2011年 10月 31日
江戸時代の触手ブームの話
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HENTAIの国ニッポンでは、少なくない国民がエロい触手が大好きです。
なにせ早くも江戸時代にはタコの足を使ったエロい触手絵が描写されていたほどです。
で、そんなエロ触手大好きな日本人ですが、なんとこれまた江戸時代には触手ブームまで引き起こしたりしています。
ことの起こりは、
18世紀前半の加賀藩のお家騒動「加賀騒動」を題材にとった実録体小説『見語大鵬撰』。
これはお家騒動という事実を題材に、そこにエログロ好きの大衆受けを狙った様々な素材をつっこみ、好き放題妄想をふくらませた物語なのですが、
この物語中で、
加賀藩第7代藩主毒殺の実行犯である女中浅野は蛇責、
すなわち
緊縛した上で多数の蛇をまつわりつかせて責めたてる拷問
によって処刑されたということになっています。
そして『見語大鵬撰』の生み出したエログロ触手拷問シーンは、エログロ大好き江戸時代人の心を鷲づかみ、歌舞伎、浄瑠璃、講談などなど、様々な分野の作品が蛇責を受け入れ、競い合い影響し合って描写を発展させていくことになります。
いわば触手ブーム到来。
なお、これを享受する江戸時代の民衆はというと、上半身裸で体におもちゃの蛇を巻き付かせて迫真の演技をする女形に大興奮して固唾をのんで見守ったりしていたのだそうです。
……客観視すると、オモチャの蛇を体に巻き付かせて大騒ぎする女装のオッサンを大の大人が大勢集まって大興奮で見守っているとかいう、何とも言い難い光景ですが……。
それはさておき、
蛇責め的な描写は例えば外国でもあるようですし、それ単体なら尋常の発想といえるでしょう。そもそも加賀騒動物語の蛇責は、加賀藩3代藩主の時代に女中が蛇責めの刑に処されたという伝承を下敷きにしたものだそうで、このことも蛇責自体はいつでもどこでも誰でも思いつく程度の、昔からある平凡なエログロ表現ということの証拠になるでしょう。ただ、それを皆でよってたかってパクり合い、社会現象的に流行らしていった点は、さすが日本人、HENTAIですね。
ちなみに競い合い影響し合って発展した蛇責めは、1805年の『絵本雪鏡談』および、この絵本を引き写して実録小説化した『北雪美談金沢実記』で絶頂に達したそうです。
その絶頂の描写はこんな感じ。
参考資料
楠戸義昭『城と女達 下 天守閣に秘められた愛憎のドラマ』講談社+α文庫
『スーパー・ニッポニカ Professional』小学館
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この他、寝床にまで蛇を持ち込んでいた女性の伝記を『世界各国女傑列伝』のマケドニアの項目で取り上げていますので、よろしければそちらもご参照ください。それ以外に、描写は濃くないものの、同書中にはエログロ系のネタも色々あります。
Amazon :『世界各国女傑列伝』
楽天ブックス:『世界各国女傑列伝』
当ブログ内紹介記事
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
物語の消費形態について―いわゆるオタクを時間的・空間的に相対化する試み―
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/kouroumu.html
ジュブナイルポルノの歴史に関する覚え書きとささやかな考現学
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/mito/juvenile.html
日本民衆文化史
http://kurekiken.web.fc2.com/data/2002/021206.html
楽天ブックス: 世界各国女傑列伝
なにせ早くも江戸時代にはタコの足を使ったエロい触手絵が描写されていたほどです。
で、そんなエロ触手大好きな日本人ですが、なんとこれまた江戸時代には触手ブームまで引き起こしたりしています。
ことの起こりは、
18世紀前半の加賀藩のお家騒動「加賀騒動」を題材にとった実録体小説『見語大鵬撰』。
