2014年 09月 17日
とある茶人の穏健な文化ナショナリズム発露の一例?~「和漢のさかひをまぎらかす」~
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日本は、古来より他国から文化を吸収してきた歴史を持っています。しかし一方で、日本独自の精神性・文化があるという意見も根強いところ。そうした中で、「日本固有」の文化を探究する動きが徳川期の国学などで見られたのは知られているところかと。こうした文化的ナショナリズムといえば、他国由来の文化を排斥する類のものを連想することも多いかと思いますが、別の形で「日本古来」の文化を称揚する考え方もあったようです。
足利時代後期、茶道の祖と呼ばれる村田珠光という人物がいました。それまでの茶は舶来の道具を重んじるものだったのですが、珠光は精神性を重んじ草庵趣味を持ち込んだことで知られます。彼は古市播磨法師宛秘伝書に「和漢のさかひをまぎらかす事」(桑田忠親『本朝茶人伝』中公文庫 55頁)と書き送ったように舶来品だからというだけで殊更に重んじる事はしない考えを記しています。
これについて、多田道太郎氏はナショナリズムの一種ととらえ、
と述べています。珠光の考え方に対する解釈として適切かどうかは分かりませんが、ナショナリズムとしてはかなり健全なありようだとは思います。自国を異様に持ち上げるのでも他国を貶めるのでもなく、「他国と比較して自分たちのものも捨てたもんじゃない」というくらいの精神的なスタンスが取れれば、ちょうどよいような気はしますね。他国由来だろうが自国由来だろうが良いものは良い、という余裕ある姿勢でいたいものです。
【参考文献】
桑田忠親『本朝茶人伝』中公文庫
多田道太郎『身辺の日本文化』講談社学術文庫
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足利時代後期、茶道の祖と呼ばれる村田珠光という人物がいました。それまでの茶は舶来の道具を重んじるものだったのですが、珠光は精神性を重んじ草庵趣味を持ち込んだことで知られます。彼は古市播磨法師宛秘伝書に「和漢のさかひをまぎらかす事」(桑田忠親『本朝茶人伝』中公文庫 55頁)と書き送ったように舶来品だからというだけで殊更に重んじる事はしない考えを記しています。
これについて、多田道太郎氏はナショナリズムの一種ととらえ、
そのときに中国のものはいっさいいけないというふうにするのでなくて、中国におもしろいものがあれば、われわれにもおもしろいものがあるというふうにして、和漢の境をまぎらわす。(多田道太郎『身辺の日本文化』講談社学術文庫 149頁)
と述べています。珠光の考え方に対する解釈として適切かどうかは分かりませんが、ナショナリズムとしてはかなり健全なありようだとは思います。自国を異様に持ち上げるのでも他国を貶めるのでもなく、「他国と比較して自分たちのものも捨てたもんじゃない」というくらいの精神的なスタンスが取れれば、ちょうどよいような気はしますね。他国由来だろうが自国由来だろうが良いものは良い、という余裕ある姿勢でいたいものです。
【参考文献】
桑田忠親『本朝茶人伝』中公文庫
多田道太郎『身辺の日本文化』講談社学術文庫
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by trushbasket
| 2014-09-17 20:08
| NF








