2012年 01月 02日
『敗戦処理首脳列伝』宣伝企画その2~武名を挙げた人々~
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新年あけましておめでとうございます。本年も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。昨年は色々と大変な年になってしまいましたが、今年こそ良い年であってほしいものです。
さて、今回は以前に引き続く形で『敗戦処理首脳列伝』販促をまたやってみたいと思います。今回は、敗戦処理首脳の中でも軍事指揮官として功績を挙げた人々について扱います(時代順)。汚れ仕事であり、大変さの割に報われない事も多い敗戦処理首脳ですが、戦場の英雄が担った場合にはその威光もあって敗戦処理行為も肯定的に取られることも多々ありました。彼らの詳細に興味がある方は、社会評論社『敗戦処理首脳列伝』を御参照ください。
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テラメネス 【前5世紀後半 ペロポネソス戦争 アテナイ】
アテナイの軍人・政治家。アテナイの全権として降伏交渉をまとめる。戦争中は、前410年のキュジコスの戦いで二十隻の艦隊を率いてアルキビアデスと共にスパルタ軍を追い払い、カルケドンやビザンティオンにアテナイ支配を取り戻した実績がある。
フォキオン 【前4世紀後半 対マケドニア戦争 アテナイ】
アテナイの軍人・政治家。カイロネイアの戦いで敗れた後、主戦派を抑えて親マケドニア政策を貫きアテナイに経済的繁栄をもたらす。指揮能力に定評があり、生涯で四十五回将軍に選出された。前348年にはエウボイアの反乱を鎮圧し、対マケドニア戦でもしばしば軍功を挙げる。アレクサンドロス死後にアテナイが再びマケドニアに対し挙兵した際も、マケドニアの将軍を討ち取っている。
ハインリヒ・フォン・プラウエン 【15世紀初頭 タンネンベルクの戦い ドイツ騎士団】
タンネンベルクで騎士団が壊滅的敗北を喫した後、騎士団長の座を受け継ぎ和平および騎士団再建に従事した。タンネンベルクの戦いの際、本拠地マリーンブルクを三千の兵でポーランドの大軍から守り抜いている。
于謙 【15世紀半ば 土木の変 明】
明の政治家。皇帝が北方民族との戦いで捕虜になった際、兵部尚書(防衛担当大臣)として首都防衛戦を指揮し守り抜き、和平に持ち込んだ。
鍋島直茂 【16世紀後半 沖田畷の戦い 龍造寺家】
龍造寺家の有力武将。当主・隆信が戦死した後に実質的な指導者として危機を乗り切る。隆信の片腕として1570年に今山の戦いで大友氏を破った際に活躍している。
アンドレ・アヴェリーノ・カセレス 【19世紀後半 太平洋戦争(南米) ペルー】
ペルーの軍人。ペルーが敗北を重ねる中でもタラパカの戦いなどで活躍し軍事的英雄に。ペルー国内深くまでチリ軍に攻め込まれると、山岳ゲリラ戦を展開して「アンデス山脈の魔術師」と呼ばれた。ペルーが混乱し分裂すると、大統領を自称して事態を収拾させようとするが果せなかった。
クリスチャン・ルドルフ・デ・ウェット 【19世紀末~20世紀初頭 ボーア戦争 オレンジ自由国】
オレンジ自由国(現・南アフリカ共和国の一部)の軍人。ボーア戦争では三百の兵を率いてハイルブロン奇襲を成功させ、八百人のイギリス兵捕虜を獲得している。その後もゲリラ戦でイギリス軍を苦しめ、「デ・ウェット狩り」まで行わせたが逃げおおせた。敗北が不可避となると国家首脳代理として降伏交渉にあたった。
ケマル・アタチュルク 【20世紀前半 第一次大戦 トルコ】
トルコの軍人・政治家。第一次大戦中はガリポリで英仏軍を阻止し、またコーサカスでロシアからビトリスを奪って武名を挙げた。オスマン帝国が屈辱的条件で降伏すると、トルコ人の独立を守るため挙兵し革命政府を樹立。占領軍として入り込んでいたギリシア軍を追い出して再び緩和された条件で講和。
ピエトロ・バドリオ 【20世紀半ば 第二次大戦 イタリア】
イタリアの軍人・政治家。第一次大戦でモンテ・サボティーノ山占領作戦を成功させ評価を高めている。ムッソリーニ政権の下でもエチオピア占領を果たしたが、その後ギリシア侵攻に失敗して失脚。イタリアが敗色濃厚になると国王の支持を背景に無血クーデターで政権奪取、連合国に降伏。
