2013年 10月 26日
軍事的英雄としても見せ場のあった「戦後復興首脳」ベスト3
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『戦後復興首脳列伝』(社会評論社)で取り上げた、戦乱で荒廃した国家・社会を再建した国家指導者たち。経済を再建したり、斜陽にある大国の生き延びる道を探り当てたりした彼らは申し上げるまでもなく偉大な存在です。
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セブンネット :『戦後復興首脳列伝』
『戦後復興首脳列伝』紹介記事
しかしながら、映画・ドラマの題材にした時には、通好みの作品にはなりそうですが大向こう受けするには地味になるリスクがあるのもまた事実。やはり、軍事的英雄などの方が分りやすく華やかですからね。そこで、今回は「戦後復興首脳」たちの中で軍事的にも目覚しい事跡を上げた面子をベスト3という形で探してみます。軍事的英雄パートと国家再建パートで山場を二つ作れて、物語にするにも一粒で二度美味しくなりそうな人々です。
3位:コンスタンティヌス帝(ローマ帝国)
父が西方担当の皇帝ながら、彼自身は庶子のため帝位継承権は元来なかった。しかし、その軍事的才覚のため軍団から擁立され、前世代の実力者であったディオクレティアヌス帝隠退後の帝位・主導権を争う内戦に勝ち残って帝国を再統一。その後はディオクレティアヌス同様、皇帝専制支配による帝国再建に尽力した。キリスト教公認・コンスタンティノープル(現イスタンブール)遷都で知られる。
本来なら皇帝になれないはずの男が軍才を頼りに兵たちの支持を集め野心を結実させていく前半、斜陽にある帝国の伝統を打破し新たな時代を築こうとする後半のそれぞれに見せ場ができそうですね。
2位:ハンニバル・バルカ(カルタゴ)
古代史・西洋史屈指の名将。地中海の大国ローマを大いに苦しめた事で知られる。イベリア半島からガリア地域を経てアルプスを越え、ローマの本拠地であるイタリア半島へ侵入。カンネーでローマの大軍を全滅させたり、一時はローマ近郊に迫るなどの戦果を上げている。最終的な勝利を得る事はできなかったが、補給もままならない敵地で十年以上にわたり戦い続け、しかもその間に兵士から離反されなかったという。
戦後は、賠償金・武装制限と厳しい和平条件を課された祖国の財政改革に従事。反対派に追われ短期間で政権から追われたが、賠償金一括支払いが可能になるまでに経済状況を改善させている。
軍事的実績でいえば今回に扱った中で一番なのですが、政治改革パートが短くなってしまうのが難点。父ハミルカルも対ローマ戦やイベリア半島開発に手腕を示した人物でしたから、彼にも焦点を当てる手もありそうですが。
1位:ケマル・アタチュルク(トルコ)
第一次大戦に敗北したオスマン帝国で革命を起こし、祖国の近代化を一人で成し遂げた男。国民国家トルコの父というべき人物である。軍人として第一次大戦で活躍、英仏やロシア相手に軍功を上げ34歳で将軍となった。敗戦後は祖国分割に等しい屈辱的和平を受け入れた帝国政府に対し挙兵し、旧政府を打倒して共和制を樹立。その後は初代大統領として世俗化・西洋化・トルコ化政策を推進し近代トルコの礎を作った。
軍人・革命指導者・政治家のどれをとっても卓越した人物ですね。大戦中の活躍、革命、近代化と見せ場が多いドラマにできそう。
番外:ディオクレティアヌス帝(ローマ帝国)、ティプー・スルタン(マイソール王国)
ディオクレティアヌス帝は極めて混乱していたローマの政情を一旦正常化させ、帝国の再建に従事した人物。皇帝専制・集権体制による国家再編を行うと同時に、異民族の侵入に悩まされる国境防衛を立て直すため帝国を四分してそれぞれに防衛責任者としての皇帝を置く体制を導入した(ただし内政の最高責任者はあくまで彼であったが)。彼自身もドナウ流域からエジプトまでを駆け回って防衛戦に従事している。
ティプー・スルタンはインドのマイソール王国国王。インドに勢力を伸ばしつつあったイギリスへの対抗に障害を費やした。イギリスとの戦いで敗れた祖国を再建すべく、海外交易や軍備の近代化による富国強兵に取り組む。しかし周辺勢力をも取り込んだイギリスの前に孤立し、最終的には敗死。
彼ら二人は、軍事的活動と政治改革が一体となっている印象ですね。防衛戦が主なあたり、軍事的な見せ場という点では上記三人にやや譲るでしょうか。
戦後復興に当ったというだけあって、他にも政権につくまでに軍事に従事した面子は多くみられました。ただ、物語の見せ場を作れそうな人々となると上記の顔ぶれという事になるでしょうか。
【参考文献】
戦後復興首脳列伝 麓直浩 社会評論社
関連記事:
「【『戦後復興首脳列伝』出版記念】旧敵との落とし前の付け方~名を取るか、実を取るか~」
「【販促の一環】歴史上における「偉大な個人」の力が及ぶ範囲と限界~『戦後復興首脳列伝』から見る~」
「『敗戦処理首脳列伝』宣伝企画その2~武名を挙げた人々~」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「軍事史概説 戦略と戦術の東西文明五千年史」
興味のある方は、社会評論社『戦後復興首脳列伝』を御参照いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
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セブンネット : 戦後復興首脳列伝
