2018年 08月 08日
<過去記事紹介>「怒り方」にもコツがある?~感情的に怒りをぶつけない、見切りも大事~
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ここのところ、呆れる他ないようなニュースも多々耳に入ってきますね。そうした社会の理不尽や不正義に対しては、きっちりと抗議や怒りを表明するのは必要な事だと思います。そうでないと、見過ごされそのままになってしまいますからね。ただし、怒るにもコツといいますか作法といいますか、そういったものがあるとも思います。少なくとも感情にまかせて闇雲に怒りをぶつけるのは、よろしくないのではないかと考えます。そうしたやり方は、相手を依怙地にするだけですからね。それに、そういったやり方で聞き入れてもらえるような相手なら、そもそもそこまで問題をこじらせる前に相応の対処をしているんじゃないかな、とも思う次第。
そこで、意見をする際に参考になりそうな過去記事をいくつか下にご紹介します。
関連記事:
「にっくき相手にどのような言葉をかけるべきか~侮辱・罵声・恫喝は無益です~ 」
「中国古代史から学ぶ、異なる考えの人間(特に目上)に意見する際の心得~相手の面子を潰すのは論外~ 」
「人に反対意見を述べる難しさ in 日本~最高権力者・秀吉を巧みに諌めた男の伝説~」
まあ、「間違っているのはあちらなのに、なぜこちらが気をつかねばならんのか」と憤慨なさるのも分かります。ただ、状況が変われば自分も含め誰もが相手と同様な立場になりうると言うことは肝に銘じたいところ。相手もこちらも同じ人間だという点は、常に頭に置きたいものですね。
もっとも、「納得させるという発想…そのものが軟弱!」(河部真道『バンデット3』講談社 106頁)というのも確かに勇ましくはあります。しかしながらこれ、相手を力でねじ伏せる事ができる場合でもなければ難しいでしょうね。それに、足利時代の権力者ですら、その方針をやりすぎて身を全うできなかった人はいます。足利持氏さんとか足利義教さんとか。その手のやり方は、状況によってはこちらがねじ伏せられる事をも意味していると言えるでしょう。あまり、お勧めできるものではないと思います。
とはいえ、これは僕の処世術というべきものの域を出ませんから、そうしなければならないとか、そうするのが正しいといった代物ではありませんけどね。
あと、相手が聞いてくれない時は見切りをつけるのも大事。世の中には「三度諫めて身を退く」なんて言葉があるそうです。儒教経典『礼記』曲礼下に由来するそうで、「何度諫めても聞き入れられない際は、諦めて身を退く」事を良しとした内容です。ただ、臣下が君主を諫める時の話ですから、現代としては何とも卑屈に見えるかも。正しいはずのこちらが退かねばならぬのは、無念でならない。それは、分かります。しかし、「見込みがないと判断され見捨てられる」のも、意見される側にとっては実は大きな損失。世間で言う、「言われるうちが花」というやつですね。以前の記事でもご紹介しましたが、娯楽小説『銀河英雄伝説』に登場する下記のやりとりは「三度諫めて身を退く」が現代的にも十分意味を持つ事を示してくれていると思います。
「いいか、わが息子よ、偉人なら一度の忠告で反省する。凡人なら二度くりかえして諫められれば、まずあらためる。できの悪い奴でも三度も言われれば考えなおす。それでも態度を変えないような奴は、見放してよろしい」
「四度めの忠告はしなくていいの?」
「四度めになればな、追放されるか投獄されるか、あるいは殺されるからだ。暗君という奴は、そういうものだ。だから四度めの忠告は、自分自身に害をおよぼすだけでなく、相手によけいな罪業をかさねさせることになり、誰のためにもならない」
(田中芳樹『銀河英雄伝説外伝1』徳間ノベルス 173頁)
そもそも、相手が本当に棒にも橋にも懸からぬレベルの愚者なり悪人なりであった場合、意見する事自体が危険だし無駄。そんな見方すらあるようです。
関連記事:
「儒者・叔孫通から見る本物の暴君・暗君への接し方~諌めるだけ無駄、へたすりゃ死に損~」
本当にどうしようもない相手の場合、まず何より先に、自身が安全な場所・居心地良い場所・道理が通用しそうな場所に逃れる。そして可能なら他の人にもそうさせる。そうすれば、「暴君」は孤立しやがて立ち枯れる。それが、時間はかかっても一番効果的ですし、生存確率が高いという点においても有用だと思います。
ともかく、自分にとってヤバい相手や場所からは、何はともあれ物理的であれ心理的であれすぐに逃げる。たとえ相手が何者であっても。これ、本当に大事です。『法華経』じゃありませんけど、火事になっている家(火宅)からは、何はともあれ逃げるのが吉です。
関連記事:
「孔子、「毒親」問題を語る?~ヤバいと思ったら逃げなさい、それも「孝」だ~ 」
怒りは表明する、しかし感情的にならず自身の安全にも配慮する。両方やらないといけないのが、社会人の辛いところですね。しかし、そうした覚悟ももってやっていきたいものです。難しいことではありますが。
…まあ、僕自身が生の感情を表出する場面が苦手だったり、身の安全を色々考えてしまうような臆病者だったりするので、こうした意見になるのかもしれませんけどね。
【参考文献】
『大辞泉』小学館
『日本大百科全書』小学館
河部真道『バンデット3』講談社
丸山裕之『図説 室町幕府』戎光祥出版
田中芳樹『銀河英雄伝説外伝1』徳間ノベルス
by trushbasket
| 2018-08-08 19:36
| NF








