2017年 04月 30日
『童貞の世界史』拾遺 その1 林逋 ~梅を妻、鶴を子として生涯を過ごした隠遁詩人~
|
どうも、松原左京です。これまで、『童貞の世界史』に候補として挙げながらも決め手がなかった人々について、「落選者列伝」という形で御紹介してまいりました。
恥ずかしながら、それらの人々の中には、出版後に生涯童貞と考えて良さそうな資料が見つかったりしたケースもあります。そうした事例についても、適宜今後ご紹介していきたいと存じます。「落選者列伝」と区別する意味で、このシリーズは「拾遺」とでも名付けておきましょう。
さて、『童貞の世界史』を著すにあたって、広い地域から童貞偉人を見つけようとしてきたつもりではあります。とはいえ、残念ながらそれらしい人物を見いだせなかった場所もありました。古い歴史を誇る超大国・中国もその一つ。中国に童貞偉人を見出しにくい理由につきましては、作中コラムでも触れておりますので御参照いただければ幸いです。
しかしながら、どうやら中国にも生涯童貞であったと考えてよさそうな事例がみつかりました。本書の中でお話できなかったのは残念ですが、そのほろ苦さと共に今回ご紹介させていただきます。
北宋時代に生きた隠遁詩人・林逋(967 - 1028)は杭州の人で、字は君復。諡の和靖という呼称で知られています。西湖の中の孤山に隠遁し、市井から遠ざかった一生を送ったそうです。生涯独身を貫きました。
好んで梅を詩の題材にした事で知られ、その詩風は晩唐の繊細さと宋の平明淡白さを兼ね備えたものと評されているようです。作品は『宋林和靖先生詩集』にまとめられ、我が国でも徳川時代に愛好されました。
好んで梅を詩の題材にした事で知られ、その詩風は晩唐の繊細さと宋の平明淡白さを兼ね備えたものと評されているようです。作品は『宋林和靖先生詩集』にまとめられ、我が国でも徳川時代に愛好されました。
さてこの林逋、童貞であったかどうかはなかなか知り得なかったのですが、近代日本の地理学者・藤田元春が以下のように述べているのを最近になって知りました。
梅花を妻とし白鶴を子孫とし、一生不娶で純潔童貞を生活した(藤田元春著『支那研究 北支中支の風物』成象堂 93頁)
藤田氏が何をもって林逋を生涯童貞と判断したかは、知り得ませんでした。あと気になるのは、林逋が生涯独身を貫いた理由。こちらも不明な点が多いですが、あえて推測するならば。彼は士官も志すことなく、世俗を遠ざけて生活を楽しんだ超俗の人。あるいは、様々な欲求も希薄でごく自然に性愛を遠ざけたのかもしれません。
上でも少し触れましたが、中国では社会的な理由もあって、知識人層における生涯童貞の偉人を見出すのはなかなか困難。その意味で林逋は、興味深い事例と言えるでしょう。
参考文献:
『日本大百科全書』小学館
『大辞林』三省堂
藤田元春著『支那研究 北支中支の風物』成象堂
『日本人名大辞典』講談社
『日本大百科全書』小学館
『大辞林』三省堂
藤田元春著『支那研究 北支中支の風物』成象堂
『日本人名大辞典』講談社
関連記事:
『童貞の世界史』落選者列伝 大手拓次~孤独に独身を貫いた幻想的詩人、生涯童貞と思われたが…~
『童貞の世界史』落選者列伝 ジョン・キーツ~悲恋を味わい夭折した英国のロマン派詩人~
独身を貫き、生涯童貞の可能性が囁かれた詩人たちに関する記事です。
上野・不忍池の歴史から、徳川期知識人の中国趣味を見る~中国風の言い換えをしたりしてました~
林逋の過ごした西湖は、徳川時代の文人たちにとって憧れの場所だったようです。
『童貞の世界史』落選者列伝 大手拓次~孤独に独身を貫いた幻想的詩人、生涯童貞と思われたが…~
『童貞の世界史』落選者列伝 ジョン・キーツ~悲恋を味わい夭折した英国のロマン派詩人~
独身を貫き、生涯童貞の可能性が囁かれた詩人たちに関する記事です。
上野・不忍池の歴史から、徳川期知識人の中国趣味を見る~中国風の言い換えをしたりしてました~
林逋の過ごした西湖は、徳川時代の文人たちにとって憧れの場所だったようです。
関連サイト:
「公益社団法人 関西吟詩文化協会」(http://www.kangin.or.jp/top.html)より
「山園小梅」(http://www.kangin.or.jp/what_kanshi/kanshi_B22_2.html)
梅を題材にした林逋の詩が、一つ紹介されています。
「公益社団法人 関西吟詩文化協会」(http://www.kangin.or.jp/top.html)より
「山園小梅」(http://www.kangin.or.jp/what_kanshi/kanshi_B22_2.html)
梅を題材にした林逋の詩が、一つ紹介されています。
※2018/3/21 生没年の箇所を微調整(訂正には非ず)。
by trushbasket
| 2017-04-30 11:40
| 松原左京









