2016年 06月 19日
『童貞の世界史』落選者列伝・岩元禎~近代エリートを教育した「偉大なる暗闇」、生涯純潔や否や?~
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どうも、松原左京です。『童貞の世界史』宣伝規格である、『童貞の世界史』落選者列伝で今回扱うのは岩元禎(いわもと てい 1869-1941)。近代日本の哲学者・教育者で、名物教師として数多くの俊英たちに影響を与えた人物です。
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岩元禎は鹿児島県の出身です。東京帝国大学を卒業し、後に一高(現・東京大学教養学部)の教授として哲学・ドイツ語を教えました。彼は厳格な授業や奇矯さで知られ、生徒たちから「偉大なる暗闇」とあだ名される名物教師だったそうです。哲学にとどまらず西洋古典文学にも通暁し、原書で講義を行っていた事も知られています。「哲学を知るためには、ギリシア・ラテンを始めとする古典語を熟知する必要がある」という岩元の考えによるそうです。
彼の下で学んだ人物には、木下杢太郎や九鬼周造、岩波茂雄、堀辰雄、和辻哲郎といった錚々たる面子もおり、読書観や人生観などに大きな影響を受けたといわれています。没後、弟子たちが彼の講義録『哲学概論』をまとめ刊行しています。
教育者として、近代日本の知識階層を支えた人材を育て少なからぬ影響を与えた偉人と言えるでしょう。もっとも、弟子たちの中にはその極めて個性の強い授業に苦しめられた者も多かったのは否定できないようで、全肯定するのも問題があるかもしれませんけれど。
夏目漱石の弟子・森田草平によれば、漱石の小説『三四郎』における登場人物・広田先生のモデルなんだそうです。前述したあだ名は、作中で広田先生がそのように呼ばれていることから岩元にも転用されたものではないかと考えられています。
岩元は関心のある事柄にはこだわりを見せるが、そうでないものには無関心という学者にありがちな特性を強く持っていた人物であったと言われます。また生涯独身を貫き、不犯であったそうです。もっとも、美少年である生徒には贔屓したという逸話もあり、少年愛の傾向を指摘する向きがあります。近代においてエリート男子学生たちの間で少年愛が流行していたのは、御存じの方もおられるでしょう。
そうした要素を考慮すると、岩元が少年相手にも「不犯」であったかには疑問にも思われました。そうした理由から、リストから外されることとなりました。
参考文献:
『20世紀日本人名事典』日外アソシエーツ
『日本人名大辞典』講談社
高橋英夫『偉大なる暗闇 師岩元禎と弟子たち』新潮社
出口競『全国高等学校評判記』敬文館
夏目漱石『三四郎』角川学芸出版
氏家幹人『武士道とエロス』講談社現代新書
関連記事:
『童貞の世界史』落選者列伝・玉松操~維新に貢献した謀臣は、快楽を遠ざけた禁欲主義者~
『童貞の世界史: セックスをした事がない偉人達』まえがき公開
【『童貞の世界史』】思ったことを、少しまとめ【宣伝】
岩元は残念ながら(?)落選とあいなりましたが、彼と同様に近代日本で学者・教育者として活躍した人物も『童貞の世界史』に登場します。よろしくお願いします。

(パブリブより)
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岩元禎は鹿児島県の出身です。東京帝国大学を卒業し、後に一高(現・東京大学教養学部)の教授として哲学・ドイツ語を教えました。彼は厳格な授業や奇矯さで知られ、生徒たちから「偉大なる暗闇」とあだ名される名物教師だったそうです。哲学にとどまらず西洋古典文学にも通暁し、原書で講義を行っていた事も知られています。「哲学を知るためには、ギリシア・ラテンを始めとする古典語を熟知する必要がある」という岩元の考えによるそうです。
彼の下で学んだ人物には、木下杢太郎や九鬼周造、岩波茂雄、堀辰雄、和辻哲郎といった錚々たる面子もおり、読書観や人生観などに大きな影響を受けたといわれています。没後、弟子たちが彼の講義録『哲学概論』をまとめ刊行しています。
教育者として、近代日本の知識階層を支えた人材を育て少なからぬ影響を与えた偉人と言えるでしょう。もっとも、弟子たちの中にはその極めて個性の強い授業に苦しめられた者も多かったのは否定できないようで、全肯定するのも問題があるかもしれませんけれど。
夏目漱石の弟子・森田草平によれば、漱石の小説『三四郎』における登場人物・広田先生のモデルなんだそうです。前述したあだ名は、作中で広田先生がそのように呼ばれていることから岩元にも転用されたものではないかと考えられています。
岩元は関心のある事柄にはこだわりを見せるが、そうでないものには無関心という学者にありがちな特性を強く持っていた人物であったと言われます。また生涯独身を貫き、不犯であったそうです。もっとも、美少年である生徒には贔屓したという逸話もあり、少年愛の傾向を指摘する向きがあります。近代においてエリート男子学生たちの間で少年愛が流行していたのは、御存じの方もおられるでしょう。
そうした要素を考慮すると、岩元が少年相手にも「不犯」であったかには疑問にも思われました。そうした理由から、リストから外されることとなりました。
参考文献:
『20世紀日本人名事典』日外アソシエーツ
『日本人名大辞典』講談社
高橋英夫『偉大なる暗闇 師岩元禎と弟子たち』新潮社
出口競『全国高等学校評判記』敬文館
夏目漱石『三四郎』角川学芸出版
氏家幹人『武士道とエロス』講談社現代新書
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岩元は残念ながら(?)落選とあいなりましたが、彼と同様に近代日本で学者・教育者として活躍した人物も『童貞の世界史』に登場します。よろしくお願いします。

by trushbasket
| 2016-06-19 21:05
| 松原左京








