2013年 01月 22日
世界の「女帝」たちに関するエロ伝説
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権力者となると、エロい事し放題。
そうしたイメージが古今東西であるようです。古代ローマでも、悪名高い皇帝に託する形で様々な「男のロマン」が記されていたのは以前の記事でご覧いただいた通り。これが女帝となると、ますますもってエロい男どもの妄想の種になる事は言うまでもありません。という訳で、何人かの「女帝」にまつわるそうした伝説について少し見ておきましょう。
まずは、我が国。八世紀の女帝・称徳天皇が道鏡なる僧侶を寵愛した事が、後世の人々の手で様々なエロ妄想の種にされた事は、あまりにも有名ですし何度か過去記事のネタにしましたのでここで改めて申し上げるまでもないかと思います。特記すべき点があるとすれば、『日本霊異記』で早くもそうした噂が記されている事、鎌倉期の『古事談』で最初に記されている逸話が称徳女帝のオナニー話である事、徳川期に女帝と藤原仲麻呂との情事を描いたエロ小説が国学者によって書かれた事でしょうか。
次に、中国を見ておきましょう。中国唯一の女帝といえば、唐を一時簒奪した武則天。彼女が若い美男を好んだ事は有名ですが、後世にそれをネタとした『如意君伝』というエロ小説が作られる事となります。それによると、従来の愛人たちに飽き足らなくなった女帝が新たな男の巨根によってようやく満足。それにちなんで元号を「如意」と改めたというのです。情事に満足した事を改元の理由にするのは、流石に前代未聞と言えるでしょう。
…実のところ、確かに武則天が「如意」なる元号を692年に用いたのは事実なようですが、流石にそうした理由からではないようです。ただ、「如意」という言葉が「一定如意」のように男女関係を意味する事もあったのが、こうした話の土壌にあったとか。いずれにせよ、「性的に満足したから改元」というのは「女帝」に対する後世のエロ妄想が生んだ与太話と思われます。
そして、西洋。さて女性の足に強い性的意味合いがある事例としては中国の纏足が有名ですが、西洋でもそこまで極端でないにしろそうした傾向はあったようです。例えば、古代ギリシア・ローマ時代から女性は足の裏をくすぐる事で性的な興奮をさせる習慣があったとか。そうした伝統に沿ってか、十八世紀のロシアに君臨したアンナ女帝は、宮廷に専門の足くすぐり係を設けたとされています。すなわちベルンハルト・シュテルン『ロシアの公共風俗史』によれば、
といった具合であり、宮廷で公に自慰専門の女官を抱えていた事は驚きですね。まあ、宮廷内に関するこの手の話題は、外部の人間が想像力逞しくした産物に過ぎないこともままありますから、話半分で聞いた方がよいのかもしれませんけれど。それでも、この話からは足をくすぐる行為に性感を呼び起こす作用があり性行為の代替となったこと、すなわち女性の足には現在以上に性的な意味合いが強かった事が読み取れるとは思います。
ロシアの女帝と言えば、忘れてはならないのがエカテリーナ2世。彼女はロシアを強国化した名君である一方、多くの愛人を侍らせた事でも有名でした。ド・リーニュ公によれば、彼女は82人の男に寵愛を与え、彼らには10万ルーブルに上る愛情料や12000ルーブルの衣装代、更に夜伽の際には24皿の料理が用意されたと伝えられます。事実かどうかは不明ですが、こうした話が語り継がれる辺り、「女帝」のエロ話に関する需要がある事を読み取って良いでしょう。
「女帝」ではないですが、ルイ16世の王妃マリー・アントワネットは女友達との同性愛関係や息子との近親相姦に関する中傷を受けていたようですが、これも同様の文脈で読み取ってよいでしょうね。
「女帝」といっても様々で、中にはマリア・テレジアやヴィクトリア女王のように夫に貞操を通し乱行の伝えられない人物ももちろん少なからずいます。しかしその一方で、王者の権力に任せて奔放に振舞った人もおり、そうした人々が下々のエロい妄想をそそるのは東西とも変わらないものと思われます。
【参考文献】
図説性の日本史 笹間良彦 雄山閣
中国艶本大全 土屋英明 文春新書
世界性風俗じてん(下) 福田和彦 河出文庫
日本大百科全書 小学館
図説乳房全書 マルタン・モネスティエ著 大塚宏子訳 原書房
関連記事:
「世界史上もっとも偉大な女帝トップ5(性的な意味で)」
「ローマ帝国の男のロマン ~古代ローマ人のエロ願望が変態すぎて日本人もドン引きレベル~」
「男のしるし、皇統の危機」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表
「女帝エカテリーナⅡ」
(http://kurekiken.web.fc2.com/data/1997/971219.html)
「西欧中世における恋愛、性の諸相」
(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2005/051209.html)
「ジュブナイルポルノの歴史に関する覚え書きとささやかな考現学」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/mito/juvenile.html)
則天武后については社会評論社『ダメ人間の世界史』で取り上げております。また、同『世界各国女傑列伝』では世界の様々な女帝たちについて取り上げていますので、よろしければご参照下さい。
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そうしたイメージが古今東西であるようです。古代ローマでも、悪名高い皇帝に託する形で様々な「男のロマン」が記されていたのは以前の記事でご覧いただいた通り。これが女帝となると、ますますもってエロい男どもの妄想の種になる事は言うまでもありません。という訳で、何人かの「女帝」にまつわるそうした伝説について少し見ておきましょう。
