2017年 04月 19日
風炉用・炉用柄杓の区分をうまく覚える方法~古歌を利用し、なかなか風流です~
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桜の季節が終わったと思ったら、もう日中は暑さすら感じる日々になってきましたね。もう夏が近い印象です。さて、茶の湯の世界では、5月から10月までが風炉(※1)、11月から4月までが炉(※2)だといいます。茶の湯でも、もう季節の変わり目なんですね。
※1 風炉:釜の湯を沸かすための火鉢状の道具で、唐銅製・鉄製・土製・木製などがある。
※2 炉:床の一部を四角に掘って、灰を入れ火をおこして釜をかけるようにした場所。
さて、風炉と炉では用いる柄杓が違うのは御存じの方もおられるかと思います。炉用の柄杓は風炉用と比べて、「合」(湯を汲む部分)が大きいのが特徴の一つだそうです。とはいえ、これだけでは見比べないとわかりにくいです。もう一つの相違点として、柄の末端が、炉用と風炉用では切り口が異なっている事が挙げられます。すなわち、炉用は手前、竹の皮がついた方を深く削ぎ落としています。そして風炉用は逆に、反対側、竹の皮がついていない方が深く削ぎ落とされているのです。…言葉だけでの説明ではわかりにくいと思うので、下記リンク先を御覧ください。
関連サイト:
「和比×茶美」(http://wabi-sabi.info/)より
「柄杓の違いについてご紹介!炉用・風炉用・兼用」(http://wabi-sabi.info/archives/158)
それでも、時にどちらがどちらか、記憶が混乱する事が恥ずかしながらありました。そんな時、風炉用の茶杓にこんな文句を書いた紙が巻き付けられているのをどこかで見たのです。曰く、
みそぎぞ夏の しるしなりける
なるほど。竹の皮と反対側、すなわち身を削いだ「身削ぎ」の柄が、夏用(風炉用)の印であるという事ですね。おかげで、以降は間違えなくなりました。
お気付きの方も多いかと思いますが、この文句、小倉百人一首の第98首目にあたる
風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける
従二位家隆(『新訂国語総覧 第六版』京都書房 115頁)
から来たものです。古歌を用いたなかなか風流で印象的な覚え方だと思います。
余談ながら。ここで言う「みそぎ」とは、旧暦六月三十日に行われていた、半年の汚れを落す「夏越しの祓」の事。夏の終わりを詠んだ歌だそうです。
【参考文献】
太田達監修『DVDで手ほどき 茶道のきほん』メイツ出版
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『新訂国語総覧 第六版』京都書房
by trushbasket
| 2017-04-19 19:19
| NF








