2017年 05月 13日
『童貞の世界史』拾遺 その2 粟野健次郎~この人も、「広田先生」のモデル? 旧制高校の名物教師~
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どうも、松原左京です。以前の「落選者列伝」で、近代の教育家・岩元禎を扱ったことがありました。
この岩元、夏目漱石の名作『三四郎』に登場するキャラクター・広田先生のモデルになったという説がある事については当該記事でも触れました。さて、この時代の教育家に、もう一人同様な伝承を持つ人物がいるようです。それが、今回主題とする粟野健次郎(1864-1936)です。
粟野は陸奥一関(岩手県)出身、父の都合により新潟へ移り新潟中学を卒業しました。その後、英語検定試験に合格し、二十代の若さにして第一高等学校で教鞭を執りました。その際に若き日の夏目漱石を教えたという言い伝えもあるようです。
明治二十五年(1892)からは仙台の第二高等中学で英語の教授を務めました。そこでは、警句を交えた講義などによって名物教師として名をはせています。
明治二十五年(1892)からは仙台の第二高等中学で英語の教授を務めました。そこでは、警句を交えた講義などによって名物教師として名をはせています。
粟野は大変な読書家である一方、癖の強い人物でもあったそうです。例えば彼は酒豪としても知られました。また
書を残すのは恥を後世に残すこと
という信条を持ち、何の著述も残さなかったといいます。こうしたキャラクター性が、「広田先生のモデル」という伝承を生み出したのでしょう。
この粟野は、これまた岩元同様、女性を遠ざけたようです。そのため
生涯不犯の独身(高橋英夫『偉大なる暗闇 師岩元禎と弟子たち』新潮社 133頁)
であったという証言もあります。ただ、これまた岩元にもいえることですが、女性だけでなく少年愛をも遠ざけたかどうかは判断が難しいのは否めないところです。
参考文献:
木原直彦『ふるさと文学館 第5巻』ぎょうせい
『天は東北 第二高等学校物語』河北新報社
高橋英夫『偉大なる暗闇 師岩元禎と弟子たち』新潮社
『日本人名大辞典』講談社
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by trushbasket
| 2017-05-13 14:47
| 松原左京









