2019年 08月 28日
今度は、横山光輝『項羽と劉邦』『史記』を起承転結・序破急から見てみる
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先週、横山光輝先生の『三国志』を起承転結・序破急という観点から評価し、ストーリー配分が巧みであるというお話を致しました。今回は、同じく横山先生の中国史ものである『項羽と劉邦』や『史記』でやってみようかと。
<注意!以下は、『項羽と劉邦』『史記』の内容に関するネタバレがあります。当ブログを御覧の皆様は、内容を御存じの方が多いとは想定していますが一応注意喚起させていただきます。以下につきましては、それでも構わないという方のみ御覧下さい。>
『項羽と劉邦』は希望コミックスの単行本ですと全二十一巻ですから、三で割り切れる序破急の方が論じやすいかもしれません。という訳で、先に序破急から。
序:一巻(秦の始皇帝)~七巻(咸陽炎上)
始皇帝が天下を統一するも、崩御の後は忽ちに乱世に突入。楚を中心とする反乱勢力により、秦は滅亡に追い込まれる。その後は楚の有力将軍・項羽が覇王として新たな秩序を築いたに見えたが…。
破:八巻(関中脱出)~十四巻(韓信の復帰)
項羽の新体制もすぐに崩壊。秦滅亡に大功を挙げながらも僻地に追いやられた漢王・劉邦が反乱を起こし、秦の旧領を併呑して東へ進出した。一度は項羽の本拠地を占領した劉邦だったが、項羽の直属軍と戦い大敗を喫し守勢に転ずる。
急:十五巻(孝子王陵)~二十一巻(四面楚歌)
項羽と劉邦の二人が天下を争う形勢に。名将・韓信の活躍もあって徐々に劉邦陣営が優勢となり、最終的には項羽は敗北・滅亡する。
次に起承転結でわけると、こんな感じでしょうか?
起:一巻~六巻(鴻門の会)
秦の始皇帝による天下統一も、その崩御と共に崩壊。楚を中心とする反乱軍が秦を滅亡させたが、その際に大功を立てた項羽と劉邦が宿敵関係になる予感。
承:七巻~一二巻(咸陽発進)
項羽が覇権を握り新体制を築き、その下で劉邦は王位を与えられるも僻地に追いやられた。しかし新体制に対する反乱が相次ぎ、劉邦も挙兵して勢力を拡大する。
転:一三巻(睢水の合戦)~一六巻(窮余の策)
一時は破竹の勢いであった劉邦だが、項羽の前に大敗。その後は守勢に追い込まれ逃亡を余儀なくされた。しかしその背後では名将・韓信が率いる劉邦軍の別働隊が各地を平定しており、また項羽も劉邦の謀略により貴重な人材を自ら失うなど潮目は変わりつつあった。
結:十七巻(劉邦の反撃)~二十一巻
流れは少しずつ劉邦側に。しばらくは両陣営とも譲らぬ戦いをするが、ついに劉邦が項羽を滅ぼす。
次に、『史記』。単行本では全十五巻なので、こちらも序破急の方がやりやすそう。
序:一巻(覇者への道)~五巻(秦の脅威)
春秋戦国の乱世は、様々な覇者を輩出。その中からやがて法制度を整備した秦が抜け出し、他を圧倒する。
破:六巻(乱世に生きる)~十巻(秦 滅亡)
秦は勢いに任せて他の国々を制圧、やがて天下を統一するもその栄光は束の間であった。
急:十一巻(劉邦東進)~十五巻(漢大帝国)
秦が滅亡した後、天下をめぐって争ったのは項羽と劉邦の両英雄。勝利した劉邦が築いた漢王朝は、内紛・反乱・外憂を乗り越えて長期の繁栄を築く。
起承転結でわけると、
起:一巻~四巻(奇謀詭策)
春秋戦国の乱世を、様々な覇者や英雄豪傑が彩る。
承:五巻~八巻(始皇帝)
他を圧倒する強国となった秦が、やがて天下を統一。
転:九巻(天下大乱)~十二巻(四面楚歌)
秦の天下は短期で崩壊し、再び乱世に。秦が滅亡した後は項羽と劉邦が覇権争い。
結:十三巻(呂后君臨)~十五巻
勝利した劉邦による漢王朝も、しばらくは様々に産みの苦しみを味わう。それを乗り越えて武帝時代の栄光を迎える。
といったところでしょうか。
どちらも、ストーリー展開に応じた分量配分は巧みであると評して問題はなさそう。
【参考文献】
横山光輝『項羽と劉邦』1-21 希望コミックス
横山光輝『史記』1-15 ビッグゴールドコミックス
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by trushbasket
| 2019-08-28 21:36
| NF








