2016年 06月 30日
「言いたいことは分かるけど、言葉のチョイスに問題が」~人気娯楽小説の逸話から~
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人気娯楽小説『銀河英雄伝説』は、だいぶ前の作品でありながら、人気は非常に根強いものがあるようですね。藤崎竜先生による再度のコミカライズがなされていますし、再びのアニメ化という話も耳にします。
御存知の形も多いかと思いますが、未来において宇宙にまで進出した人類が銀河系の広い地域を舞台に繰り広げる仮想歴史物語で、皇帝による専制政治が布かれた銀河帝国と民主主義の砦・自由惑星同盟の百年以上にわたる戦いが繰り広げられています。そして、帝国軍の「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと同盟軍の「不敗の魔術師」ヤン・ウェンリーという二人の名将による対決を軸に両軍の対立はクライマックスに向かうという物語です。
さて、個人的に印象に残った場面の一つに、一人ヤン・ウェンリーが外伝でテレビドラマの一場面に文句を付けるところがあります。主人公の刑事・士官による「おれの勘がそう告げている」(田中芳樹『銀河英雄伝説外伝2』徳間ノベルス 101頁)というセリフに苦言を呈しているのです。ヤン曰く、
とのこと。実に尤もではあります。この人は、政府や軍上層部のでたらめさに振り回された経験もあるので切実であろうかと思います。
ただ、件のドラマの主人公がおかしいとも言い切れません。言い方に問題はあるでしょうけれど。これは僕の推測に過ぎませんが、彼らが本当に拠り所としているのは、「勘」ではなく「経験則」である可能性もあるからです。
作品は失念しましたが何らかの推理小説で、この手の問題についてこんな事を言っているのを目にしたように記憶しています。
といった内容だったかと。これは、軍人にも似たようなことは言えそうですね。
問題のドラマ主人公も、無意識のうちにそうしたプロファイリングを行っていた可能性も否定はできません。経験則から、目の前の事態に違和感を覚え、洗い直しを試みたのかもしれない。だとすると、経験則を活用し、目の前のそれらしい結論に安直に飛びつかず、他の可能性も検討する慎重かつ賞賛すべき姿勢と章うして良いのかも。それを「勘」と認識してしまっている、もしくは表現してしまっているのはいただけませんけれど。あともちろん、主人公が本当にあてずっぽうである可能性も否定はできません。その場合は、論外かと。
まあ、いずれにせよ、主人公の刑事・士官が用いた表現に問題があるのは否定できません。
これに限らず、「言いたいことは分かるけれど、言葉のチョイスに問題がある」というケースは現実世界でも少なくないように思います。また、「気持ちはわかるけど、問題は本当にそこ?」というケースも。言葉を発する前に、その表現が本当に正確か、問題は本当にそこか、もう一度考えるようにしたいと思う次第です。心したいものです。
【参考文献】
田中芳樹『銀河英雄伝説外伝2』徳間ノベルス
関連記事:
「レトロゲーム紹介 第28回『銀河英雄伝説』(ファミコン)」
『銀河英雄伝説』、ファミコン時代にもゲーム化された事があります。
「レトロゲーム(?)紹介 第12回『新宿の狼』」
主人公が文字通り「刑事の勘」で好き放題できたりするゲームの話。
「<言葉>他人に意見する際の心得~「非難」「叩き」より「面白さ」「寛容さ」を~」
ニュアンスは異なりますが、言葉のチョイスに注意をという話ではあります。
御存知の形も多いかと思いますが、未来において宇宙にまで進出した人類が銀河系の広い地域を舞台に繰り広げる仮想歴史物語で、皇帝による専制政治が布かれた銀河帝国と民主主義の砦・自由惑星同盟の百年以上にわたる戦いが繰り広げられています。そして、帝国軍の「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと同盟軍の「不敗の魔術師」ヤン・ウェンリーという二人の名将による対決を軸に両軍の対立はクライマックスに向かうという物語です。
さて、個人的に印象に残った場面の一つに、一人ヤン・ウェンリーが外伝でテレビドラマの一場面に文句を付けるところがあります。主人公の刑事・士官による「おれの勘がそう告げている」(田中芳樹『銀河英雄伝説外伝2』徳間ノベルス 101頁)というセリフに苦言を呈しているのです。ヤン曰く、
軍人の勘が全部あたるのなら、負ける奴はいない。警官の勘が全部あたるのなら、無実の罪に泣く者はいるはずがないさ。ところが現実はどうだ?(同書 同頁)
とのこと。実に尤もではあります。この人は、政府や軍上層部のでたらめさに振り回された経験もあるので切実であろうかと思います。
ただ、件のドラマの主人公がおかしいとも言い切れません。言い方に問題はあるでしょうけれど。これは僕の推測に過ぎませんが、彼らが本当に拠り所としているのは、「勘」ではなく「経験則」である可能性もあるからです。
作品は失念しましたが何らかの推理小説で、この手の問題についてこんな事を言っているのを目にしたように記憶しています。
犯罪捜査に当たるものは、多かれ少なかれ、意識してにせよ違うにせよ、自らの経験した事件における犯罪者の人物像や手口などをプロファイリングしているものだ。それに照らし合わせて考えたりしているのであり、勘という言い方は良くない。
といった内容だったかと。これは、軍人にも似たようなことは言えそうですね。
問題のドラマ主人公も、無意識のうちにそうしたプロファイリングを行っていた可能性も否定はできません。経験則から、目の前の事態に違和感を覚え、洗い直しを試みたのかもしれない。だとすると、経験則を活用し、目の前のそれらしい結論に安直に飛びつかず、他の可能性も検討する慎重かつ賞賛すべき姿勢と章うして良いのかも。それを「勘」と認識してしまっている、もしくは表現してしまっているのはいただけませんけれど。あともちろん、主人公が本当にあてずっぽうである可能性も否定はできません。その場合は、論外かと。
まあ、いずれにせよ、主人公の刑事・士官が用いた表現に問題があるのは否定できません。
これに限らず、「言いたいことは分かるけれど、言葉のチョイスに問題がある」というケースは現実世界でも少なくないように思います。また、「気持ちはわかるけど、問題は本当にそこ?」というケースも。言葉を発する前に、その表現が本当に正確か、問題は本当にそこか、もう一度考えるようにしたいと思う次第です。心したいものです。
【参考文献】
田中芳樹『銀河英雄伝説外伝2』徳間ノベルス
関連記事:
「レトロゲーム紹介 第28回『銀河英雄伝説』(ファミコン)」
『銀河英雄伝説』、ファミコン時代にもゲーム化された事があります。
「レトロゲーム(?)紹介 第12回『新宿の狼』」
主人公が文字通り「刑事の勘」で好き放題できたりするゲームの話。
「<言葉>他人に意見する際の心得~「非難」「叩き」より「面白さ」「寛容さ」を~」
ニュアンスは異なりますが、言葉のチョイスに注意をという話ではあります。
by trushbasket
| 2016-06-30 19:44
| NF








