<読書案内>すずき孔『マンガで読む新研究織田信長』
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2018年 10月 10日
織田信長と言えば、日本史上で最も人気がある英雄の一人だと思います。戦国乱世から天下一統へと時代が移り変わるきっかけをつくった武将。それだけに、「新たな価値観を切り開いた男」「革命児」として持て囃されてきました。
しかしながら、最近の研究からは、信長の従来とは大きく異なる姿が浮かび上がっています。その研究成果を基に、新たに作られた信長の伝記漫画が今回ご紹介する『マンガで読む新研究織田信長』(すずき孔 監修・柴裕之 戎光祥出版)です。 新たに判明した信長の一面を中心に、桶狭間合戦を起点としてその生涯を描き起こした一品。かつてのイメージとは違って、秩序を重んじ、伝統的権威を尊重し、世間の評判を気に掛ける。そんな信長の姿は、実に新鮮。若き日に将軍・足利義輝と面会した際に感じた「美しさ」が出発点となっている描写は、大河ドラマ『太平記』において足利尊氏が後醍醐天皇を始めて目にした場面と重なります。その時に感じた「美しさ」が世を変えたいという思いの原点となるものの、奉じた相手とやがてすれ違いが生じる。そう考えると、信長と(大河ドラマの)尊氏には共通性がありそう。 ただ真摯に、秩序ある世を求めて戦い続けた信長の姿は、「革命児」「天才児」ではないとしても、これはこれで魅力的。一方で、致命的な性格的欠点にもちゃんと触れられており、彼が志半ばで倒れたのも理由がない訳ではない事がわかります。従来の「革命児」イメージが事実と異なるならば、信長が残した歴史的意義は何なのか。それについても終盤で明かされており、信長が「戦国に消せない足跡を残した巨人」には違いないことを改めて実感する事ができました。 そして。特筆すべきは、「将軍・足利義昭がカッコいい」という事。ともすれば、実力もないのに陰謀に精を出す小物として描かれる事すらある義昭ですが、本作では「足利政権の古き良き理想を再建するため、与えられた条件で最大限奮闘する熱い漢」。彼もまた、その時代を懸命に生きた一人だった。その事実を、改めて想起させてくれました。 考えてみれば、本作の義昭は「かつては主人公の良き盟友だったが、歩む道をたがえ最大の宿敵となる」「相手をよく知るが故に、その弱点も見える」という美味しすぎる役回り。彼もこの時代における「正義」を求めた一人であり、「信長の理想」にある闇を浮かび上がらせる存在。この作品において、彼はまさしく信長の「強敵(とも)」と呼ぶにふさわしく、「もう一人の主人公」と言えるでしょう。 何だか色々ととりとめもない話になりましたが、戦国好きの方は一度は手に取るに値する一冊ではないか。個人的にはそう思います。
by trushbasket
| 2018-10-10 19:59
| NF
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