まずは、我が国。八世紀の女帝・称徳天皇が道鏡なる僧侶を寵愛した事が、後世の人々の手で様々なエロ妄想の種にされた事は、あまりにも有名ですし何度か過去記事のネタにしましたのでここで改めて申し上げるまでもないかと思います。特記すべき点があるとすれば、『日本霊異記』で早くもそうした噂が記されている事、鎌倉期の『古事談』で最初に記されている逸話が称徳女帝のオナニー話である事、徳川期に女帝と藤原仲麻呂との情事を描いたエロ小説が国学者によって書かれた事でしょうか。
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次に、中国を見ておきましょう。中国唯一の女帝といえば、唐を一時簒奪した武則天。彼女が若い美男を好んだ事は有名ですが、後世にそれをネタとした『如意君伝』というエロ小説が作られる事となります。それによると、従来の愛人たちに飽き足らなくなった女帝が新たな男の巨根によってようやく満足。それにちなんで元号を「如意」と改めたというのです。情事に満足した事を改元の理由にするのは、流石に前代未聞と言えるでしょう。
…実のところ、確かに武則天が「如意」なる元号を692年に用いたのは事実なようですが、流石にそうした理由からではないようです。ただ、「如意」という言葉が「一定如意」のように男女関係を意味する事もあったのが、こうした話の土壌にあったとか。いずれにせよ、「性的に満足したから改元」というのは「女帝」に対する後世のエロ妄想が生んだ与太話と思われます。
そして、西洋。さて女性の足に強い性的意味合いがある事例としては中国の纏足が有名ですが、西洋でもそこまで極端でないにしろそうした傾向はあったようです。例えば、古代ギリシア・ローマ時代から女性は足の裏をくすぐる事で性的な興奮をさせる習慣があったとか。そうした伝統に沿ってか、十八世紀のロシアに君臨したアンナ女帝は、宮廷に専門の足くすぐり係を設けたとされています。すなわちベルンハルト・シュテルン『ロシアの公共風俗史』によれば、
公職として仕えている多くの擽り女たちはロシアの女帝たちの宮廷では大きな部隊を形成している。この女奴隷たちのただ一つの勤めは女主人の足裏を擽り、その情欲を煽ることであった。女帝アンナ=イワノヴナがはじめてこの職を宮廷の公職に昇格させた。女帝の没後、その娘のアンナ=レオポルドヴナは、その寝室の控えの間に六人を下らぬ足裏の擽り女たちを抱えていた。これら女官たちは競って彼女に会館を用意することに務め、足裏を擽っている間、卑猥な話をしたり、歌をうたった。同様にイギリスのエリザベス女帝の閨房にも多くの擽り女たちがいた
(福田和彦『世界性風俗じてん(下)』河出文庫 39頁)
といった具合であり、宮廷で公に自慰専門の女官を抱えていた事は驚きですね。まあ、宮廷内に関するこの手の話題は、外部の人間が想像力逞しくした産物に過ぎないこともままありますから、話半分で聞いた方がよいのかもしれませんけれど。それでも、この話からは足をくすぐる行為に性感を呼び起こす作用があり性行為の代替となったこと、すなわち女性の足には現在以上に性的な意味合いが強かった事が読み取れるとは思います。
ロシアの女帝と言えば、忘れてはならないのがエカテリーナ2世。彼女はロシアを強国化した名君である一方、多くの愛人を侍らせた事でも有名でした。ド・リーニュ公によれば、彼女は82人の男に寵愛を与え、彼らには10万ルーブルに上る愛情料や12000ルーブルの衣装代、更に夜伽の際には24皿の料理が用意されたと伝えられます。事実かどうかは不明ですが、こうした話が語り継がれる辺り、「女帝」のエロ話に関する需要がある事を読み取って良いでしょう。
「女帝」ではないですが、ルイ16世の王妃マリー・アントワネットは女友達との同性愛関係や息子との近親相姦に関する中傷を受けていたようですが、これも同様の文脈で読み取ってよいでしょうね。
「女帝」といっても様々で、中にはマリア・テレジアやヴィクトリア女王のように夫に貞操を通し乱行の伝えられない人物ももちろん少なからずいます。しかしその一方で、王者の権力に任せて奔放に振舞った人もおり、そうした人々が下々のエロい妄想をそそるのは東西とも変わらないものと思われます。
【参考文献】
図説性の日本史 笹間良彦 雄山閣
中国艶本大全 土屋英明 文春新書
世界性風俗じてん(下) 福田和彦 河出文庫
日本大百科全書 小学館
図説乳房全書 マルタン・モネスティエ著 大塚宏子訳 原書房
関連記事:
「世界史上もっとも偉大な女帝トップ5(性的な意味で)」
「ローマ帝国の男のロマン ~古代ローマ人のエロ願望が変態すぎて日本人もドン引きレベル~」
「男のしるし、皇統の危機」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表
「女帝エカテリーナⅡ」
(http://kurekiken.web.fc2.com/data/1997/971219.html)
「西欧中世における恋愛、性の諸相」
(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2005/051209.html)
「ジュブナイルポルノの歴史に関する覚え書きとささやかな考現学」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/mito/juvenile.html)
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by trushbasket
| 2013-01-22 22:26
| NF








