2014年 10月 29日
「南北朝歴史人物の漢詩」外伝~後花園天皇、義政を諌める~
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前回は南北朝期の人物が残した漢詩について鑑賞しました。今回はその続きのような形で南北朝に関連していなくもない人々の漢詩を取り上げます。厳密には南北朝より後の時代の人物ですが、比較的近い時期という事で。なお、○●は平仄を表し○が平、●が仄。◎は押韻の字を表します。平仄や漢詩の大雑把な規則については、以前の記事を御参照いただければ。
後花園天皇(1419-1471 在位1428-1464)は第102代天皇。元来は伏見宮家の出身で、称光天皇に子がなかったため急遽即位しました。伏見宮家は北朝・崇光天皇の末裔ですが、南北朝動乱の最中に起きた足利家の内紛の影響で南朝の崇光天皇が捕虜となった関係で北朝の嫡流から転落します。かわって北朝の帝位についた後光厳天皇(崇光の弟)の系統が皇位継承する事となり、伏見宮家は冷遇されていました。後花園天皇の即位は、崇光の系統に再び光が当たった事を意味しました。南北朝合一後の人物とはいえ、その出自は南北朝動乱の傷が残るものだったといえます。学問を好み、南北朝動乱で失墜した朝廷の権威をある程度取り戻した君主と評価されています。
さて寛正二年(1461)二月、後花園天皇は大飢饉の最中にも庭園造営に熱意を示す将軍・足利義政を諌める詩を贈っています。
困窮する民衆に思いをいたし義政の無策をそれとなく糺す、乱世の賢君らしい内容の詩と言えるでしょう。なお、「首陽」というのは中国に存在する山の事。中国古代、伯夷・叔斉兄弟は周の武王が殷の紂王を討伐しようとした際に、いかに暴君といえ主君を討つ非を諌めました。しかし聞き入れられなかった事からこの地に隠棲し、ワラビをとって命を繋ぐもののついに餓死したとされています。飢えをしのぐためワラビを取っている人々の姿から伯夷・叔斉が連想されたという事でしょう。
いずれも七言絶句であり、平仄も規則にのっとっているのが分かるかと思います。
【参考文献】
永原慶二『日本の歴史10 下剋上の時代』
横井清『室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界』講談社学術文庫
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞社
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
『新字源』角川書店
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
関連記事:
「南北朝歴史人物の漢詩を鑑賞する~細川頼之『海南行』と絶海中津『応制賦三山』~」
「「後○○天皇」と「○○天皇」一覧」
「「上皇様」は漫画好き in 足利期~後崇光院と『十二類合戦絵巻』~」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「政治家・足利義政」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2002/021025c.html)
後花園天皇(1419-1471 在位1428-1464)は第102代天皇。元来は伏見宮家の出身で、称光天皇に子がなかったため急遽即位しました。伏見宮家は北朝・崇光天皇の末裔ですが、南北朝動乱の最中に起きた足利家の内紛の影響で南朝の崇光天皇が捕虜となった関係で北朝の嫡流から転落します。かわって北朝の帝位についた後光厳天皇(崇光の弟)の系統が皇位継承する事となり、伏見宮家は冷遇されていました。後花園天皇の即位は、崇光の系統に再び光が当たった事を意味しました。南北朝合一後の人物とはいえ、その出自は南北朝動乱の傷が残るものだったといえます。学問を好み、南北朝動乱で失墜した朝廷の権威をある程度取り戻した君主と評価されています。
さて寛正二年(1461)二月、後花園天皇は大飢饉の最中にも庭園造営に熱意を示す将軍・足利義政を諌める詩を贈っています。
○○○●●○◎
残民争採首陽薇 残民争い採る 首陽薇
●●●○●●◎
処々閉炉鎖竹扉 処々炉を閉し 竹扉を鎖す
○●○○○●●
詩興吟酸春二月 詩興吟は酸なり 春二月
●○○●●○◎
満城紅緑為誰肥 満城の紅緑 誰の為にか肥ゆる
<現代語訳>
生き残った民は、争ってワラビを奪い合い食料にしようとしている。
あちこちでカマドは閉ざされ竹でできた門扉もふさいで家に閉じこもっている。
詩を楽しもうと口ずさむにも痛ましい春二月であることだ。
町中の花や青葉は、誰の為に咲き誇り生い茂っているのだろうか。
困窮する民衆に思いをいたし義政の無策をそれとなく糺す、乱世の賢君らしい内容の詩と言えるでしょう。なお、「首陽」というのは中国に存在する山の事。中国古代、伯夷・叔斉兄弟は周の武王が殷の紂王を討伐しようとした際に、いかに暴君といえ主君を討つ非を諌めました。しかし聞き入れられなかった事からこの地に隠棲し、ワラビをとって命を繋ぐもののついに餓死したとされています。飢えをしのぐためワラビを取っている人々の姿から伯夷・叔斉が連想されたという事でしょう。
いずれも七言絶句であり、平仄も規則にのっとっているのが分かるかと思います。
【参考文献】
永原慶二『日本の歴史10 下剋上の時代』
横井清『室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界』講談社学術文庫
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞社
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
『新字源』角川書店
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
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「「後○○天皇」と「○○天皇」一覧」
「「上皇様」は漫画好き in 足利期~後崇光院と『十二類合戦絵巻』~」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「政治家・足利義政」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2002/021025c.html)
by trushbasket
| 2014-10-29 21:57
| NF








