2016年 07月 04日
甘いものとお酒の意外な共通点~どっちも「別腹」?~
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「甘いものは別腹」なんて言い方が世の中では時にされています。好きな食べ物は、満腹の時でも平気で食べられる事をこう表現するようです。
面白い事に、似たような表現が酒に関してもあるようです。曰く、「酒に別腸有り」と。『通俗篇』なる書物の飲食に関する部に出てくる表現だそうで、やはり酒には食物と別に入るところがある、という意味でつかわれるとか。体の大きさと酒量は関係がない、というニュアンスの事もあるそうです。「別腸」だけでもその意味で通じるようで、「蘭軒は生来の下戸で、混外はこれに反して大いに別腸を具してゐた」(森鴎外『伊沢蘭軒』より)といった用法の例もあります。
考えてみれば、甘いものと酒は、意外に共通点があります。嗜好品である事、ストレス解消の具になりうること、取り過ぎは健康を害しかねない事…。実際、下戸の人間は代わりに甘いものを好む、というイメージを持つ向きも少なくないようです。少なくとも日本では。
例えば、豊臣政権時代の大名・蜂須賀家政は食後に餅菓子や飴を食べる習慣がありました。当時、酒を食事の後に嗜むのが通例だったそうで、下戸の為その代わりに菓子を食していたのではないかと推測する向きがあるようです。また、画家・酒井抱一は酒好きの友人へ寄せた文に「かれ盃を挙れば、われ餅を食う」なんて書いており、徳川期には餅は下戸の好物として認知されていたようです。無論、餅以外の事もあり、梁川星巌は茶と羊羹を所望した際、「これは他の人にとっての酒肴と同様だ」と述べたという話もあります。
この手の話は、挙げていけばキリがなさそうです。織田信長が干し柿を好んだり金平糖を喜んだ形跡があるとか、徳川期の作家・山東京伝が色々な菓子を好んだとか、近藤勇が酒はほとんど嗜まず大福餅を子恩だとか、色々あるようですから。
もっともまあ、実際には人それぞれなので下戸全てがそういう訳ではないようで、別に下戸だが甘党ではない人物も相応にいたそうです。
もっとも、甘いものと酒が世間ではある意味、対のように見られているのは興味深い話ですね。「別腹」と「別腸」という類似した表現から、少し無駄話を広げてみました。
【参考文献】
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)より
「森鴎外 伊沢蘭軒」(http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/2084_17397.html)
鈴木眞哉編『下戸の逸話事典』東京堂出版
関連記事:
「飲める人、飲めない人」
「日本の南北朝と、三国志の間の意外な共通点~饅頭の起源?~」
「覇者の胃袋 ~粗食、偏食、暴飲暴食の帝王たち~」
関連サイト:
「ライフハッカー」(http://www.lifehacker.jp/)より
「「別腹」には科学的根拠があった! その名も「感覚特異性満腹感」」
(http://www.lifehacker.jp/2014/01/140102eat-too-much.html)
関連サイト:
「日本語俗書辞書」(http://zokugo-dict.com/)より
「別腹」(http://zokugo-dict.com/29he/betubara.htm)
面白い事に、似たような表現が酒に関してもあるようです。曰く、「酒に別腸有り」と。『通俗篇』なる書物の飲食に関する部に出てくる表現だそうで、やはり酒には食物と別に入るところがある、という意味でつかわれるとか。体の大きさと酒量は関係がない、というニュアンスの事もあるそうです。「別腸」だけでもその意味で通じるようで、「蘭軒は生来の下戸で、混外はこれに反して大いに別腸を具してゐた」(森鴎外『伊沢蘭軒』より)といった用法の例もあります。
考えてみれば、甘いものと酒は、意外に共通点があります。嗜好品である事、ストレス解消の具になりうること、取り過ぎは健康を害しかねない事…。実際、下戸の人間は代わりに甘いものを好む、というイメージを持つ向きも少なくないようです。少なくとも日本では。
例えば、豊臣政権時代の大名・蜂須賀家政は食後に餅菓子や飴を食べる習慣がありました。当時、酒を食事の後に嗜むのが通例だったそうで、下戸の為その代わりに菓子を食していたのではないかと推測する向きがあるようです。また、画家・酒井抱一は酒好きの友人へ寄せた文に「かれ盃を挙れば、われ餅を食う」なんて書いており、徳川期には餅は下戸の好物として認知されていたようです。無論、餅以外の事もあり、梁川星巌は茶と羊羹を所望した際、「これは他の人にとっての酒肴と同様だ」と述べたという話もあります。
この手の話は、挙げていけばキリがなさそうです。織田信長が干し柿を好んだり金平糖を喜んだ形跡があるとか、徳川期の作家・山東京伝が色々な菓子を好んだとか、近藤勇が酒はほとんど嗜まず大福餅を子恩だとか、色々あるようですから。
もっともまあ、実際には人それぞれなので下戸全てがそういう訳ではないようで、別に下戸だが甘党ではない人物も相応にいたそうです。
もっとも、甘いものと酒が世間ではある意味、対のように見られているのは興味深い話ですね。「別腹」と「別腸」という類似した表現から、少し無駄話を広げてみました。
【参考文献】
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)より
「森鴎外 伊沢蘭軒」(http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/2084_17397.html)
鈴木眞哉編『下戸の逸話事典』東京堂出版
関連記事:
「飲める人、飲めない人」
「日本の南北朝と、三国志の間の意外な共通点~饅頭の起源?~」
「覇者の胃袋 ~粗食、偏食、暴飲暴食の帝王たち~」
関連サイト:
「ライフハッカー」(http://www.lifehacker.jp/)より
「「別腹」には科学的根拠があった! その名も「感覚特異性満腹感」」
(http://www.lifehacker.jp/2014/01/140102eat-too-much.html)
by trushbasket
| 2016-07-04 19:42
| NF








