2015年 05月 13日
<読書案内>パット・マガー『被害者を捜せ!』
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今回は、少し毛色を変えて推理小説を扱ってみようかと。という訳でお題はパット・マガー『被害者を捜せ!』中野圭二訳(創元推理文庫)。第二次大戦終結間もない1946年にアメリカで出版された本作は、少し変わっています。ふつう、推理小説といえば犯罪事件の犯人を捜すのが通例。ところが、この作品では題名の通り、知るべきは「被害者は誰か」。面白い趣向ではあります。
大戦も終わりに近い1944年のアリューシャン列島。そこを守備する米軍海兵隊は退屈を持て余し活字に飢えていました。故郷からの小包で詰めものに使われた古新聞の欠片までも、皆が争って読み込むほどまでに。そうした古新聞の断片に見つかったのが、とある殺人事件の記事。隊員の一人ピートが出征前に勤めていた『家事改善協会』の総代表が同協会役員の一人を殺害し逮捕されたというのです。ところが、記事は一部が欠損しており被害者の名前が分りません。役員は数人おり、その中の誰が殺されたのか。海兵隊員たちは、退屈しのぎにピートの職場での思い出話を手掛かりに、被害者が誰なのかを推理していく。そういう話です。
あまり詳しく突っ込んでネタバレになってもいけませんが、趣向も面白ければ登場人物造形や推理も十分個人的には魅力的だった一品でした。あと、特筆すべきは第二次大戦中のアメリカ社会を知る手掛かりになりそうだということ。フランクリン・ルーズベルトの「炉辺談話」がリアルタイムでリンカーンの演説と同様な名論説の代名詞扱いだったらしいことが伺えたのがその一例。あと、アメリカも戦時体制だったのは同時期の他国とかわりませんが、それに便乗した企業が最新式家電を懸賞として提供できるほどに生活・社会に余裕があったことが読み取れたのも印象に残りました。「こんな国と戦争しとったんやなあ…」という切ない思いと共に。
作者パット・マガーは本作がデビュー作で、それ以後も『探偵を捜せ!』などやはり変わった切り口の作品を残しているそうです。
大戦も終わりに近い1944年のアリューシャン列島。そこを守備する米軍海兵隊は退屈を持て余し活字に飢えていました。故郷からの小包で詰めものに使われた古新聞の欠片までも、皆が争って読み込むほどまでに。そうした古新聞の断片に見つかったのが、とある殺人事件の記事。隊員の一人ピートが出征前に勤めていた『家事改善協会』の総代表が同協会役員の一人を殺害し逮捕されたというのです。ところが、記事は一部が欠損しており被害者の名前が分りません。役員は数人おり、その中の誰が殺されたのか。海兵隊員たちは、退屈しのぎにピートの職場での思い出話を手掛かりに、被害者が誰なのかを推理していく。そういう話です。
あまり詳しく突っ込んでネタバレになってもいけませんが、趣向も面白ければ登場人物造形や推理も十分個人的には魅力的だった一品でした。あと、特筆すべきは第二次大戦中のアメリカ社会を知る手掛かりになりそうだということ。フランクリン・ルーズベルトの「炉辺談話」がリアルタイムでリンカーンの演説と同様な名論説の代名詞扱いだったらしいことが伺えたのがその一例。あと、アメリカも戦時体制だったのは同時期の他国とかわりませんが、それに便乗した企業が最新式家電を懸賞として提供できるほどに生活・社会に余裕があったことが読み取れたのも印象に残りました。「こんな国と戦争しとったんやなあ…」という切ない思いと共に。
作者パット・マガーは本作がデビュー作で、それ以後も『探偵を捜せ!』などやはり変わった切り口の作品を残しているそうです。
by trushbasket
| 2015-05-13 20:05
| NF








