2014年 03月 16日
Dr.宣長の診察室~本居宣長の医者としての腕前は?~
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国学の大成者・本居宣長が医者を本業としていた事は、多くの方が御存知だと思います。国学者としての偉大な業績は疑う余地がないとして、医者としての力量はどうだったのか。それについて今回は少しだけ見てみましょう。
ネット上で宣長について知るのに一番手っ取り早いサイトである「本居宣長記念館」の公式HPを見てみると、有難い事にそれに関する項目を設けています。すなわち、
では
と述べておりどちらかと言えば名医よりな解釈ですね。
ただ、開業直後においては宣長先生、患者獲得に苦戦を余儀なくされたという話もあるようです。『松阪市史』第一〇巻は、当時の宣長に関するこのような伝聞を記録しています。
…リストラされたサラリーマンのお父さんが家族には出勤しているように見せかけて公園で時間を潰していた、という話を連想させて何だか切ないですね。しかも、周辺の人たちにバレてるし(泣)。ただまあ、故郷の偉人たる宣長に、現地の伝承でこうした人間臭い逸話が残っている辺り興味深いと言えなくもないですね。因みに「春庵」というのは宣長の医者としての号です。
ただし宣長先生の名誉のために申し上げておくと、別に藪医者だったとかそういう事ではなかったようです。これも「本居宣長記念館公式サイト」にあった情報ですが、『宝暦ばなし』には松阪の医師として、流行っている医師にこそ名が挙がっていないものの、同時に記載されている流行らない医師にも挙げられていなかったそうで。少なくとも開業からある程度時期が経ってからはまずまずの患者を確保していたという事でしょう。
以上を総合的に考えると、医者としての宣長先生は決して際立った名医ではなかったが、少なくとも藪ではなく、時にVIPな患者が紛れ込む程度には信用があった、という理解が妥当なようです。亡くなる直前まで往診やら何やらで本業でも結構忙しくしていた事からすると、町医者として相応の信頼を地域から獲得し長年にわたり現地の医療に貢献していた、と判断して差し支えないでしょう。
【参考文献】
宣長さん 中根道幸 和泉書院
本居宣長 小林秀雄(上)(下) 新潮文庫
本居宣長記念館公式サイト(http://www.norinagakinenkan.com/)
関連記事:
「「喪男」としての国学者たち」
「孔子との関わりから本居宣長を見る―そしてキモオタ伝説がまた一ページ―」
「「偉大なるダメ人間シリーズその7 本居宣長」またまた補足―本居宣長・青年期の挫折―」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「本居宣長」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2001/011214.html)
「『ダメ人間の世界史&日本史』ブログ版(試し読み用)(06) オタすぎてキモい大和魂の探究者 本居宣長」
社会評論社『ダメ人間の日本史』では国学者の有名な先生方も数人取り上げています。興味のある方は御参照ください。ついでに同『ダメ人間の世界史』もどうぞ。
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ネット上で宣長について知るのに一番手っ取り早いサイトである「本居宣長記念館」の公式HPを見てみると、有難い事にそれに関する項目を設けています。すなわち、
関連サイト:
「本居宣長記念館」(http://www.norinagakinenkan.com/)より
「名医?それとも迷医?」(http://www.norinagakinenkan.com/norinaga/kaisetsu/meii.html)
では
自分で名医とは言わぬが、腕を見損なってもらうと困る。京都では武川幸順の下で修行をしてきた。本を読んで見よう見まねで始めた医者ではないぞ。患者の中には奉行だっているんだぞ。
奉行が効かぬ薬を飲むと思うかい。
と述べておりどちらかと言えば名医よりな解釈ですね。
ただ、開業直後においては宣長先生、患者獲得に苦戦を余儀なくされたという話もあるようです。『松阪市史』第一〇巻は、当時の宣長に関するこのような伝聞を記録しています。
「春庵先生も初めのうちは、ヤブのように思われおったんやろな、門前にくもの巣がはっとった。つまりはやらんだんやな。そんな、こんなで、往診に出ることもめったになかったげな。そいであんまり所在がのうて、薬箱を持って、往診にいくようなふりをして、四五百森へよういかんしたげな。森はすぐ近くやった。口の悪い近所のてあいが『春庵さんの森いき』といって評判しとりました。また、胎毒丸という丸薬を調合して、それを一包十文で売っとったが、あんまり利かんだというこっちゃやった。」
(中根道幸『宣長さん』 和泉書院 306頁)
…リストラされたサラリーマンのお父さんが家族には出勤しているように見せかけて公園で時間を潰していた、という話を連想させて何だか切ないですね。しかも、周辺の人たちにバレてるし(泣)。ただまあ、故郷の偉人たる宣長に、現地の伝承でこうした人間臭い逸話が残っている辺り興味深いと言えなくもないですね。因みに「春庵」というのは宣長の医者としての号です。
ただし宣長先生の名誉のために申し上げておくと、別に藪医者だったとかそういう事ではなかったようです。これも「本居宣長記念館公式サイト」にあった情報ですが、『宝暦ばなし』には松阪の医師として、流行っている医師にこそ名が挙がっていないものの、同時に記載されている流行らない医師にも挙げられていなかったそうで。少なくとも開業からある程度時期が経ってからはまずまずの患者を確保していたという事でしょう。
以上を総合的に考えると、医者としての宣長先生は決して際立った名医ではなかったが、少なくとも藪ではなく、時にVIPな患者が紛れ込む程度には信用があった、という理解が妥当なようです。亡くなる直前まで往診やら何やらで本業でも結構忙しくしていた事からすると、町医者として相応の信頼を地域から獲得し長年にわたり現地の医療に貢献していた、と判断して差し支えないでしょう。
【参考文献】
宣長さん 中根道幸 和泉書院
本居宣長 小林秀雄(上)(下) 新潮文庫
本居宣長記念館公式サイト(http://www.norinagakinenkan.com/)
関連記事:
「「喪男」としての国学者たち」
「孔子との関わりから本居宣長を見る―そしてキモオタ伝説がまた一ページ―」
「「偉大なるダメ人間シリーズその7 本居宣長」またまた補足―本居宣長・青年期の挫折―」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「本居宣長」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2001/011214.html)
「『ダメ人間の世界史&日本史』ブログ版(試し読み用)(06) オタすぎてキモい大和魂の探究者 本居宣長」
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by trushbasket
| 2014-03-16 20:24
| NF








