2017年 03月 22日
魔法使い?九条稙通~魔法使い必ずしも童貞ならず?~
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どうも、松原左京です。「童貞を貫いたまま一定年齢を過ぎれば、魔法使いになれる」という都市伝説に関して『童貞の世界史』中のコラムでも少し触れたかと思います。そしてその一例として、戦国初期の武将・細川政元について述べました。
さて、今回は政元同様に魔術を会得したとされる戦国期の人物をご紹介します。その名は、九条稙通。政元と同様、幸田露伴『魔法修行者』に彼の事跡は詳細に述べられています。
稙通は摂関家の一角である九条家に生まれ、内大臣・関白を歴任。伝統貴族として最高級の貴種であるにとどまらず、学識にも優れており源氏物語の注釈書『孟津抄』を著した事でも知られています。また、圧倒的な武力を有する信長に対しても毅然たる態度をとった気骨ある人物でもあったそうです。それでいて、九十歳の天寿を全うしたといいますから驚き。
幸田露伴によれば、この稙通は飯綱の法を習得した「魔法使い」だったとか。先ほど触れたように、細川政元が修行したのと同じ術です。その結果、どこで眠ってもその屋根の上に梟がやってきたし、道を行く先には必ず旋風がおきたといいます。天狗の遣いとして梟が従うのであり、眼に見えぬ眷属が露払いをするため風が吹くのだそうです。
しかし、そんな魔法使い・稙通ですが、生涯童貞だったかといえば、大いに疑問。というのは、松永貞徳『戴恩記』によれば娘が猛将・十河一存の妻となったとされているからです。そして、驚くべき事に、娘婿を救援すべく自らも戦場で働いた経験もあるとか。
その娘が実子なら、稙通は生涯不犯ではなかったという事になります。そういえば、『童貞の世界史』中でも触れましたが、久米の仙人も女性の素足を見て欲情し神通力を一度は失ったものの、彼女を妻として俗人となった後も再度の修業により法力を回復したとされています。久米の仙人などと同じく、魔法使いだからといって生涯童貞が必須とは限らない一例といえそうですね。
参考文献:
幸田露伴『幻談・観画談 他三篇』岩波文庫
『美術人名辞典』思文閣
『日本大百科全書』小学館
『日本人名大辞典』講談社
今谷明『戦国三好一族』洋泉社MC新書
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by trushbasket
| 2017-03-22 20:03
| 松原左京









