の乳への渇望はどの時代でも強かった事が記録から明らかで、絵の題材としては男が女の胸に手を触れている図は男女関係を仄めかすものとされていましたし、十三世紀前半の詩『カルミナ・ブラーナ』には
彼女の乳房を見たい それを手で摑みたい あらわな乳を弄びたい
(H.P.デュル『文明化の過程の神話Ⅳ挑発する肉体』藤代幸一・津山拓也訳 法政大学出版会 110頁)
といった惚れ惚れするほど煩悩丸出しな句があったりしました。
それだけに、女性が胸を晒す事には風俗面で禁忌視される事も多く(まあ、現代もそうですが)、特に西洋では女性が胸元の開いた服を着ることを禁じる説法や法令が出たり、胸を圧迫して膨らまないようにしたりする事も珍しくありませんでした。逆に言えば、そうした宗教的制止や禁令が出される事から(恐らくは異性を誘惑するため)そうした服装をする女性が後を絶たなかったことも読み取れるのですけれど。
しかし、そうした中で例外的に若い娘だけは胸元を大きく開けた服装をする事を許されていました。例えば、十四世紀後半のチューリッヒ市参事会規則では若い未婚女性が胸元を開けた服を身につける事を認めると定めています。1597年、とあるベネディクト会士はこうした風習に関してふさわしい結婚相手を見つけるための慣習だから罪にはならないと発言。一方、若い未婚女性以外が男を刺激し淫行に誘おうとするのは大罪であるとされたようです。
こうした規則の背景には、どうせ見るなら若い娘のオッパイがいい、年食った相手はごめん蒙るという男の本音がダダ漏れているように思えてしまいますが、1680年のロイトリンゲン市参事会条例ではあまり魅力のない女性だけに胸元の開いた服を許可していますのでそういうわけでもないようです。
ちなみに西洋だけではなく、ビルマのパラウング族やルマイ族、アフリカのズールー族やズワジ族、古代エジプトなど広い範囲で似たような風習があったようです。処女のみ乳をむき出しにし、既婚女性は胸を覆い隠す例が少なからずあったとか。
胸元を晒す行為が一種の「婚活」として行われていた地域が結構あったと言う事ですね。若い女性は乳を隠すという以前の記事の内容とは相反するように思われますが、女性の乳房が性的魅力のあるものとして世界各地で扱われていたという事実から見ると表裏一体の事象ともいえます。
ちなみにかつての西欧で若い処女の乳房が特別視されていたのは間違いないらしく、中世後期から近世になけて、女性は性交を経験すると乳房に皺がよって柔らかくなると信じられていたようです。その関係か、姦淫を疑われた処女の乳を修道士が調べる場面は猥褻な絵の口実としてしばしば描かれたといいます(実際にはそうした検査は女性の手で行われたそうです)。西洋だけでなく西ニューギニアのヤカウ族にも同様な俗説があり、
彼女が初めて誰かと寝ると、彼女の乳房は立つ。しかし、二、三度性交すると、彼女の乳房は垂れ下がる。すると、みな彼女のことを<あれはもう処女じゃない!>と言う。
(H.P.デュル『文明化の過程の神話Ⅳ挑発する肉体』藤代幸一・津山拓也訳 法政大学出版会 411頁)
という証言も得られているとか。
何にせよ、東西を問わず、昔から男は若い女性の乳には心を乱され続けてきた、という点だけは間違いなさそうです。
【参考文献】
文明化の過程の神話Ⅳ挑発する肉体 H.P.デュル 藤代幸一・津山拓也訳 法政大学出版会
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「「おっぱい!おっぱい!」~日本人と乳について通史的に考える~」
「乳をこよなく愛した人々の話 in 西洋史」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「エロゲーを中心とする恋愛ゲームの歴史に関するごく簡単なメモ」
(http://kurekiken.web.fc2.com/data/s2004/050311.html)
「ジュブナイルポルノの歴史に関する覚え書きとささやかな考現学」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/mito/juvenile.html)
関連サイト:
「聖痕のクェイサーⅡ 公式サイト」(http://www.qwaser.jp/)
「魔乳秘剣帖 アニメ公式サイト」(http://oppaidaisuki.jp/)