<OBサイト記事再掲>常陸と楠木氏~摂河泉から遠く離れたこの地にも~
|
ライフログ
メンバーの著作
連絡先/著作紹介/投稿一覧/等
連絡先
(【あっと】を@に替えてください) 管理人(現担当 貫名) trushbasket【あっと】yahoo.co.jp My(山田昌弘) phephemol【あっと】hotmail.co.jp (記載の無い執筆者への連絡は管理人経由で) ────────────── 著作紹介・試し読み ────────────── リンク(お世話になっている方々のサイト) 京都大学歴史研究会blog 社会評論社 パブリブ Cool Ja本 世界で通用する日本本 ハマザキカク本 Delusion 戦国ちょっといい話・悪い話まとめ 小覇王の徒然はてな別館 西洋軍歌蒐集館 駄文にゅうす 史劇的な物見櫓 芝蘭堂 歴史の輪っ子 D.B.E三二型 その他にも、こちらに掲載したサイトにも御世話になっております。 ────────────── 投稿一覧 ────────────── 最近の歴史記事
────────────── 最近の雑記・日記・管理コメント
記事ランキング
ブログパーツ
以前の記事
カテゴリ
検索
外部リンク
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
2019年 08月 19日
※OBサイト「れきけん・とらっしゅばすけっと」で掲載していた記事です。当該サイト消滅に伴い、最低限の修正を経て本ブログにて再掲載いたします。現代からすれば説として古いものもあるかと思いますがあえて趣旨は極力そのまま残しています。 はじめに 南北朝における南朝方の代表的存在・楠木氏。彼らは河内の新興豪族として一般には認知されていますし、実際に大部分の活動は大阪平野を舞台としています。しかし、遠く離れた北関東の常陸においても楠木氏の活動があったことは余り知られていません。そこで、今回はそれについて述べ、この地と楠木氏の関係について少し見ていきたいと思います。 常陸と楠木氏 鎌倉幕府打倒に大きな貢献をした楠木正成は、摂津・河内・和泉の守護に任じられ河内守となったほか、恩賞として新たな所領を与えられました。それらの恩賞には、常陸国瓜連荘も含まれていたようです。 この地に代官として派遣されたとされるのが正成の一族(と思われる)楠木正家です。彼は足利尊氏が後醍醐天皇に反逆した後、延元元年(1336)にこの地で足利方の佐竹氏と戦いましたが結局は関東は足利方が優位を確立することになります。正家はその後、正平三年(1348)に楠木正行と共に四條畷で戦死したと伝えられます。 これで楠木氏と常陸の関わりは終わりを告げたかに見えますが、それ以後も関わりを窺わせるような話はちらほらあるようです。例えば、南北朝動乱が終わった直後の時期に楠木正勝(正儀の子、正成の孫)が筑波山の古通寺を開いたという伝承が残っています。また、この地域出身の作詞家・野口有情の実家は、楠木正季(正成の弟)の末裔であると称しており菊水(楠木氏の家紋)を家紋として用いていたそうです。更に、忍城の武士である吉野氏には楠木氏の流れを汲むという言い伝えがあるとか。これらの話から考えると、この地域には一過性だけでない楠木氏との関わりがある可能性があるんじゃないか、と勘ぐりたくなります。こうした伝承の信憑性はともかくとして。 そういえば、常陸北部は水上交通の要地で金や辰砂が産出されたという話もあるようです。楠木氏が大阪平野で、水分川の権益餅水銀の交易で財を成したという説を連想させるものがありますね。また、『吾妻鏡』の記載によれば、頼朝に従って上洛した豪族の中に忍三郎・忍五郎と並んで「楠木四郎」の名が見える事も想起されます。あるいは、北関東と何らかの関わりがあったんじゃないか、といった風に。まあ明らかな証拠はまったくなく、真相は藪の中ですが、僕のようなアマチュア歴史ファンの妄想をかき立てるには十分。 常陸と南朝 楠木氏だけでなく、常陸は関東の中では南朝と縁の深い地域です。北畠親房が伊勢から関東へ向かい南朝方の拠点扶植を図った際、最初に上陸したのは神宮寺城でした。この地は熊野権現と関係の深い場所だったそうで、熊野水軍との連携があったのでしょうか?楠木氏は紀伊の湯浅氏とも縁が深かったようですから、熊野水軍を通じて大阪平野と常陸の連絡を取っていたのかも、などとまたも妄想がわき起こってきます。 それはさておき、関東において親房に味方した城は大宝城・関城・真壁城・中群城であり霞ヶ浦や桜川沿いに集中していることがわかります。この周辺の漁業・水運などは鹿嶋神社の神人が権益を掌握しており、水軍も編成していたのだとか。 おわりに 楠木氏が活躍した大阪平野と遠く離れた常陸国。しかしそこでも楠木氏と関わる伝承が残っているのは面白いものです。 【参考文献】 岡田冨士雄『虚無僧の謎 吹禅の心』秋田文化出版 高橋空山『普化宗史 その尺八奏法の楽理』普化宗史刊行会 平野光三『野口雨情』日本図書センター 瀬谷義彦・豊崎卓『茨城県の歴史』山川出版社 藤田精一『楠氏研究』廣島積善館 植村清二『楠木正成』中公文庫 村松剛『帝王後醍醐』中公文庫 森茂暁『太平記の群像』角川選書 佐藤進一『日本の歴史9南北朝の動乱』中公文庫 伊藤喜良『東国の南北朝動乱』吉川弘文館 『週刊朝日百科日本の歴史12 後醍醐と尊氏』朝日新聞社 『日本人名大辞典』講談社 関連記事:
by trushbasket
| 2019-08-19 21:33
| NF
|
ファン申請 |
||