カール・グスタフ・マンネルヘイム 【20世紀半ば 第二次大戦 フィンランド】
フィンランドの軍人・政治家。ロシア革命時には「白衛軍(反革命軍)」としてボリシェヴィキをフィンランドからたたき出す。第二次大戦では国力に勝るソ連を相手に防衛戦を行い、戦術的にはしばしば翻弄した。国力差から最終的には叶わない事を直視できる見識もあり、後に大統領として講和に当たる。
鈴木貫太郎 【20世紀半ば 第二次大戦 日本】
日本の軍人・政治家。第二次大戦末期に陸軍の主戦論等で四苦八苦しながらも昭和天皇の威信もかりる事で何とか降伏受諾に持ち込む。日露戦争では勇猛な水雷艇艦長として魚雷攻撃による戦功をあげ、「鬼貫太郎」と称えられている。
カール・デーニッツ 【20世紀半ば 第二次大戦 ドイツ】
ドイツの軍人。第一次大戦で潜水艦艦長として活躍。第二次大戦でも集団潜水艦戦を採用して連合軍の通商を妨害し大きな戦果を挙げた。大戦末期にヒトラーの後継者に指名され降伏交渉。
防衛戦のみでの活躍とか一小部隊を率いて勇戦というレベルにとどまらず、戦局全体に関わる一方面軍の司令官として攻勢に出て成果を出しているのがテラメネス、フォキオン、デ・ウェット、ケマル、バドリオ、マンネルヘイムといったところでしょうか。エチオピアに苦戦したりギリシア侵攻作戦で敗北したりと減点対象が存在するバドリオは評価が難しいです(優秀な軍人であったのは間違いないと思いますが)が、他の面々は名将と称して問題ないように思います。あとは、ゲリラ戦で「魔術師」と呼ばれたカセレスも指揮官としてはなかなか(政治家としては失格ですが)。前近代戦・近代戦の指揮官が混在していますので単純に順位付けするのは難しいように思いますが、上記の面子が最上級に位置するとみて大きな間違いはないのではないか、と考えられます。
【参考文献】
『敗戦処理首脳列伝』の末尾記載を御参照ください。
関連記事:
「『敗戦処理首脳列伝』宣伝企画 敗戦処理首脳あれこれベスト5」
「世界史最強女性武将 ベスト10 ~地球最強の女達~」
「決定戦国最強武将 ~信玄vs謙信どっちが強いか?~ 大学者の導き出した結論」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「軍事史概説 戦略と戦術の東西文明五千年史」
さて、今回は以前に引き続く形で『敗戦処理首脳列伝』販促をまたやってみたいと思います。今回は、敗戦処理首脳の中でも軍事指揮官として功績を挙げた人々について扱います(時代順)。汚れ仕事であり、大変さの割に報われない事も多い敗戦処理首脳ですが、戦場の英雄が担った場合にはその威光もあって敗戦処理行為も肯定的に取られることも多々ありました。彼らの詳細に興味がある方は、社会評論社『敗戦処理首脳列伝』を御参照ください。
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テラメネス 【前5世紀後半 ペロポネソス戦争 アテナイ】
アテナイの軍人・政治家。アテナイの全権として降伏交渉をまとめる。戦争中は、前410年のキュジコスの戦いで二十隻の艦隊を率いてアルキビアデスと共にスパルタ軍を追い払い、カルケドンやビザンティオンにアテナイ支配を取り戻した実績がある。
フォキオン 【前4世紀後半 対マケドニア戦争 アテナイ】
アテナイの軍人・政治家。カイロネイアの戦いで敗れた後、主戦派を抑えて親マケドニア政策を貫きアテナイに経済的繁栄をもたらす。指揮能力に定評があり、生涯で四十五回将軍に選出された。前348年にはエウボイアの反乱を鎮圧し、対マケドニア戦でもしばしば軍功を挙げる。アレクサンドロス死後にアテナイが再びマケドニアに対し挙兵した際も、マケドニアの将軍を討ち取っている。
ハインリヒ・フォン・プラウエン 【15世紀初頭 タンネンベルクの戦い ドイツ騎士団】
タンネンベルクで騎士団が壊滅的敗北を喫した後、騎士団長の座を受け継ぎ和平および騎士団再建に従事した。タンネンベルクの戦いの際、本拠地マリーンブルクを三千の兵でポーランドの大軍から守り抜いている。
于謙 【15世紀半ば 土木の変 明】
明の政治家。皇帝が北方民族との戦いで捕虜になった際、兵部尚書(防衛担当大臣)として首都防衛戦を指揮し守り抜き、和平に持ち込んだ。
