<読書案内>黒嶋敏編『戦国合戦<大敗>の歴史学』
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2019年 07月 24日
乱世には、合戦がつきもの。そして、勝敗は兵家の常。どんな英傑であっても、大敗を喫する事だってあります。で、勿論のことでありますが、大敗したらそれでおしまい、という訳ではありません。その後も、自らの身を、そして自らの家を守るため粉骨砕身しなければならないのです。そこには、実に涙ぐましい必死な営みがあります。
という訳で、今回御紹介するのは、黒嶋敏編『戦国合戦<大敗>の歴史学』(山川出版社)。戦国時代における、「大敗」と見る事のできる主要な合戦を題材に、様々な歴史学者が実証的な研究・分析を試みた一品です。有名どころでは、長篠の戦い、桶狭間の戦い、耳川の戦い、三方ヶ原の戦い、大内氏の尼子氏攻めなどなど。 大敗を喫した大名が、体制再建・渦中再編を目論む中で家臣たちにどのような働きかけをしたのか。「大敗」とされる合戦が行なわれた流れはどうだったのか。そもそもその戦いは本当に決定的な存在だったのか。そもそも「大敗」の内容を記した各史料は何を記し、何を記さなかったのか。「大敗」に突入する過程で、大名たちはどのように動いていたのか。「大敗」の結果として生じた政治的変化を、どのように解釈すべきなのか。「大敗」当事者が大勢力を保って生きながらえた場合、後世の記録にどのような影響が生じたのか。などなど、書状など一次史料を中心に、後世の編纂史料も適宜用いながら色々な課題についてアプローチしています。 そして、従来は互角・苦戦とみなされていた合戦にも「大敗」と解釈して良いものがあるのではないか、という提言もあったりしました。例えば、川中島の戦いを経て、謙信が厭戦気分広がる家中に対し信濃出兵を促す大義名分に苦しむようになっていたという話は興味深かったです。 戦国合戦好きにとっては、研究というのはこうして進められるのかという事を少し覗いてみる上でも、新たな視点を得る上でも、一見の価値ある一冊だと思います。 なお。大敗の事後処理という話題に絡めて。本ブログ関係者著作の紹介をついでにしておきましょう。 『敗戦処理首脳列伝』は、敗北が決定的な段階でその国や勢力の指導者に押し上げられた人々の苦悩と尽力の事跡を題材にしています。 次に。戦乱による大打撃を経て、体制を立て直すのに活躍した人々を題材にしたのが『戦後復興首脳列伝』。 こちらは、『敗戦処理首脳列伝』よりも話の雰囲気が前向きで明るいかと思います。
by trushbasket
| 2019-07-24 21:25
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