2016年 12月 11日
漢詩における「桜」と「南朝」~歌書よりも軍書に悲し…?~
|
各務支考の句に「歌書よりも 軍書に悲し 吉野山」というのがあります。吉野と言えば、桜の花ですが、それだけでなく南朝などの歴史とも結び付けられてきたようです。日本漢詩の世界でも、吉野といえば南朝といった具合でしばしばテーマにされています。以前の記事で取り上げた「芳野三絶」「後吉野三絶」が有名です。
関連記事:
「「芳野三絶」~南北朝関連の作品を題材に漢詩を見る~ 」
「「後吉野三絶」を紹介してみる~大正以降?の南朝関連漢詩~ 」
「「芳野三絶」「後吉野三絶」補足~どちらも、「四天王」でも良いかもしれない~ 」
南北朝がすっかりマイナーになってしまった今日ですが、上述の感覚は、ひょっとすると残っているのかもしれません。そんなことを、手元にある『漢詩の作り方』という本をパラパラ見ながら思ったのです。
この本には巻末に詩語集が掲載されているのですが、その中の「花」を題材とした部分が注目されます。そこには、上野と並んで吉野が桜の名所として挙がっています。
そこまでは普通なんですが、南朝の歴史を連想させる言葉も少なからず混じっているのです。「南山」「南朝」「古陵」や「正平年」「前朝事」「文弔古」といった具合。ちなみに「正平」は後村上天皇・長慶天皇によって1346-1370の期間に用いられた南朝年号。「興国」の後で「建徳」の前にあたります。「花」というだけでこれだけの南朝関連語句が入っているのは、予想外でした。
今でも、「花」といえば吉野→南朝というモチーフが詩語集で持ち出される程度には、漢詩において南朝の存在感は大きいのかもしれない。そう思うと、南北朝好きの一人として、興味深く思われました。
【参考文献】
新田大作『漢詩の作り方 改訂版』明治書院
森本哲郎『日本十六景 四季を旅する』PHP
『大辞林』三省堂
新田大作『漢詩の作り方 改訂版』明治書院
森本哲郎『日本十六景 四季を旅する』PHP
『大辞林』三省堂
by trushbasket
| 2016-12-11 15:18
| NF