ケマルについては社会評論社『敗戦処理首脳列伝』でも扱っています。
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※2014/8/19 少し表現を変えています。
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『戦後復興首脳列伝』紹介記事
しかしながら、映画・ドラマの題材にした時には、通好みの作品にはなりそうですが大向こう受けするには地味になるリスクがあるのもまた事実。やはり、軍事的英雄などの方が分りやすく華やかですからね。そこで、今回は「戦後復興首脳」たちの中で軍事的にも目覚しい事跡を上げた面子をベスト3という形で探してみます。軍事的英雄パートと国家再建パートで山場を二つ作れて、物語にするにも一粒で二度美味しくなりそうな人々です。
3位:コンスタンティヌス帝(ローマ帝国)
父が西方担当の皇帝ながら、彼自身は庶子のため帝位継承権は元来なかった。しかし、その軍事的才覚のため軍団から擁立され、前世代の実力者であったディオクレティアヌス帝隠退後の帝位・主導権を争う内戦に勝ち残って帝国を再統一。その後はディオクレティアヌス同様、皇帝専制支配による帝国再建に尽力した。キリスト教公認・コンスタンティノープル(現イスタンブール)遷都で知られる。
本来なら皇帝になれないはずの男が軍才を頼りに兵たちの支持を集め野心を結実させていく前半、斜陽にある帝国の伝統を打破し新たな時代を築こうとする後半のそれぞれに見せ場ができそうですね。
2位:ハンニバル・バルカ(カルタゴ)
古代史・西洋史屈指の名将。地中海の大国ローマを大いに苦しめた事で知られる。イベリア半島からガリア地域を経てアルプスを越え、ローマの本拠地であるイタリア半島へ侵入。カンネーでローマの大軍を全滅させたり、一時はローマ近郊に迫るなどの戦果を上げている。最終的な勝利を得る事はできなかったが、補給もままならない敵地で十年以上にわたり戦い続け、しかもその間に兵士から離反されなかったという。
戦後は、賠償金・武装制限と厳しい和平条件を課された祖国の財政改革に従事。反対派に追われ短期間で政権から追われたが、賠償金一括支払いが可能になるまでに経済状況を改善させている。
軍事的実績でいえば今回に扱った中で一番なのですが、政治改革パートが短くなってしまうのが難点。父ハミルカルも対ローマ戦やイベリア半島開発に手腕を示した人物でしたから、彼にも焦点を当てる手もありそうですが。
1位:ケマル・アタチュルク(トルコ)
第一次大戦に敗北したオスマン帝国で革命を起こし、祖国の近代化を一人で成し遂げた男。国民国家トルコの父というべき人物である。軍人として第一次大戦で活躍、英仏やロシア相手に軍功を上げ34歳で将軍となった。敗戦後は祖国分割に等しい屈辱的和平を受け入れた帝国政府に対し挙兵し、旧政府を打倒して共和制を樹立。その後は初代大統領として世俗化・西洋化・トルコ化政策を推進し近代トルコの礎を作った。
軍人・革命指導者・政治家のどれをとっても卓越した人物ですね。大戦中の活躍、革命、近代化と見せ場が多いドラマにできそう。
番外:ディオクレティアヌス帝(ローマ帝国)、ティプー・スルタン(マイソール王国)
ディオクレティアヌス帝は極めて混乱していたローマの政情を一旦正常化させ、帝国の再建に従事した人物。皇帝専制・集権体制による国家再編を行うと同時に、異民族の侵入に悩まされる国境防衛を立て直すため帝国を四分してそれぞれに防衛責任者としての皇帝を置く体制を導入した(ただし内政の最高責任者はあくまで彼であったが)。彼自身もドナウ流域からエジプトまでを駆け回って防衛戦に従事している。
ティプー・スルタンはインドのマイソール王国国王。インドに勢力を伸ばしつつあったイギリスへの対抗に障害を費やした。イギリスとの戦いで敗れた祖国を再建すべく、海外交易や軍備の近代化による富国強兵に取り組む。しかし周辺勢力をも取り込んだイギリスの前に孤立し、最終的には敗死。
彼ら二人は、軍事的活動と政治改革が一体となっている印象ですね。防衛戦が主なあたり、軍事的な見せ場という点では上記三人にやや譲るでしょうか。
戦後復興に当ったというだけあって、他にも政権につくまでに軍事に従事した面子は多くみられました。ただ、物語の見せ場を作れそうな人々となると上記の顔ぶれという事になるでしょうか。
【参考文献】
戦後復興首脳列伝 麓直浩 社会評論社
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歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「軍事史概説 戦略と戦術の東西文明五千年史」
興味のある方は、社会評論社『戦後復興首脳列伝』を御参照いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
楽天ブックス:戦後復興首脳列伝
セブンネット : 戦後復興首脳列伝
ケマルについては社会評論社『敗戦処理首脳列伝』でも扱っています。
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※2014/8/19 少し表現を変えています。
by trushbasket
| 2013-10-26 23:01
| NF








