横綱昇進二場所前が11勝以下の事例~現在に適用するのは厳しい?~
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関連サイト:
「朝日新聞デジタル」(http://www.asahi.com)より
「稀勢の里、綱取り継続も 横審委員長「秋場所全勝なら」」
(http://www.asahi.com/sports/update/0722/TKY201307220435.html)
話題作りのためにも、という気持ちは分からなくもありませんが、平成以降の昇進事例が二場所連続優勝に限られているのを考えると厳しいでしょうね。実際、協会側は綱とりは白紙に戻ったという見解を崩していないようですし。でもまあ、以前の記事で触れた昇進条件である
・大関として直近二場所の成績が25勝以上である事
・直前場所の成績は12勝以上
・過去に優勝経験あり(直近二場所含む)
を全勝優勝であれば一応は満たしているので全くあり得ない話ではないのかもしれません。実際、以前にも申し上げたとおり、横綱審議委員会発足後にも昇進二場所前が11勝以下であった事例がないわけではないのです。
千代の山
1950年 9月:11勝4敗 1951年 1月:8勝7敗 5月:14勝1敗(優) 横綱昇進
吉葉山
1953年 5月:14勝1敗 9月:11勝4敗 1954年 1月:15戦全勝(優) 横綱昇進
朝潮
1958年 11月:14勝1敗(優) 1959年 1月:11勝4敗 3月:13勝2敗 横綱昇進
柏戸
1961年 5月:10勝5敗 7月:11勝4敗 9月:12勝3敗(優同) 横綱昇進
※なお、これに先立つ1961年 1月に13勝2敗で優勝している。
玉の海
1969年 9月:13勝2敗(優) 11月:10勝5敗 1970年 1月:13勝2敗(優同) 横綱昇進
ただし、以前の記事を御覧いただきますと御分かりかと思いますが、吉葉山以外の事例はそれより以前に昇進してもおかしくない好成績を挙げたにも関わらず見送られた経験があり、その埋め合わせである可能性が高いのです。純粋に二場所前が11勝なのに横綱に値すると評価されたのは吉葉山のみなのかもしれません。彼も直前場所は全勝優勝でした。
ただし、平成には
1994年 5月:14勝1敗(優) 7月:11勝4敗 9月:15戦全勝(優)
という成績で昇進が見送られた貴乃花の事例もありますからやはり厳しそう。
来場所の展開によっては、横綱昇進基準である「二場所連続優勝またはそれに準ずる成績」をどう解釈するかを問い直される可能性がありそうですね。従来の解釈と整合性を保てるのかも含めて要注目なのかも。