これはお家騒動という事実を題材に、そこにエログロ好きの大衆受けを狙った様々な素材をつっこみ、好き放題妄想をふくらませた物語なのですが、
この物語中で、
加賀藩第7代藩主毒殺の実行犯である女中浅野は蛇責、
すなわち
緊縛した上で多数の蛇をまつわりつかせて責めたてる拷問
によって処刑されたということになっています。
そして『見語大鵬撰』の生み出したエログロ触手拷問シーンは、エログロ大好き江戸時代人の心を鷲づかみ、歌舞伎、浄瑠璃、講談などなど、様々な分野の作品が蛇責を受け入れ、競い合い影響し合って描写を発展させていくことになります。
いわば触手ブーム到来。
なお、これを享受する江戸時代の民衆はというと、上半身裸で体におもちゃの蛇を巻き付かせて迫真の演技をする女形に大興奮して固唾をのんで見守ったりしていたのだそうです。
……客観視すると、オモチャの蛇を体に巻き付かせて大騒ぎする女装のオッサンを大の大人が大勢集まって大興奮で見守っているとかいう、何とも言い難い光景ですが……。
それはさておき、
蛇責め的な描写は例えば外国でもあるようですし、それ単体なら尋常の発想といえるでしょう。そもそも加賀騒動物語の蛇責は、加賀藩3代藩主の時代に女中が蛇責めの刑に処されたという伝承を下敷きにしたものだそうで、このことも蛇責自体はいつでもどこでも誰でも思いつく程度の、昔からある平凡なエログロ表現ということの証拠になるでしょう。ただ、それを皆でよってたかってパクり合い、社会現象的に流行らしていった点は、さすが日本人、HENTAIですね。
ちなみに競い合い影響し合って発展した蛇責めは、1805年の『絵本雪鏡談』および、この絵本を引き写して実録小説化した『北雪美談金沢実記』で絶頂に達したそうです。
その絶頂の描写はこんな感じ。
「直径四尺、深さ五尺の穴を掘り、五寸角の柱に浅尾の首を鉄鎖でつなぎ、幾千条とも知らぬ蛇を浅尾を入れたる穴へ入れ、酒をそそぎければ、酒気にあたりて俄かに狂い騒ぎ、蛇は浅尾が惣身手足は言うに及ばず攀まとい、あるいは七竅より這入り、膚を喰いやぶって身の内に入らんとす。浅尾は眼をぐわっと開きて黒髪を逆立て、阿修羅王の荒れたる如くになって叫ぶ声、怨むが如く怒るが如く泣くが如く。一匹の蛇いずれの穴より喰い入りしや、腸を喰いぬいて口より首を出だしけるに、浅尾は苦しみに堪ざりけん眼を怒らし、総身を奮いし歯をもって、出でんとする蛇の首を咬みしむる。」
(楠戸義昭『城と女達 下 天守閣に秘められた愛憎のドラマ』講談社+α文庫 311頁より)
参考資料
楠戸義昭『城と女達 下 天守閣に秘められた愛憎のドラマ』講談社+α文庫
『スーパー・ニッポニカ Professional』小学館
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この他、寝床にまで蛇を持ち込んでいた女性の伝記を『世界各国女傑列伝』のマケドニアの項目で取り上げていますので、よろしければそちらもご参照ください。それ以外に、描写は濃くないものの、同書中にはエログロ系のネタも色々あります。
Amazon :『世界各国女傑列伝』楽天ブックス:『世界各国女傑列伝』
当ブログ内紹介記事
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
物語の消費形態について―いわゆるオタクを時間的・空間的に相対化する試み―
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/kouroumu.html
ジュブナイルポルノの歴史に関する覚え書きとささやかな考現学
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/mito/juvenile.html
日本民衆文化史
http://kurekiken.web.fc2.com/data/2002/021206.html
楽天ブックス: 世界各国女傑列伝
by trushbasket
| 2011-10-31 02:10
| My(山田昌弘)








