2017年 08月 19日
『童貞の世界史』落選者列伝 アントニオ・サリエリ~名作映画の生み出した思わぬ虚像~
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どうも、松原左京です。今回の落選者列伝は、音楽家アントニオ・サリエリ(1750-1825)を扱います。結論から言えば、後世の文化作品で事実と異なるイメージが生まれた一例、といえます。
アントニオ・サリエリはイタリア生まれの音楽家。ベローナ近郊で生まれ、1766年にベネチアを訪れた音楽家ガスマンに才能を見いだされウィーンへ赴き、修行の末にハプスブルク家宮廷作曲家となりました。1772年『ベネチアの定期市』や1784年『ダナイード』といった流麗なオペラ作品で名声を博し、中でも1888年の『タラール』は最高傑作と評価されています。
そうした実績を背景に1788年から1824年までウィーン宮廷楽長の任にあり、1788年から1795年まではウィーン音楽芸術家協会会長も兼ねています。
19世紀に入ってからは作曲より教育に力を注ぎ、ベートーベンやシューベルト、チェルニー、リストといった錚々たる面子が彼の薫陶を受けています。
19世紀に入ってからは作曲より教育に力を注ぎ、ベートーベンやシューベルト、チェルニー、リストといった錚々たる面子が彼の薫陶を受けています。
現在まで作品が広く知られているとは言い難いにせよ、作曲家として一時代を担い更には次世代育成にも大きな役割を果たした人物です。西洋音楽史を彩る偉人の一人と称して問題ないでしょう。
しかしながら気の毒なことに、彼の名を後世に有名にしたのは、「モーツァルトを毒殺した」という不名誉な噂。プーシキンの劇詩『モーツァルトとサリエリ』やピーター・シャファー『アマデウス』がその伝説を題材としています。なお、有名な映画『アマデウス』は、シャファー作品が原作です。
ただしサリエリの名誉のために申し上げておきますと、歴史学的にはその噂は否定的だそうです。
ただしサリエリの名誉のために申し上げておきますと、歴史学的にはその噂は否定的だそうです。
さて、映画『アマデウス』では、サリエリは音楽にすべてを捧げるため神に一生純潔を誓った、という設定にされています。そのためか、一部で生涯童貞というイメージを持つ向きもあるらしく調査段階で何度か名を見かけたりもしました。しかし実のところ、モーツァルト暗殺と同様、生涯童貞というのも根も葉もない伝説というのが結論です。
1774年、サリエリはテレーゼという女性と結婚。8人の子をもうけています。しかし残念ながらそのうち5人は早世。中でも一人息子アロイスは音楽の才能に恵まれていた事もあり、23歳での若い死は父アントニオを嘆かせたと言われています。
1774年、サリエリはテレーゼという女性と結婚。8人の子をもうけています。しかし残念ながらそのうち5人は早世。中でも一人息子アロイスは音楽の才能に恵まれていた事もあり、23歳での若い死は父アントニオを嘆かせたと言われています。
実際には妻も子もあったにもかかわらず、後世の創作によって生涯童貞のイメージがつく。そうした事例もあるのですね。
参考文献:
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
『ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)』全日本ピアノ指導者協会
『大辞泉』小学館
『芸術新潮 第36巻2号』新潮社
ミロス・フォアマン監督『アマデウス』ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
John A. Rice, Antonio Salieri and Viennese Opera, University of Chicago Press
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
『ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)』全日本ピアノ指導者協会
『大辞泉』小学館
『芸術新潮 第36巻2号』新潮社
ミロス・フォアマン監督『アマデウス』ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
John A. Rice, Antonio Salieri and Viennese Opera, University of Chicago Press
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※2017/8/20 年代表記にミスがあったので修正しました。
by trushbasket
| 2017-08-19 18:28
| 松原左京









