2019年 02月 09日
「七夕ぼっち」 in 王朝時代~『拾遺和歌集』の恋歌から~
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今年も、もうすぐバレンタインデー。クリスマスもそうですが、こうした季節毎のイベントは世間も心も何だか華やがせてくれるように思います。もっとも、恋愛を前面に出す雰囲気に対し疎外感を感じる向きも一部ではあるようです。
さて、当然のことながら、クリスマスもバレンタインを廣く祝う風習は、前近代日本にはありませんでした。そんな時代なら、こんな思いはなかったのかといえばそうでもないようで。
『拾遺和歌集』恋二の「題知らず、詠人しらず」な歌にこんなものがありました。
思ひきやわが待つ人はよそながら棚機つめのあふを見むとは
(塚本哲三校『拾遺和歌集・後拾遺和歌集』有朋堂書店 151頁)
<超意訳>
思いもしなかったよ、私が逢いたいと待っている恋しい人はここにはいないあま、織姫・彦星の逢瀬を見る事になるとは。
侘びぬればつねはゆゆしき棚機も羨まれぬる物にぞ有りける
(同書 同頁)
<超意訳>
恋人がおらず寂しい思いをしていると、いつもは(相手と離ればなれなのを)気の毒に思う織姫も、今夜は羨ましいと思ってしまうものだなあ。
織姫・彦星も今夜は逢瀬をしているというのに、自分ときたら…。そんな魂の叫びが聞こえてきそうです。まあ、王朝時代の七夕と現代のクリスマス等は違いも色々ありますから、同列に並べるのはほんとうは適切ではないかもしれません。それでもまあ、恋愛を前面に出す雰囲気の季節に、疎外感を覚えるという一点では類似点がなくもないかも。
なお。勅撰集においては、七夕は秋の題材になります。
【参考文献】
塚本哲三校『拾遺和歌集・後拾遺和歌集』有朋堂書店
塚本哲三校『拾遺和歌集・後拾遺和歌集』有朋堂書店
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by trushbasket
| 2019-02-09 21:24
| NF








