2014年 12月 14日
長歌の一例を鑑賞~本居宣長、正成を称えて歌を作る~
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漢詩について何度か見てきましたが、今回は長歌の実例を南北朝絡みで見てみます。
長歌とは、五音・七音を交互に三回以上繰り返し、最後に五音・七音・七音で止める形式の歌です。反歌(長歌の意を要約・反復する短歌)を添える事が多いのですが、古い時代(記紀歌謡、万葉初期)の長歌には反歌を伴わないものもあります。作りにくい事もあって、後の時代にはすたれています。
そんな、なかなか目にする機会のない長歌。今回は、徳川期の国学者・本居宣長が楠木正成の忠誠を称えた作品を鑑賞しましょう。僕個人にとっては、宣長先生と南北朝のコラボということで一粒で二度おいしいネタ。なお、取り上げる作品世界が国粋主義的なのが気に障る方もおられるかもしれませんが、その辺りについては南北朝を題材に後世の人間が作った作品、という事で「御了承ください」と申し上げるしか。
問題の作品は『鈴屋集第五』に収録されています。反歌はないようですが、これも『古事記』研究に人生を捧げた宣長先生らしいともいえます。
主:人命につけて軽い敬意を表す。
うまこり:美しい織物のこと。後の「あや(綾と同音)に」にかかる枕詞です。
あやに:「奇に」。何とも不思議なほど、言葉に表せないほど
くすしき:「奇し」。神秘的である。
うし:「大人」。先生や貴人の尊称。
命:「みこと」。尊称。
あめつち:天と地、全世界
まがこと:「禍事」。凶事、災難。
みなわ:「水泡」。はかないことのたとえ。
いたづらになる:亡くなる。
まつろふ:「服ふ・順ふ」。服従する。
もののふ:「武士・物部」。武人。
よりあい:集まり
たらはして:「足らはして」 充分に満たして
五音・七音を繰り返し、最後に五音・七音・七音で終わっています。一部、字余りがありますが御愛嬌。長歌の雰囲気をつかむことはできるのじゃないかと思います。
【参考文献】
土橋真吉著『楠公精神の研究』大日本皇道奉賛会
『大辞泉』小学館
『世界大百科事典』平凡社
関連記事:
「「芳野三絶」~南北朝関連の作品を題材に漢詩を見る~」
「南北朝関連の律詩を鑑賞する~藤田東湖『楠公五百忌辰之詩』~」
「本居宣長『うひ山ぶみ』」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「本居宣長」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2001/011214.html)
を始め本居宣長関連は、
「本居宣長関連発表まとめ」
「楠木正成」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2000/001201.html)
をはじめとした南北朝関連は、
「南北朝関連発表まとめ」
を御覧下さい。
長歌とは、五音・七音を交互に三回以上繰り返し、最後に五音・七音・七音で止める形式の歌です。反歌(長歌の意を要約・反復する短歌)を添える事が多いのですが、古い時代(記紀歌謡、万葉初期)の長歌には反歌を伴わないものもあります。作りにくい事もあって、後の時代にはすたれています。
そんな、なかなか目にする機会のない長歌。今回は、徳川期の国学者・本居宣長が楠木正成の忠誠を称えた作品を鑑賞しましょう。僕個人にとっては、宣長先生と南北朝のコラボということで一粒で二度おいしいネタ。なお、取り上げる作品世界が国粋主義的なのが気に障る方もおられるかもしれませんが、その辺りについては南北朝を題材に後世の人間が作った作品、という事で「御了承ください」と申し上げるしか。
問題の作品は『鈴屋集第五』に収録されています。反歌はないようですが、これも『古事記』研究に人生を捧げた宣長先生らしいともいえます。
楠正成主のかたに
うまこりの あやにくすしき くすの木の うしの命の あめつちに いたれるいさを 一たびは たちけるものを うつそみの よのまがことと 二たびは たたずてつひに みなと川 うかぶみなわの いたづらに なりにけるかも いたづらに なりてはあれど おほぎみに つかへまつろふ もののふの かがみとなりて 天地の よりあひのきはみ 天地に いたれるいさをは もち月の てりたらはして たちにけるかも
<現代語訳>
楠木正成殿に宛てて
美しき織物のように 言葉に表せないほど神秘的で素晴らしい 楠木大人殿が 世の中あまねくにいきわたらせた功績は 一度は 達成できたが 現世での 世の中の凶事というべきか 二度目には 達成できず遂に 湊川に 浮かぶ水の泡のようにはかなく 亡き人に なってしまったことだ。正成は世を去ったけれど 天皇陛下に 御仕え順う 武人の 模範となって 世界の集まりきわまるところだ。世の中あまねくにいきわたった功績は 満月が 充分に照らして光で満たすかのように 達成されたことだよ。
主:人命につけて軽い敬意を表す。
うまこり:美しい織物のこと。後の「あや(綾と同音)に」にかかる枕詞です。
あやに:「奇に」。何とも不思議なほど、言葉に表せないほど
くすしき:「奇し」。神秘的である。
うし:「大人」。先生や貴人の尊称。
命:「みこと」。尊称。
あめつち:天と地、全世界
まがこと:「禍事」。凶事、災難。
みなわ:「水泡」。はかないことのたとえ。
いたづらになる:亡くなる。
まつろふ:「服ふ・順ふ」。服従する。
もののふ:「武士・物部」。武人。
よりあい:集まり
たらはして:「足らはして」 充分に満たして
五音・七音を繰り返し、最後に五音・七音・七音で終わっています。一部、字余りがありますが御愛嬌。長歌の雰囲気をつかむことはできるのじゃないかと思います。
【参考文献】
土橋真吉著『楠公精神の研究』大日本皇道奉賛会
『大辞泉』小学館
『世界大百科事典』平凡社
関連記事:
「「芳野三絶」~南北朝関連の作品を題材に漢詩を見る~」
「南北朝関連の律詩を鑑賞する~藤田東湖『楠公五百忌辰之詩』~」
「本居宣長『うひ山ぶみ』」
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「本居宣長」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2001/011214.html)
を始め本居宣長関連は、
「本居宣長関連発表まとめ」
「楠木正成」(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2000/001201.html)
をはじめとした南北朝関連は、
「南北朝関連発表まとめ」
を御覧下さい。
by trushbasket
| 2014-12-14 22:25
| NF