鍋島直茂 【16世紀後半 沖田畷の戦い 龍造寺家】
龍造寺家の有力武将。当主・隆信が戦死した後に実質的な指導者として危機を乗り切る。隆信の片腕として1570年に今山の戦いで大友氏を破った際に活躍している。
アンドレ・アヴェリーノ・カセレス 【19世紀後半 太平洋戦争(南米) ペルー】
ペルーの軍人。ペルーが敗北を重ねる中でもタラパカの戦いなどで活躍し軍事的英雄に。ペルー国内深くまでチリ軍に攻め込まれると、山岳ゲリラ戦を展開して「アンデス山脈の魔術師」と呼ばれた。ペルーが混乱し分裂すると、大統領を自称して事態を収拾させようとするが果せなかった。
クリスチャン・ルドルフ・デ・ウェット 【19世紀末~20世紀初頭 ボーア戦争 オレンジ自由国】
オレンジ自由国(現・南アフリカ共和国の一部)の軍人。ボーア戦争では三百の兵を率いてハイルブロン奇襲を成功させ、八百人のイギリス兵捕虜を獲得している。その後もゲリラ戦でイギリス軍を苦しめ、「デ・ウェット狩り」まで行わせたが逃げおおせた。敗北が不可避となると国家首脳代理として降伏交渉にあたった。
ケマル・アタチュルク 【20世紀前半 第一次大戦 トルコ】
トルコの軍人・政治家。第一次大戦中はガリポリで英仏軍を阻止し、またコーサカスでロシアからビトリスを奪って武名を挙げた。オスマン帝国が屈辱的条件で降伏すると、トルコ人の独立を守るため挙兵し革命政府を樹立。占領軍として入り込んでいたギリシア軍を追い出して再び緩和された条件で講和。
ピエトロ・バドリオ 【20世紀半ば 第二次大戦 イタリア】
イタリアの軍人・政治家。第一次大戦でモンテ・サボティーノ山占領作戦を成功させ評価を高めている。ムッソリーニ政権の下でもエチオピア占領を果たしたが、その後ギリシア侵攻に失敗して失脚。イタリアが敗色濃厚になると国王の支持を背景に無血クーデターで政権奪取、連合国に降伏。
カール・グスタフ・マンネルヘイム 【20世紀半ば 第二次大戦 フィンランド】
フィンランドの軍人・政治家。ロシア革命時には「白衛軍(反革命軍)」としてボリシェヴィキをフィンランドからたたき出す。第二次大戦では国力に勝るソ連を相手に防衛戦を行い、戦術的にはしばしば翻弄した。国力差から最終的には叶わない事を直視できる見識もあり、後に大統領として講和に当たる。
鈴木貫太郎 【20世紀半ば 第二次大戦 日本】
日本の軍人・政治家。第二次大戦末期に陸軍の主戦論等で四苦八苦しながらも昭和天皇の威信もかりる事で何とか降伏受諾に持ち込む。日露戦争では勇猛な水雷艇艦長として魚雷攻撃による戦功をあげ、「鬼貫太郎」と称えられている。
カール・デーニッツ 【20世紀半ば 第二次大戦 ドイツ】
ドイツの軍人。第一次大戦で潜水艦艦長として活躍。第二次大戦でも集団潜水艦戦を採用して連合軍の通商を妨害し大きな戦果を挙げた。大戦末期にヒトラーの後継者に指名され降伏交渉。
防衛戦のみでの活躍とか一小部隊を率いて勇戦というレベルにとどまらず、戦局全体に関わる一方面軍の司令官として攻勢に出て成果を出しているのがテラメネス、フォキオン、デ・ウェット、ケマル、バドリオ、マンネルヘイムといったところでしょうか。エチオピアに苦戦したりギリシア侵攻作戦で敗北したりと減点対象が存在するバドリオは評価が難しいです(優秀な軍人であったのは間違いないと思いますが)が、他の面々は名将と称して問題ないように思います。あとは、ゲリラ戦で「魔術師」と呼ばれたカセレスも指揮官としてはなかなか(政治家としては失格ですが)。前近代戦・近代戦の指揮官が混在していますので単純に順位付けするのは難しいように思いますが、上記の面子が最上級に位置するとみて大きな間違いはないのではないか、と考えられます。
【参考文献】
『敗戦処理首脳列伝』の末尾記載を御参照ください。
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「決定戦国最強武将 ~信玄vs謙信どっちが強いか?~ 大学者の導き出した結論」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「軍事史概説 戦略と戦術の東西文明五千年史」
by trushbasket
| 2012-01-02 18:31
| NF








